異能集団、第零保護科
「ここはルビーシア帝国学院、グノレスの先祖学校だ。類は今日から、グノリス駆逐のために集められた異能集団、第零保護科で活動および、4人の育成をお願いする」
「育成多っ、4人もいるのかよ」
「みんな可愛いけど、融通が聞かないんだ、類には、正式で純情な子育てをお願いしたい」
指定各室の教室に入る。が、誰もいない。
だが、俺はどうしても受け入れられない。
椅子に座ってるやつはいない。視線、上からだ。4人の女が天井に張り付いている。
待て待て待て待て、何で天井にいるんだよ。
「ちょっと待て、何で天井にいるんだよ」
「ああ、毎日耐久して遊んでるんだよ」
「まず子どもじゃねーじゃねえか」
「グノリスに年齢はない。成長は個人の強さだ」
「何だよそれ」
べろーと舌を振り回すツインテールが降りてくる。俺の身体に密着してくる。
「おっと、新入生か、ぺろッテいい?」
「うわああ、長え」
「ぺろるのはよしてくれ、きらり」
「ふうん、後で豪勢に頂くとするか」
─── きらり。異能名
対象の存在・記憶・感情・痕跡を一点に圧縮し、世界をペロッと食べる異能力を持つ。
視界がべろから教室に戻ると、次の瞬間には、3人が椅子に座っていた。
頭に天使の輪が浮いている女は、何の使い魔なんだ。
「その方が、グレノスハイブリッド、プルサードなのか、太陽」
「そうだ、有望だよ、堕天。名前は音司類。グノリスと人間のハイブリットのプルサード。式使いはまだ全貌はしてないが、おそらく治癒再生と、反撃の式使いが出てくると予想している。まさに、グレノス駆逐を鑑みるかもしれない」
「こんなおっさんハゲにできるのか」
──堕天。異能名
因果を歪めた銃弾を放つ異能力。
回避・距離を無視し、標的にしか命中しない。
「おっさんだと、てゆうかはげてねーよ」
黒タンクトップ、黒パンツ、大事な所は黒で全てを覆われている。上腕二頭筋がムキムキで、俺の顔面をパンチしてきた。
血がブシャーってもう散々だ、歯と鼻が折れたじゃねえかよ、クソが。
「うえああああ」
「サンドバックにもならないけろ」
太陽がティッシュを渡してきた。おい、何回も再生するのだるいんだよ。
「鼻血でちゃったね、ところでまりも、雛の調子はどう」
「ピクピクが止まらねえよ、あと少しで大雛筋の誕生だ」
──まりも。異能名
肉弾戦、育成する異能力上腕二頭筋を中心に筋繊維が異常成長し、打撃・投擲・跳躍など、肉体武器かつ近接戦闘を行う。
上腕二頭筋の育て具合を雛と呼んでいるらしい。唾液を垂らしてよしよししている。
よし、最大限距離を取って、引いておこう。
俺は鼻の骨折と、歯の本数を数えながら、回復に尽力する。
「ふっ、治癒再生か。便利なもんだな」
「お前の上腕二頭筋の卵よこせ、ぶっ潰してやるからよ」
上腕二頭筋のまりもと俺は、攻撃体制に入る。
その間に太陽が両腕を伸ばして阻止する。
「まあ、まあ、幼稚も程々にね」
上腕二頭筋まりもとタッグを組んでる矢先に、
「陽キャ共が、うるさい」
「キコウ。まだ始まったばかりじゃないか」
声は聞こえるが、どこにいるんだと首を上下左右する。段ボールを頭に被った奴がいた。
「キコウ。中身は、透明なのさ」
「はあ?段ボールじゃん」
─── キコウ。異能名《竜哭》共鳴武装。
竜の骨格と魔導金属を融合させた長柄武装、刃身には竜文様に似た亀裂があり、赤く光線する。
「段ボールをとれば、何も見えない」
よく観察してみると、段ボールの奥で眼がパチパチしている。
「案外、粒らな眼なんだな」
「殺すぞ」
「てことで、以上、第零保護科。グノリス育成対象者4名。きらり、堕天、まりも、キコウ。条件は3つ。4人の異能育成。グノリス対象、全駆逐。家族団欒。類、精々、可愛く可愛く愛でてあげてね」
「いや、まじでこんな無理ゲーあるのかよ」
「第零保護科、零!!メイルック帝国のグノリス討伐。何事にも貪欲に、正々堂々とグノリス駆逐だお!!」
「だるいって、めんどくせー」
「汚い仕事はしたくありませんね」
「雛のパンプアップで忙しいんだよ」
「私は隠キャなんで引きこもってますね」
おいおい、共々全然やる気ねーじゃねえか。
それもそうか、こいつらも何にも知らず、グノレスに生まれ、同じ凶悪なグノレス駆逐の為に生きなければならないんだよな。それだったら、
「お前ら、正々堂々楽しもうぜ。どうせグノリス討伐のくそ反吐の人生なんだから、快感で満たしてやるよ。俺はお前らの育て役、音司類だ。何かあれば俺に頼ってこい」
いちごの太陽が泣いている。
「類、かっこいいよ、僕は一緒ついていくからね」
ふっ、俺の言葉に感極まっただろ。諸君ら。
「ねえねえ、今日寒いから鍋にしない」
「ありりーせっかくだし、類の骨でも入れて出汁作ろっか」
「うん、美味しそう」
「さんセー」
感情はない。おちも何も会話ひでえな。むしろ鍋のつつきあいで仲良くなれそうか。
4人は爆笑している。何が面白いんだ。
隼人がいなくなって、第零保護科で育成を任され、目が回るし、実感わかないけど、なぜか、今この時間が美味しくなってきた。




