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よあけ
深い森の奥。
澱む闇。歪む腐臭。
禍々しい気配。
微かに薄れたそれをなお薄めるかのように禊の雨がおちる。
黒き巨獣が森から走り去る。
吾はそれを見送り森に意識を沿わせる。
力の及ぶ範囲で同胞の沈む錠に干渉する。
眠りは深く返りはない。
夜が明ける。
それは人の器に戻らねばならない状況。
憐れに思う。
利用され捨てられる。
それは吾が上にも降り注ぎうる状況で。
否。
『吾にそのような力はない』
笑いがもれる。
力なき身を厭うよりは今を考えるのが正しいだろう。
しかしこれもひとつの夜明け。
リズちゃん、お見送りいたしております