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二つの心音――弟が守護霊になって帰ってきた  作者: しょう
重なりゆく心音

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第六十一話 絶対、死ぬなよ!!


「着いた!商店街は、こっから歩いてすぐ!!」


 光知瑠さんが、大通りの端に車を寄せてハザードを出した。

 僕たちがドアに手をかけた瞬間、


「ちょいまち!

 奏ちゃんと紫苑くんは、小須観音だよね?

 二人は近くまで送ってく!」


 光知瑠さんが言った。

 

 小須観音は、商店街の端にある。

 奏さんと紫苑さんとは、ここから別行動ということだ。


 他のメンバーは、お礼を言って車を降りた。


「ここ真っ直ぐ行けば、商店街の北側!」


 道をよく知る光流くんが先頭を走る。

 商店街の方向からは――人が、ぞろぞろと出てきていた。


「何か事件だって。警察に戻れって言われた」


「やばそうな気配なかったけどな〜」


 すれ違いざまに、そんな会話が聞こえてくる。

 焦っている様子はない。

 それが、逆に不気味だった。

 

 ――潜んでいるだけでも、十分危険だ。


 商店街の北側入り口に構える、パチンコ店が見えて来た。


「おい、柊!あれ!」


 何かを見つけて、颯が叫ぶ。

 

 パチンコ店の隣。ラーメン屋の入り口横に付いた小型の袖看板に、黒い霊害がへばりついていた。

 二メートルほどの高さの位置。

 

 次の瞬間――


 ガコッ!!


 付け根が軋み、袖看板が傾いた。

 真下には、若いカップル――気づいていない!


 心臓が、ひゅっと縮む。

 

「落ちる!!」


 僕が叫ぶより早く、狛さんが駆け出した。


 ガッ!


 狛さんの蹴りが、袖看板の軌道を逸らす。

 狛さんの足は、旋回する霊力に包まれていた。


 間に合った。

 落ちていたら……大怪我では済まなかった。


 狛さんは袖看板を地面に置いて尋ねる。


「大丈夫ですか?」

 

 状況を理解したカップルの顔が、青ざめていった。


「危な……!あ、ありがとうございます!」


 ――間髪入れず。


 ドンッ!!


 麗子さんが霊害を蹴り上げ、空中で祓った。

 狛さんは、続けてカップルに話す。

 

「……商店街は危ないようなので、今日は離れた方が良いです」


「は、はい!」


 カップルは急いでその場を去って行った。


「さすがです、狛さん……」


 素早い動き。人を守ることを最優先した判断。

 狛さんの凄さが、改めて身に染みる。


「こんなのが何体もいるって!?

 怪我人、出るぞ……!」


 僕の隣で、光流くんが言う。


「見えてないのが一番厄介ねェ」


 麗子さんは周りを見渡した。


「急ごう」


 狛さんの、低く強い声。

 僕たちは商店街の中へと、急いだ。


 電柱の影、アーケードの天井、A型看板の裏。

 霊害が、ところどころに発生している。


「……低級だけじゃない。中級も混ざってるね」


 商店街の奥に走りながら、光流くんが言った。


「狛さん!コイツら、放っておいて良いんすか!?」


 焦った声で、颯が尋ねる。


「優先すべきは上級だ。それに」


 狛さんが指さした先には、霊害を祓う人の姿が。


「少数だが、既に祓い師も到着している。

 役割分担は警察が済ませてるはず。ここは任せよう」


「はい……!」


 僕は前を向き直った。


「ゲーセンは、ここ曲がったとこだぞ!」


 颯が前方に飛び出し、道を示す。


「麗子!俺たちはこのまま行くよ!」


「オッケー、光流。

 狛、二人を頼んだわよォ!」


 光流くんたちとも、ここからは別行動だ。


「柊!颯!!」


 別れ際、曲がり角で光流くんが叫んだ。


「絶対、死ぬなよ!!」



読んでくださってありがとうございます。

※次回更新:2月28日12時

第六十二話 旋霊拳

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