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手紙に、気持ちを託せたら
ああ、この気持ちを文に託せたら。
涼進。
ああ、この気持ちを文に綴れたら。
契約、という言葉をわたしが知ったのは育ての親の書物からだ。
あの人は、床が抜けちまうくらいに大量の書物を狭い部屋に置いてたんだ。
そのひとつに、神様の研究録があった。なんでそんな書物があったかはわからない。
でも。
それにわたしはすがった。
読み尽くした。
そして、契約することにしたんだ。
自分の命を引き換えに一度願いが叶えられる。
わたしは契約する。
だから、お師匠。
その文、遅すぎたよ。
わたしは、もう止まらない。止まれない。
今、目の前に、火の神さんがいる。




