95話 恐怖の盗撮狩り
翌日、私と千尋さんは遅くまで部屋に居た。
「千尋さん、外に出かけないんですか?」
「今は午前の10時だろう、そしてラムダとジータはもうすでに外に出ているんだ、つまりもう情報が出ている可能性があるんだ」
千尋さんは私にかっこいい顔でパソコンを渡してきた。
「……とてもカッコ悪いですよ」
その言葉は千尋さんの心に少しヒビを入れた。
「さてと、このメールに書いてあるアカウントを見ていけばいいんですね」
私はメールに書いてあるイオタらしきアカウントを見ていった。
(まだラムダとジータの情報が書き込まれていないな、つまりまだラムダとジータの居場所が分からないと言う事か)
その時ちょうどアカウントの投稿が増えた。
「千尋さん……この写真って」
投稿された写真、それは今の私と千尋さんがパソコンで何かを検索している写真だった。だがちょうどよくパソコンは画角の影響で見えていなかった。
(もしかして後ろに!?)
私は後ろを見た、だが何もなかった。
(何もない、この写真は後ろから取った画角なのにどうして?)
「せっちゃん、ちょっと後ろにヒビを作って」
千尋さんがそう指示をしてきた。
「えっ、どうして!?」
「いいから早く!奴を追跡できない!」
私は渋々ヒビを開け、電脳世界に入っていった。
「クソッ、取り逃したか」
「遅かったですか、足跡さえあればよかったんですけどね」
すると千尋さんは鉈を取り出した。
「仕方ない、未来に影響を与えたくないが……これを使うしかないか」
すると千尋さんは鉈になぜか念じ始めた。
「千尋さん、一体何をしてるんですか?」
すると千尋さんの周りから黒い何かと黄色い何かが鉈に流れ込み、そして何もない空間を斬った。
「ふぅ、この力は使いたくは無かった」
「千尋さんこれって一体何なの?」
「これか?鉈の能力って言っていいのかな、空間を引き裂いて自由に過去に渡ることが出来る」
「過去に渡ることか……なんだかかっこいいですね」
「まぁな、だが起こしてはいけない事、それはタイムパラドックスを起こすことだ。例えば親を殺せば私が生まれなくなる、だがそれだとしたら親が生き返る、これがタイムパラドックスだ」
「つまり時間に影響を与えたらだめってことだよね」
「そうだ、だから物陰に隠れて盗撮した奴を判明させるぞ」
そして私たちは千尋さんが作った裂け目に入った、周りは変わり映えしなかった。
「さて、この遮蔽物に隠れようか」
「でもあの裂け目、イオタには見えないんですかね?」
「見えない、私とせっちゃんにしか見えないんだ、だがイオタから私たちは見える、だから隠れる必要があるんだ」
するとヒビが空間に入り、イオタらしき人がやってきた。
(もしかしてあれがイオタなのかな?)
体の特徴はもやしみたいな体をしていて両手には一眼レフがしっかりと握られていた。
「千尋さん」
私は千尋さんに声をかけた、だが千尋さんは私の口を手で押さえた。そして千尋さんはハンドサインで話すなと言った。
(一体なんだ?)
イオタがこっちを見て警戒していた。
(もしかして奴に聞こえていたのか?だとしたらまずいことになったぞ)
だがイオタはヒビを開け、私と千尋さんを盗撮したのだった。
(イオタが盗撮をしていてデマを流していたのか、これで動かない証拠を手に入れたぞ)
イオタが帰ると私たちは裂け目を通って元の時間軸に戻ってきた。
「さてと、イオタが最初に開けたヒビを開けてくれないか?」
「その鉈、なんだか多機能ですね~」
「まぁな、これは切り裂きジャックにもらった鉈だ、それに八尾狐に貰ったお守りが作用してあんな能力を出せるようになったんだ」
千尋さんはそう言うと鉈についているお守りを見せてきた。
「八尾狐……会ったことありますよ」
「まじで?いつ会ったんだ?」
「千尋さんが北海道で倒れてる時に現れてましたよ」
「その時に会ったんだな、後で稲荷寿司を持っていかないとな」
そして私はイオタが最初にヒビを開けた場所に向かってヒビを出した。
「ここですね」
「ああ、突撃するぞ」
私と千尋さんは勢いよく現実世界に出るとそこに居たのはイオタだった。そして建物の屋上、逃げ場は非常階段しかなかった。
「さて、私たちを盗撮してくれて噂を流したヒョロガリ君」
「お仕置きの時間だ、ベイビー」
「ヒッ!?」
イオタがこっちをゆっくり見ると急いで非常階段に逃げ始めた。
「おっと、何処に行くんだ?」
千尋さんが非常階段から急に現れた。
(あれ、どうして千尋さんが瞬間移動を)
「せっちゃん、この瞬間移動は鉈の応用編だね、一旦過去に戻り、好きな場所にもう一度裂け目を作ると現実に戻ると同時に元の時間軸に戻ってくるわけさ、だからこうして瞬間移動をしたように見えたってわけ」
私は千尋さんが持っている鉈の能力が強いことに驚いていた。
(千尋さん単体の力はないけど鉈があることによって強いんだ)
千尋さんはじりじりとイオタに近づいていった。
「あっ、そろそろ奴が来るぞ」
その時上から鏡花さんが降ってきた。
「四季の舞・冬!」
イオタは上を向くと鏡花さんの剣筋を見切った。
「何!?」
「千尋さんいつ鏡花さんに電話をしたんですか!?」
「過去にいるときに電話をした、どうせ鏡花さんは私の声が過去の私の声なんて疑わないからね」
「過去やら知らない事を話しているでござるな……後でわたしにも聞かせるんでござるよ!」
「ああ、イオタをとにかく戦闘不能にしたら話してやる、鏡花さん」
(そういえばこいつのレガリアって何だっけ)
イオタを追いつめた私たち、だが何か違和感があるのだった。
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