表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二つの心音――弟が守護霊になって帰ってきた  作者: しょう
重なりゆく心音

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/101

第三十五話 凡才の戦い方【後編】


「……っ」

 

 再び、お札を構える。

 紫苑の言葉が、まだ奏の耳の奥に残っていた。


「とりあえずさ、その武器の使い方からよく考えたら⭐︎?」


 霊力を纏わせて、投げる。

 この方法だけでは、もう通用しない。


「脳みそ搾り出さないと、君はこの先、一番足手まとい⭐︎」


 奏のお札を持つ手に、ぐっと力が入った。


「足手まといになんか……

 なりません!!」


 ヒュッ!


 お札を一斉に放つ。しかし、弾かれる。

 それでも、お札を放ち続けた。

 ――紫苑に向けて、だけではなく。

 

 紫苑は鉄槌を振り回しながら距離を詰めてきた。


 ブォン!


 鉄槌を避けながら、徐々に後退する。

 だが、奏は逃げているわけではなかった。


 奏の後方に、

 先ほど紫苑が地面に作った――“窪み”。

 そこに、張られた複数のお札。

 窪みは、青白い霊力の溜まり場となっていた。


 お札を利用した、罠だ。

 紫苑の足が、ここに触れれば……。


「嵌めたいの、バレバレだよ⭐︎

 罠から霊力ダダ漏れすぎ⭐︎」


「……くっ」


 奏が、表情を歪めた。


 ひょいと紫苑が窪みを飛び越える。

 視線すら落とさずに。


 そして――


 ズルッ!!


「あれ⭐︎?」


 紫苑の足元が滑った。

 

 窪みを飛び越えた先――

 砂に紛れるように、紫苑の足元にお札がもう一枚。

 水のように流れる霊力を纏っていた。


 誘ったのだ。

 敢えて、大きな霊力の溜まり場を作ることで。


 紫苑が、体勢を崩す。

 その隙を狙って、


「やぁっ!!」


 奏が、足を振り抜いた。

 

 “行ける!”

 

 奏には、手応えがあった。

 ――しかし。


 体勢を崩したまま、紫苑が鉄槌を振るう。

 あり得ない、体幹の強さ。


「えい⭐︎」


 バァン!

 

 奏の蹴りが、紫苑のみぞおちをかすったのと、ほぼ同時に。

 紫苑の鉄槌が、奏の横腹を叩いた。

 ――骨まで砕く重さではない。だが、十分すぎる痛み。


「……あっ――」


 ズシャアッ!!


 奏は左半身から、滑るように地面に叩きつけられた。


 両手で地面を掴み、砂を握りしめる。

 奏の胸の中を、悔しさが満たしていった。


「凡才にしては、まあ頑張ったね⭐︎」


 紫苑が奏に歩み寄る。

 けれども、手は差し伸べなかった。


「でも、君がこれからやることの、

 方向は合ってるんじゃない⭐︎?」


 紫苑には、まだまだ手が届かない。

 それでも、奏は起き上がった。

 

「泥でも磨けば光る⭐︎

 まだまだ、これからだよ」


 ズルくなる。

 けれども、誰かを踏み潰す強さには、なりたくなかった。

 答えは、これから見つければ良い。


 ――泥団子で、終わるものか。


 紫苑を、見据えながら、立ち上がる。

 奏の目の色は、暗く燃えていた。


読んでくださってありがとうございます。

※次回更新:2月12日21時

第三十六話 それぞれの、“支え方“

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ