第六十八話 誰の味方?
「襲われてる!?霧島本家が!?」
奏の顔が青ざめた。
「常夜にですか!?」
「そうっぽーい⭐︎本命はあっちだね⭐︎」
焦る奏と対照的に、紫苑は軽く言った。
「紫苑さん!霧島本家に向かいましょう!!」
「今から行って何になるの〜⭐︎?」
紫苑は、本堂の外に歩き出した。
板張りの床が軋む。
「……じゃあ、どこに」
「戒んとこ⭐︎」
「……戒……!?」
奏は迷いながら、紫苑の後に続く。
境内を抜け、商店街に向かって歩いた。
「紫苑さん、もう少し急いで――」
「あ、狛」
紫苑が、足をぴたりと止める。
視線の先に、駆け足の狛の姿。
「おーい、負け犬〜⭐︎」
紫苑が狛を呼び止めた。
「紫苑!奏!」
狛が振り返る。
奏は急いで狛に駆け寄った。
「狛さん!どうしてここに!?」
「避難が残っていた。
近くの警官もやられて……俺しかいなかった」
狛の声は、いつになく早口だった。
焦っているのが伝わってくる。
「今、柊と颯がゲームセンターで戒とやり合っている」
「え!?」
奏の声が上擦った。
「避難誘導なんて優しいね⭐︎余裕あるじゃん。
で、戒は任せてきたって⭐︎?」
ゆっくり歩いてきた紫苑が、会話に加わる。
「二人を……信じたんだ」
狛は、拳を握り締めた。
「信じるって聞こえは良いけど⭐︎
あの二人、死んじゃうんじゃない?」
紫苑が嘲笑う。
奏が紫苑を睨みつけた。
「紫苑さん!冗談でもそんなこと……っ!」
「はいはい⭐︎」
「紫苑、さっき父さんから連絡があったんだが――」
「霧島本家が襲われてるって⭐︎?」
紫苑が、狛の言葉に被せて言う。
「……お前、一体どこでそれを……」
狛の瞳が揺れる。
「どうせ今から行ったって間に合わないよ。
それより戒でしょ⭐︎?」
「――ッ!話は後だ。走れ!」
狛の声で、三人は駆け出した。
その背後で、紫苑が小さく笑う。
「みんな生きてると良いね⭐︎」
紫苑はチラッと、スマホを伏せたまま画面を確認する。
「……順調順調⭐︎」
その言葉が、やけに軽く響いた。
霧島本家が襲われている。
柊と颯が、戒と戦っている。
響も、どこかへ消えた。
なのに。
紫苑だけが、焦っていない。
まるで――すべてが、予定通りであるかのように。
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※次回更新:3月5日21時
第六十九話 守る者の目




