第十一話『集合』
「てことで、ドラゴン倒すぞー」
「「おー」」
<おー>
宿の一部屋に三人の声が響く。
「無理だろ」
「おー」
「勝算はあるんですか?」
「ドラゴンの情報がなければわからない」
やけに自信満々だなユーガ。
情報次第では勝てると?
<僕が出れば百パー勝てるけど?>
……いや、お前は危なっかしい。
てかお前ってそんな強いの?
<さあね>
——まぁいいか。
「ユーガ、ドラゴンを討伐したことは?」
「……一度だけある」
「マジか!?」
「だが、単独討伐はない
その時は一流の冒険者の手伝いだった
俺ひとりじゃ無理だ」
さすがユーガ。
でも心強いような、不安なような。
そんな中、頭の中に声が響く。
<ねぇカエデ>
なんだよ、今忙しいんだけど。
<ドラゴン討伐、君たちだけじゃないよ>
……は?
<当たり前でしょ
国を揺るがす討伐任務を、
半犯罪者のポッと出三人組に丸投げするわけないじゃん>
……。
<じゃ、疲れたから寝るわ
次起きたら声かけるから〜>
コイツ完全に俺達で遊んでやがる。
腹立つ。
王様からもらった文書を確認すると、
しっかりギルドに集まるよう日時と場所が書いてあった。
◆◇◆
現在、俺たちはギルドの前にいる。
これから作戦会議――ドラゴン討伐の詳細説明が始まる。
「五分前行動って大事だよな
礼儀として」
「そうですよね!」
「そうなのか?」
ギルド二階が集合場所だ。
初めて入った時は気づかなかったが、ここ二階あったのかよ……。
二階は一階と違い、静かで個室が並んでいた。
そのうちの一つ、何の変哲もない木の扉を開く。
「おー、やっと来たか
一組目だな」
部屋にいたのは、無精ひげを生やした気だるげな男ひとり。
中央に長方形の机があり、椅子が並ぶ典型的な会議室だ。
「ドラゴン討伐の説明会って、ここで合ってますか?」
「あぁ、合ってる……はずなんだがなぁ
お前ら以外、まだ来てねぇ」
この人がギルドマスター、ガーヴェ・レルアらしい。
適当な挨拶をされ、俺たちも軽く頭を下げた。
「にしてもその仮面
氷の悪魔を思い出すなぁ」
氷の――。
「それ、詳しく――」
ギルマスが名を挙げた『氷の悪魔』。
それについて知らなければ、そう思い声をかけたとき。
「今回ァ、時間どおり来てやったぞ、クソマスター!」
勢いよく扉が開き、四人がなだれ込んできた。
先頭はチンピラ風の男。
後ろには、気の強そうな魔法使い。
優しげなシスター。
無口な全身鎧。
……圧がすごい。俺のSAN値がゴリゴリ削れる。
「い、今、話してたんだが……
ノックぐらい、しろよ……?」
「アァ? なんだテメェ!」
「……さ、サーセンしたぁぁ……」
無理。こわい。チンピラ無理。
シロの横に緊急退避だ。
チンピラたちが入ってきて、部屋の空気が一気に変わった。
「んで、あと何組来んだ?」
チンピラがギルドマスターに訊く。
態度がでかすぎて俺の胃が痛い。
「あと一組、てか一人のはずだなぁ……」
ガーヴェが答えたその時、扉が再び開いた。
入ってきたのは、金髪をひとつに結った男。
人間より少し長い耳――精族だ。
部屋に入るなり、何も言わずにまっすぐ椅子に座った。
「……なんだコイツ」
「最後の一組ってのはおめぇか
にしても、その態度、やっぱり気に入らねぇなァ!」
チンピラが噛みつく。
「喋りかけるな
こっちまで頭が悪くなる」
「アァァ?」
……うわぁ。
態度わるいな、こいつら絶対犬猿の仲だ。
「どうせ喧嘩になるんだから、いちいちちょっかいかけんのやめなさいよ」
青髪魔法使いが、チンピラを半眼で制止する。
この人が完全にお目付け役らしい。
「よっし、全員揃ったなぁ」
ガーヴェが手を叩き、場を収める。
「んじゃあ、件のドラゴンに対する情報共有と、
討伐作戦会議を始める~
全員座れ」
チンピラも渋々席についた。
俺も端っこの席で小さくなりながら、隣のシロに耳打ちする。
「なぁシロ……俺、今の時点でドラゴンよりあいつらが怖い」
「……カエデさん、今まで魔物相手に勝ち誇ってましたけど、
こういうタイプには弱いんですね」
「ち、違う!
ああいうのは普通の人間でも怖ぇんだよ!」
小声で反論するも、ユーガは俺を見て何も言わない。
その表情が『まぁ事実だな』って言ってる気がする。ぐぬぬ。
部屋には、三組九人の冒険者とギルドマスター。
俺たちだけが場違い感MAXだ。
これから始まるのは、国規模の討伐任務。
ドラゴンはまだ遠いのに、すでに胃が痛い。
――本当にこんなメンツで、ドラゴン倒せるのか……?
シロ(´-ω-`)「カエデさんの弱点、得たり」
カエデ(; ・`д・´)「お前初対面の時から態度変わりすぎじゃない?
舐めすぎだよな、俺のこと」
【チンピラスペック】
『ヘアー』・・・金髪!
『アイ』・・・赤くて目つき悪い!
『イアー』・・・いい!
『フェイス』・・・イケメン!
『ボディ』・・・強そう!
『マウス』・・・悪い!
【魔法使いスペック】
『ヘアー』・・・青い!
『アイ』・・・青い!
『イアー』・・・良い!
『フェイス』・・・キリっとしてる!
『ボディ』・・・身長『は』ある!
『オッパイ』・・・ない!
【シスター】
『ヘアー』・・・ゆるふわで金!
『アイ』・・・青!
『イアー』・・・ちょい悪!
『フェイス』・・・童顔!
『ボディ』・・・身長『は』ない!
『オッパイ』・・・ある!
【全身鎧】
『ヘアー』・・・黒!
『アイ』・・・黒!
『イアー』・・・普通!
『フェイス』・・・好青年!
『ボディ』・・・いかつい!
『ボイス』・・・ちっちゃい!
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