91話 バチギレレミちゃん
部屋でゆっくりしている私は何も考えずにリラックスしていた。だが私が所属している会社に疑問を持ち始めた。
(しかし私が所属してる会社って一体どんな規模の会社なんだろう、一般人には知られてないけど界隈では知られているみたいな感じなのかな)
知る人ぞ知るみたいな会社なのか一般には知られていない会社なのか分からないのだ。
「でも極道と繋がっているとなると後ろめたいのかな」
レミちゃんが私のそばに近寄ってくると私はレミちゃんを抱きあげた。
(考えれば考えるほど闇が深い会社なのかなぁ)
レミちゃんはテレビのリモコンをいじって気に入るチャンネルに変え始めた。
(そういえばさっきレミちゃんは人間になりたいって体で表していたけど、もしかして私たちの行動を見て真似をするのではないのか?)
レミちゃんはリモコンの操作を知らないはず、だが悩まずに押してるから私たちの行動を見て真似をしていると見て取れる。
「レミちゃん、一体何を見ようとしてるの?」
私は片手でレミちゃんを抱え片手で水を飲んだ。
「くきゅ?」
レミちゃんはあるボタンを押した、そしてチャンネル名はアダルトという文字を見ただけで私は急いでレミちゃんからリモコンを取り上げようとした。
「ちょっとレミちゃんそのリモコン貸して」
「きゅあー」
私は急いで地上波の放送に切り替えた。
(危うくアダルトチャンネルに切り替わるところだった……レミちゃんには刺激が強すぎるぞこりゃ)
「レミちゃんは私たちの行動を真似してるのかもしれないけどね、していい事としたらダメな事があるのよ」
「くきゃ~?」
レミちゃんはおっとりとした顔でこっちを見ていた。
「って全く気にも留めてない顔をしてるね、そこは憎めないんだから」
私はレミちゃんを放ち、気になるテレビを見た。
(ニュース番組は今の情勢とか見れるから優秀だね、でもその情報は正しいかと言われたら怪しいけど)
人間は自身の不利になることには蓋をする生態があるから不景気になることはあまり報道されない、だけどSNSで広まるから意味を成してないんだけどね。
「きゃ~」
レミちゃんはカバンに入ってどこかに行こうよーと言っているような感じだった。
「レミちゃんもしかして散歩に行きたいの?」
「きゃ!」
「はいはい、千尋さんに鍵を預けてから行くよ」
私はレミちゃんをカバンに収納し、千尋さんに鍵を預けた。
「千尋さん、ちょっと散歩してきます」
「そうか、鍵はもらったから行ってきてもいいよ」
「じゃ、そうさせてもらいます~」
私は一人で散歩を始めた、背中からレミちゃんの声がかすかに聞こえてくるけど気にもしていなかった。
(公園に行ってみようかな、でもこのあたりの土地勘がないから公園がどこにあるか分からないんだよねぇ)
私は地図アプリを開き、近くの公園を探した。
「うーん、この芝生がたくさん生えてる場所にするか」
私はその場所まで歩き、レミちゃんを出した。
「ほら、遊びたかったんでしょ?」
「きゅわー!」
レミちゃんは芝生の上を走り出し、周りの人の目がレミちゃんに釘付けだった。
(しかし知らない生物だし見ちゃうのは仕方ない、だけどこんなに子供を寄せ付けるのか?)
子供がどんどんと集まってくるとそのうちだるまさんがころんだをし始めた。
(もう子供と打ち解けてるし、全く子供は私たちには分からない何かが分かるんだろうなぁ)
私は保護者のようにレミちゃんを見守っているとなんだか背中が冷えてきていた。
(なんだか冷や汗が流れてきたなぁ……何だ?)
私は後ろを振り向いたが誰もいなかった。
(一体なんだったんだ?)
レミちゃんの方を見ると再び背中が冷えてきた。
(やっぱり何かいるんだよな、幽霊か?千尋さんの一件で幽霊は実在するって思っちゃったからなぁ)
レミちゃんがこっちに近づいてきた。
「あれ、もう疲れちゃった?」
「にょ」
レミちゃんは地面に落ちてた石ころを拾い、私の後ろに投げつけた。
「レミちゃん!?」
私は勢いよく後ろを振り向いた、そこに居たのはさっき極道に痛めつけられていた男二人組だった。
「ぐぎゃぁぁ!!!」
レミちゃんがなぜかバチギレの意味が何となく分かった。
(もしかしてレミちゃん、私が盗撮されてるから攻撃を?)
そしてレミちゃんは全身で怒りを表していてこのままだと突撃していくと判断した私はレミちゃんを脇に挟んで逃げた。
(出来るだけ遠くに逃げるんだ……でもレミちゃんがあんな怒るなんて、どうかしたのかな)
盗撮されてあんなに怒っていたらさすがに変だけど何か意味があるのかなと思いながら宿に駆け込んだ。
「はぁ……はぁ……さすがにあの場所からここまで休憩なしで来るの疲れるな」
私はエレベーターで屋上に上がり、休憩し始めた。
「あれ、せっちゃんどうしたその息の上がりは」
「ちょっと盗撮にあってね、それでレミちゃんが凄い怒ってたんだ」
「へぇ、レミちゃんって怒るんだね」
「ふんふす」
レミちゃんはなんだか誇らしげにしていた。
「でも逃げなかったらレミちゃん男たちに突撃してたよね、そこは反省してね」
「きゅる~?」
レミちゃんはぶりっ子をして許しを乞う、だが私は許さなかった。
「だぁめ、そんな顔で許されていいほどの事じゃあないんだよ」
レミちゃんは一応石ころを投げていて恐らくレンズを割ったのだ。
「でもせっちゃんを護ったという点ではよくやったと言えるね」
「きゅわー」
そして私はレミちゃんが屋上のスペースで走り回るのを見ていたのだった。鏡花さんは何か物足りないなという目でこちらを見ていたのだった。
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