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二つの心音――弟が守護霊になって帰ってきた  作者: しょう
重なりゆく心音

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第五十九話 動き出す、朝【後編】


 僕たちは石段を駆け下り、そのまま駐車場に向かった。

 他ルートに行っていたみんなも、順番に下りてくる。

 伊吹さんと福くんの姿だけが見当たらなかった。


「伊吹さんたちは残って、山の霊害の浄化にあたります。

 僕もそれに付き添います」


 斎賀先生が、僕の疑問に答えるみたいに言った。


「山の霊害はもう少しだそうです。二人で十分だと」

 

 奏さんが補足する。

 

 僕たちは駐車場の端に固まり、迎えを待った。


「迎えには、東雲警部が来てくれるのでしょうか……?」


 奏さんが尋ねた。


「いえ。警部はもう小須商店街に向かっています。

 日曜ですからね……かなり、一般人も多く……。

 しかも、動ける祓い師が足りないそうで」


 斎賀先生が眉を寄せる。

 

 霊害は――人を傷つけることだってある。


「では、一体どなたが――」


 奏さんの言葉をかき消すように、


 ブオォォン!!


 けたたましいエンジン音が響いた。

 物凄いスピードで、白いアルファードが駐車場に侵入してくる。

 不自然なほど車高が低い。


 ガガガッ!

 

 入り口の段差で、車体が擦れた。


「は!?ヤン車!?」


 咄嗟に颯が叫ぶ。


 あ、あの車は……。

 絶対、僕が近寄っちゃいけないタイプだ。


「……もしかして〜」


 光流くんが苦笑いする。

 車は僕たちの目前で止まり、車窓が降りた。


「迎えに来たぞガキどもー!!」


 顔を出したのは――光流くんの姉、光知瑠さんだった。

 ピンクのサングラスが、きらりと輝いた。


「やっぱり〜!姉ちゃん!!」


 光流くんが、光知瑠さんを指さした。


「あらァ、みっち〜!」


「れいたーん!」


 麗子さんが手を振る。

 手を振り返す光知瑠さんの指先には、凶器みたいな長いネイルが見えた。


「頭悪そうなヤン――」


 光流くんが慌てて紫苑さんの口を塞ぐ。


「姉ちゃんに殺されるよ!?」


 それにしても、どうして光知瑠さんが迎えに?


「しのっちから連絡来た!

 ママは昨日の営業で潰れて死んでっからさ。

 ウチが代わりに彼氏の車借りて来たんよ!」


「しのっち……?」


 僕は助けを求めるように、斎賀先生を見る。


「東雲警部は……スナックHikariの常連なんです。

 ……ついでに僕も……」

 

 気まずそうに視線を逸らして言った。

 狛さんも、咳払いして視線を落とす。


「この方が……光流くんのお姉さん……。

 そっくりですね……」


 奏さんは、光知瑠さんの勢いに押され、呆気に取られていた。


「詳しくは知らんけど、お前ら連れて商店街行けって言われて〜!緊急事態っぽかったから、とりあえず飛ばして来た!」


 光知瑠さんが、早口で説明する。


「急ぎなんでしょ!?早く乗りな!」


「は、はい!」


 僕たちは慌てて車に乗り込んだ。


「女子は前ね!れいたん、後ろでも良い?」


「アタシと颯は、上でもどこでも良いわよォ〜」


「姉ちゃん飛ばすから多分座ったほうが良いよ!?」


 光流くんの慌てた声が響いた。


 助手席に奏さん。僕と颯と紫苑さんが中央座席。

 後部座席に光流くん、麗子さん、狛さん。


「おい、紫苑。何でこっち来るんだよ」


 颯は、僕と紫苑さんの間に座っていた。


「後ろデカいの二人いて無理⭐︎」


「狭いよ〜!配置ミスじゃない!?」


 狛さんと麗子さんに挟まれて、光流くんが潰れていた。

 

「じゃあ、光知瑠さん、よろしくお願いします」


 車窓の向こうで、斎賀先生が頭を下げる。


「みんな、どうか無茶だけはしないで。

 事実、君たちの力が頼りだけれど……。

 君たちの帰りを待ってる人もいるから……」


 斎賀先生の声は、語尾が消えかけていた。

 

「山の霊害が片付いたら、僕もすぐに向かいますので!」


「おっけーおっけー!

 んじゃ、行くぞガキども〜!!」


 ブォン!ブオォォン!!


 エンジンが……普通の音じゃない。

 すぐさま颯が反応した。


「この車改造されてるだろ!」


「ウチは知らん!!」


 不安も、恐怖も、全部乗せて――

 車は勢いよく走り出した。


「商店街着く前に死ぬのは勘弁⭐︎」



読んでくださってありがとうございます。

※次回更新:2月27日19時

第六十話 赤いマップ

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