93話 言葉の弾丸
ふと目が覚めるとなぜか電脳世界に居た。
(あれ、もしかして寝ぼけて電脳世界に来ちゃったかな)
私は現実世界に帰ろうと地面に手を伸ばした、だがお腹の上に居たレミちゃんがどこかに走り出した。
「ちょっと、レミちゃんまって」
私はレミちゃんを追いかけていくとなぜか地面が草原に変わっていった。
(あれ、電脳世界って豆腐みたいに真っ白の世界じゃないの?)
レミちゃんがぐるぐると回っていてその中心に人の足が見えた。
(なんだあの人)
私は目線をあげた、だが私は再び目を覚ました。
(あれ、さっきの人はいったい誰だったんだ?)
レミちゃんが私の顔を舐めまわしていた。
「……今って何時なのかな」
私はゆっくりと体を起こし、時計を見た。
「ゲッ、もう18時ってマジかよ!?」
私は急いで部屋のドアを開けた、奥には鏡花さんと千尋さんが立っていた。
「遅いぞせっちゃん、寝てたのか?」
「完全に眠ってたね、気が付かなくてごめんね」
「ふん、セツナは抜けているところがあると」
鏡花さんは部屋の中に入っていくと刀を手入れしていった。
「それでラムダとジータは何処に居るんだ?」
「多分まだゲームセンターだね」
「あいつら……せっちゃん行くよ」
千尋さんは私の手を引いてゲームセンターに向かっていった、その後をレミちゃんが追ってきているのには気が付いた。
(レミちゃんもついてきちゃってるなぁ……抱っこしていくか)
私はレミちゃんを抱き抱え、ちひろさんを追った。
「しかしラムダとジータは仲がいいのね」
「だってねーちゃんって呼ぶ仲だよ?仲が悪いわけがないじゃあないか」
「正直あの二人が居れば大抵の荒事は解決しそうだよね」
「ジータが暴走しなければ、ですけどね」
私たちはゲームセンターにたどり着き、ラムダとジータを探していった。
「さてと、ここから二手に分かれるぞ、私はあの音ゲーのコーナーに行くからせっちゃんはメダルゲームのコーナーを」
「わかった、捕まえたら連絡してね」
私と千尋さんは二手に分かれ、私はチャリンチャリンとメダルの音が鳴るエリアでラムダとジータを探すことにした。
(一般客が居る中で争いごとをしてたら必ず目立つよね……何処に居るんだ?)
私は一般客の顔を一人ずつ見ていった、だがこのエリアに二人はいないようだ。
(だとしたら音ゲーのコーナーだよね)
私は千尋さんに一報を入れ、音ゲーのコーナーを見ていった。
「千尋さん、ラムダとジータいましたか?」
「ああ、居たぞ。見ろ、見事な間抜け面だ」
ラムダとジータは千尋さんに首根っこを掴まれて動けなかった。
(あれ、この光景は猫の動画で見たような……)
猫は首根っこを掴まれると脱力する動画を私は以前見た事があるのだ。
「じゃ帰るぞー」
ラムダとジータはなんだか申し訳なさそうな顔をしていてなんだか可愛そうだった。
(でも私たちを心配させたんだよね……)
そして千尋さんは二人の首根っこを掴みながら宿に入り、そのまま部屋に入った。
「さてと、どうしてこんな遅くまで外を練り歩いてたの?」
「ごめんなさい」
「盗撮されたらナイフで切り刻むつもりでした」
「いいかい?相手は一般人なんだ、殺しちゃったらもうそれは罪なんだ」
「はい……」
「でも正当防衛が成立すればいいんだよね?」
「いいや、盗撮されてカメラのレンズを割るのならいい、だけど殺しちゃったら殺人なんだよ、分かる?」
「私は分かったけどジータは多分」
「わからないです!」
ジータは被虐体質でわざと傷つけられたいと思っているのだろう。
「それに誘拐されるかもしれないよ?それでもいいの?」
「それだったら一人の時に切り刻む!」
その時私と千尋さんは頭を抱えた。
(ダメだこりゃ、ジータに何を言っても無駄だな)
「でも人を殺してはいけない、それは分かってます」
「なら人は?」
「殺さないでいいよね、ねーちゃん」
「それでよし、なら先に二人は風呂に行ってらっしゃい」
ラムダとジータは千尋さんの一言をきっかけに風呂に向かった。
「さてと、私たちの方でも解析を進めないと」
「千尋さん、それってパソコンですか?」
「そうだ、情報を調べるために使うんだが……私はこういう情報機器を使いこなせる覚悟がない。だからせっちゃん頼む」
「えぇ?」
私は千尋さんにパソコンの操作を任せられた。
「それでこのサイトは主要なSNSだ、ここで検索をしたら画像やらが出てくると思うぞ」
私は最近投稿された画像で検索をかけた、するとラムダとジータに関することが出てきた。
「これってラムダとジータの写真だよね」
音ゲーをやっている時の写真や飲み物を買っている時や飲んでいる時が盗撮されていた。
「これ本人に見せたらだめだよね」
「ああ、中にはセクハラ発言をしてるアカウントがあるな、本当に警戒しないと誘拐されかねないぞ」
幸いにもこの宿に潜伏していることに気が付いている人はまだ誰もいないようだ。
「うーん、どうしたものか」
千尋さんは何やら悩んでいると着替えを取り出した。
「まっ、シャワーを浴びたら何か思いつくでしょ」
「まさか今から風呂に入るつもり?」
「そうだが何か異論はあるか?」
「いえ、無いです」
私は千尋さんに風呂に入ることを勧められ、渋々風呂に入ることにした。
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