98話 思惑通り
数時間後、イオタのアカウントが更新され、再び私と千尋さんが盗撮された写真が上がった。それにホテルの写真まで貼られた。
「おっと、もう来たらしいぞ」
「なら電脳世界に行きますか」
私はレミちゃんが入ったカバンを背負い、電脳世界に入った。
「さてと、過去を見るから何処に行ったか探してくれ」
「分かった、なら裂け目を作ってくれ」
千尋さんが鉈を振り降ろし、裂け目が出来ると私と千尋さんは入っていった。
「さて、イオタが来る前だから隠れるぞ」
私たちはさっき隠れた場所とは違う場所に隠れた。
(さてと、奴が来るまで待つか)
するとイオタが電脳世界にやってきた。
(周りを見ているな、相当私たちに追いかけられたことがトラウマになってるな)
イオタは再び盗撮すると違う場所にヒビを開けて現実世界に戻っていった。
「さてと、ここにヒビを開けたんだな」
千尋さんが裂け目を出し、私たちは元の時間軸に戻ってきた。
「じゃ、開けるよ」
私はヒビを開けた、そして目の前にはイオタがパソコンを並べてエゴサーチをしていた。
「やぁ、さっきはどうもやってくれたね」
私はガムを投げ、イオタの背中に無事に引っ付いた。
「もう追って来たのかよ!?」
イオタはすぐに逃げようとしてカバンに手をかけた、すると千尋さんはその手にガムを引っ付けた。
「なんだよ嫌がらせかよ!?」
イオタはすぐに逃げると私たちは追わなかった。
「せっちゃん、追わなくてもいい」
「どうして?」
「恐らく奴はガムが2個引っ付けられているとわかっているはずだ、だがもう一つのGPSはもうすでに入れてある」
千尋さんはイオタにガムを引っ付ける際、さらっと手の奥に隠していたGPSをカバンに入れていたのだ。
「さてと、これで部屋に戻ってイオタがどこに拠点を置いてるかの仕事だ」
「千尋さんってなんだか狡猾ですよね」
「まぁ騙しの技術はライさんに続いて私がうまいんだけどね」
そして私たちは部屋に戻るとパソコンを起動した。
「さてと、追跡出来てるかな~?」
私は千尋さんの指示のもとGPSアプリを開いた。
「うん、3基中1基は稼働してるね、他の2基は多分破壊されたな」
その1基は千尋さんがカバンに入れたGPSだ。
「千尋さんの先読み力、欲しいですよ」
「相手を観て知ることが大事なんだよね」
そしてGPSがとある地点で止まった。
「ここってネットカフェだな」
「そうですね、もしかしてイオタはネットカフェに住んでるのかな」
「身を隠すためにここを利用しているのか、なら話は早い。潰そうか」
そして私たちはイオタが潜伏しているネットカフェに向かっていったのだった。
「千尋さん、イオタがもし居て懲らしめたらどうするんですか?」
「警察に突き出す、当然のことだ」
「そうですよね~私たちの名誉を棄損してるんですから」
「ほかにそれ以外の選択肢が無いんだよね~」
電車を乗り継いでいき、数十分後、イオタが潜伏しているネットカフェに着いた。
「さてと、店員に用件だけを伝えてイオタの部屋に行くぞ」
私たちは店員に今から荒事を起こしますが気にしないで下さいと言った。そしてイオタが潜伏している部屋に着いた。中からはいかがわしい音声が流れてきていた。
(もしかしてこいつ……えっちぃやつみてる!?)
「ほぉん、そう言う趣味があったのか、なら懲らしめたらやってやるか」
千尋さんが不敵な笑みを浮かべるとドアを蹴り飛ばした。
「オラァ!今度こそ逃げられないぞ!」
「うわぁ!?ここまで追ってきたぁ!?」
私はふと目にしてしまった、パソコンのモニターには明らかに未成年の子が中年のおっさんに襲われているビデオを。
「へぇ、良い趣味してるじゃんか、私も混ぜろよ」
その時千尋さんの周りに黒い何かが漂い始めた。
「いいかせっちゃん、私は一度死んでいる身、だから身体と魂がガバガバでな、この鉈を授けてくれた奴を身に宿すことでね」
すると千尋さんの姿が変わった。
「スペックが増すんだ」
すると千尋さんはイオタの首根っこを掴んだ。
「ガハッ」
「ほら、お得意の逃げ足で逃げないのか?」
千尋さんはどんどんとイオタの首根っこを絞めていくとイオタの意識がどこかに行った。
「まったく、人間は脆い」
すると黒い何かが千尋さんの体から出ていくと元の千尋さんに戻った。
「さてと、このDVDはこいつの私物のようだし燃やすとして……せっちゃん、こいつを警察に運ぶぞ」
「分かった、けどあっさりだな」
「この鉈の元の持ち主が急に私に憑依してきたからな、仕方ないよ。こいつは弱かったんだ」
(千尋さんの本当の力って一体どんなパワーなんだ?考えるだけでも恐ろしい)
そして私たちはイオタを警察に引き渡し、盗撮容疑で逮捕された。そしてDVDは誰もいない空き地で燃やした。
「しかしあいつはとてもクソだな、人の傷を増やしやがって……」
「千尋さんってなんだか性被害に厳しいですよね」
「そうだな」
千尋さんはそう言うと胸に手を当てた。
「私には使命があるんだ、性被害を無くすことに。古き友人と誓ったんだ」
「千尋さん……」
千尋さんのどこか物哀しそうな顔をしていて私はふと千尋さんの近くに寄った。
「ありがと、少しだけ心の傷が癒えたかも」
「どういたしまして、私は千尋さんが性被害についてどう思ってるか聞かないよ。だって気分を害したら私にとっても千尋さんにとっても得は無いからね」
「まぁ、そうだな」
私と千尋さんは空き地を離れ、宿に戻っていった。その時の空の色は赤色で日が落ちる直前だったのだ。
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