1-3 部下その2
アステラ宇宙軍第5基地その名の通りアステラ宇宙軍の5番目に造られた基地で、アルノリドが軍人になる前から存在している。造られた目的は未開惑星への観測を行う基地として造られていた。
しかし諸事情により途中から軍事基地としての運用が決まったが、8割方すでに完成しており観測基地として建設していたため、軍事基地としてはあまり大きくなく防衛のための武装も戦艦を収容するドックも無かった。
そのため現在の第5基地の姿になるのに約9年11回にも及ぶ改修を行い軍事基地と呼べる物になった。それでも他の基地に比べれば一回り小さく、収容できる戦艦の数も少ない。
さらに軍本部は11回改修を行った後一度も改修をしていない。
何が言いたいかと言うとアステラ宇宙軍第5基地は物凄く古い基地である。
「・・・・ふう・・」
「なんだアルノため息なんかついて」
「いやなんか周りからの視線が・・・あ、このスープうまい」
基地内の食堂に入り、注文して、料理を受け取り、席に着くまで食堂に居る全員に見られていた。
さらに先程もインヴァルドと通路を並びながら進み食堂に向かっていた。途中何人か階級が下の兵士とすれ違い敬礼をされたが、辞令が下る前は通路ですれ違っても歩きながら敬礼していた兵士が直立不動で敬礼しているため未だに慣れない。
「まぁ、司令官殿が基地内の食堂で食事はあまりしないよな。前の司令は部屋まで運ばせていたいたからな、珍しんだろ」
「俺は動物園の動物か」
「いやいや、皆のこの反応は珍獣だろ」
「昨日も此処で飯食ってたろ、一日で何があった」
「ああ、それはな」
「・・動くな」
インヴァルドが喋っているのを遮って何者かが背後に立っていて、背中には冷たく、硬い金属の様な物が付きつけられている。
「・・・お前、何やっているのか分かってるのか?」
そう言いながら背後に居る人物をちらりと見たが黒いマントにフードを付けており顔が見えない。
「命が惜しければ、私の要求を呑む、そうすれば助ける、アルノリド司令官」
「内容次第だな」
するとマントの人物は静かな声で囁いた。
「お金貸して、アルノリド」
「やっぱりお前か、フェリシア!!」
と叫びながら素早くターンし彼女が持っている武器を掴み、取り上げ、黒いマントをはぎ取った。
すると、現れたのは薄い水色の髪の美少女で名前をフェリシア・レスロック。階級は中尉でこの基地のメインオペレーターの一人である。
メインオペレーターというのは基地司令室にいるオペレーターで戦闘時は戦艦やステルス艦からの情報を統制したり、司令官の指示を伝達する。非戦闘時は他の基地や軍上層部からの通信や基地内からの報告などの情報伝達を仕事としておりフェリシアはメインオペレーター内で花形と呼ばれている外部通信を担当している。
外部通信はメインオペレーターの仕事で暗号解析などの特殊なスキルが必要であるため、巷では『メインオペレーターになれば退職後も安泰』と言われるほどでアステラ宇宙軍なりたい職種男女ぶっちぎりの一位(基地司令官は11位)である。
「ダメ?ほんの少しでいいから」
「ダメに決まってるだろ。銃機器を持っている奴らに屈しないこれは宇宙軍だけじゃなく地上の奴らとも共通だ」
そんな優秀な彼女がなぜ金に困っているかというと。
「またこのモデルガン買うためか、別にいいだろ無数にあるんだから」
「アルノこれはレプリカ、もしくはモデルガン、けどこれはDF社のレーザーランチャーだからガンじゃなくってランチャーだねモデルランチャー」
彼女フェリシア・レスロックは大のガンマニアで軍属でありながら未だにモデルガンなどを収集している。だがその収集にはかなりの費用が掛かるためこうして金をせびりに来ているのである。
「もう学生の時からかなりの額を貸してるぞ。それに一昨日借りに来たばっかりだろ」
「昨日仲間がレアの古式銃を200K程で譲ってくれるって言ってくれたから貸して」
「なるほど、でお前はいくら貸して欲しいの?」
「今回は泣く泣くコレクションの中からいくつか売ったからかなり工面したけど」
「やっと銃を売って金を工面することを覚えたかそれだった少しは・・・」
「ざっと180K程貸して」
「ふざけるな」
フェリシアの要求を一蹴したアルノリドは席に座ると食事を再開した。けどフェリシアがしつこく絡んできたので給料の前借と言う形で180K貸した。
1K=1000円くらいです。