神話風
勢いでかきかき
うろな町図書館の本より
昔その地は神々の住まう地だった。
八百万の神。
この国はそれだけの神に護られた健やかなる土地であった。
この地における主な神は山神の石持媛。森神たる繁茂神。海神たる深和鎮。
他の神々はその三柱に従って穏やかに過ごしていた。
そこへあやかしが流れてきた。
神々は新たな友と受け入れた。
狐は森に住まい、繁茂神を時に楽しませ過ごしていた。
天狗と狗は石持媛の膝元で修行に護衛にと清廉に。
蛇達の多くは深和鎮の元に集い、従った。
いろいろなあやかしが流れてきた。
神々の護る地にはまだ余力があり、あやかしたちの尽力も付与され恵まれた大地として繁栄していた。
そこへ人と呼ばれるケモノがやってきた。
そのケモノは「トワに神を讃えましょう」と歌った。
信仰は力と変わるので神は喜んだ。
生き物の負の感情を糧とするあやかしたちも喜んだ。
そして導くことに生き甲斐を感じる者も喜んだ。
すべてがうまく回ってゆくはずだった。
神やあやかしは人の手助けをしたり、共に遊んだり荒御魂を安らがせ、和御魂へと鎮めていた。
人はあやかしと神から様々な技術を教えられた。
社を作り、教えられた酒を作り、神を讃え踊った。
平和な栄華の時であったという。
しかし、神の地に焔が舞った。
土地から信仰が薄れ神の恵みが遠のいた。
荒御魂は荒御魂のまま、大地を削り、神の力を削っていった。
人は十全に守られることはなくなった。
そう。
人は信仰を蔑ろにし、神との約束を違えたのだ。
人の命は短く、伝えられない約束は守られることはない。
そして人は違うものを信仰し始めた。
神々の力は削られて行く。
護ることが叶わなくなっていくことを神々は嘆き、裏切りに怒り、哀しむ。
幾度かの焔が大地を舐めて舞った。
今や神を讃えたと云う社すら消えてしまった。
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変な偽神話だよv