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ビヨンドザアンノーン?  作者: 猫こんた


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90話 解析課

人目を避けながら宿に戻り、宿泊部屋に入ると千尋さんは電話を掛けた。

「ライさん、今大丈夫ですか?」

どうやらライさんに電話を掛けているようだ。

「今展開しますね」

千尋さんは地面に六角形の板を設置するとライさんの全体像が出てきた。

「えっ、これって実体ないよね?」

私はライさんの体に触れようとしたが通り抜けた。

「セツナには言ってないよね、ホログラム投影技術と言ってね、遠隔地で話す時のスタイルなんだよ」

「北海道では展開してなかったけど大阪は敵が部屋に突撃してこないから展開できるんだよ」

「ってセツナ何してるの?」

「胸平たいのかなって」

「当然まな板だよ、何言っちゃってるの?」

すると私と千尋さんは何かを確信すると親指をあげた。

「うん、私たちの仲間」

「一体何を言ってるんだ君たち」

千尋さんは今大阪で起こっている事を話し始めた。

「まず、私たちが暴力を振るっているというデマが拡散されてます」

「おっと、本当にしてないのよね?」

「本当にやってたら警察沙汰ですよ。実際鏡花さんが銃刀法違反で逮捕される一歩手前でしたよ」

「まぁこの時代になってから銃刀法が緩くなったのがあるけどねぇ」

ライさんは少し悩むと私たちに何かを要求してきた。

「まず何をしてほしいんだ?」

「解析課を動かしてほしいですね、誰が私たちのデマを流したのかを」

「分かった、あいつらは出来る限り動かしたくなかったけどね、仕方ないな」

そう言うとライさんは一つの紙を書き始めた。

「そういえばせっちゃん、このホログラム投影技術ね、人間の動きを細部まで再現するから下着一丁で応答すると……」

「やめてくれよ千尋、私の失敗を言わないでくれ」

(あっ、以前ライさんが下着一丁で応答しちゃったんだね……南無)

「セツナ!?なに勝手に哀れんでるのよ!?」

「いえ、ただ失敗を妄想してたんですよ」

「妄想しないで!?」

下着一丁はライさんにとってトラウマのようだ。いやなんで会社で下着一丁になるシチュエーションがあるんだよ。

「なら解析課を動かすって事でいいよね」

「そうですね、後民間人が付きまとったら勝手にしばいてもいいですよね」

「害が及びそうだったら許可する」

「了解です、では」

通話が終わるとホログラム投影技術の装置を千尋さんが回収した。

「せっちゃん、間違っても下着一丁で出ないようにね」

「うん、もし出ちゃったら社会的な死が待ってますね」

「ああ、ライさん相手だと考えている事が分かるからいじり倒されるからね」

「要するに精神攻撃って事ね、わかりました」

千尋さんが荷物を整理する中、私は手を洗いに洗面台に向かった。

(レミちゃんを押しつぶしてしまったけど、なんだかクッションのような感じだったなぁ、もしかして骨無いの?)

私は手を洗うとレミちゃんを両手で持った。

(明らかに骨格はあるんだよなぁ、折れてないよね?)

私はレミちゃんを回転させたがどこも痛めている箇所は無かった。

(持ってるとなんだかモチモチしていてぬいぐるみのようだな、抱いて寝たら明日スッキリ起きれそうだ)

レミちゃんは私の目を見て困惑の表情を浮かべていたが今更どうもこうもない。私はレミちゃんの腹に顔をうずめた。

「あーなんだかお日様の匂いがする、好き」

レミちゃんが私の頭を抱えた、どうやらもっと吸えと言う事らしい。

「せっちゃんどうした」

私は千尋さんの言葉が聞こえ、すぐにレミちゃんの腹から顔を離した。

「ただ単にレミちゃんのお腹を吸ってただけなんだ、別にやましい事なんてしてないぞ」

「ふーん、そうなんだぁ~」

千尋さんは何だか不敵な笑みを浮かべていた。

(少しだけレミちゃんを放し飼いにしてみようかな)

私はレミちゃんを両手から離すとあたりを探索し始めた。

(一体何をしようとしてるのかな)

レミちゃんはソファーに座るとテレビのリモコンを手に取り、操作し始めた。

「千尋さん、レミちゃんがテレビの電源を」

「あら、私たちの真似事をしてるのかな」

(こうしてみているとなんだか保護者になったような気分だなぁ)

レミちゃんの好きなものが分かるかなとそのまま放置しているとなぜかお笑いを見始めた。

(お笑いが好きなのかな?)

するとレミちゃんは何か不服そうに唸っていた。

「んぐむぅぅ」

「レミちゃん、一体何が不満なの?」

レミちゃんの近くに行くと私の全体像をじっくりと見始めた。

「あっ、ちょっとまって!」

レミちゃんは何かを思い出したかのように部屋中を走り出し、ペンと紙を持って何かを描き始めた。

(もしかしてお絵描きをしたかったのかな?でも速くペンを走らせてる)

何かを描き終えたレミちゃんは私に描いたものを見せてきた。

(これって……!)

それはレミちゃんの姿と人間の姿が書かれていた。

「この人間って私?」

「んぐ!」

どうやら違うようだ。

「んぐぐうむ」

レミちゃんは背伸びをしていて何かを伝えたいようだった。

「おっ、せっちゃんは何をしてるんだ?」

「千尋さん、レミちゃんが何かを伝えたいようですよ?」

「おっ、なんだ?お姉ちゃんに伝えて?」

千尋さんはレミちゃんをじっくりと見て何を伝えたいのかを見た。

「ふんふん、なるほどね」

千尋さんは私に向かってこう言った。

「どうやら人間になりたいって」

「人間になりたいかぁ……えっ!?」

私はレミちゃんを抱え、ぎゅっと抱きしめた。

「うん、きっと人間になれる、だから今を頑張ろう」

「んぐむ!」

レミちゃんは何やら元気が溢れ、たれ耳をパタパタし始めていた。

「レミちゃん元気が有り余ってるよ」

「ドッグランで走らせておく?」

「いやなんでレミちゃんを犬扱いしてるのよ、でもさすがに今日は疲れたし部屋でゆっくりさせてくれない?」

「私は屋上に行こうと思ってるけど、せっちゃんが残ってくれるのなら鍵番、頼む」

そして千尋さんは部屋を出るとレミちゃんがベッドでくつろいでいた。

(レミちゃんって人間になりたいのか、とっても変わった願い事だなぁ)

レミちゃんが人間になれる日はいつになるか……そして私が生きている間にその雄姿を見届けられればいいなぁと考える私だった。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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