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ビヨンドザアンノーン?  作者: 猫こんた


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87話 匿名故の弊害

宿に戻ってきた私たちは宿泊部屋の前で座っていた鏡花さんを見かけた。

(あれ……鏡花さんがどうして部屋に入らずに……あっ)

私はその時気が付いた。宿泊部屋の鍵は千尋さんが持っていることに。

「千尋……何かいう事は?」

「なんかその……ごめんなさい」

「よろしいでござる。1時間待ったのだぞ?」

「本当に申し訳ない……」

鏡花さんは少し不満そうにしていた。

「その詫び……行動に移してもらわないといけないと思うのは私だけでござるか?」

「何をしたらいいんでしょうか」

いつの間にか千尋さんと鏡花さんの立場が逆になっているのを見ていると鏡花さんは意外なことを要求した。

「千尋殿と呼ばせてくれないか?」

「それだけでいいのか?」

「あー違う、千尋殿、私の飲み物とスイーツを買ってきて来い」

「分かりました……」

そう言うと千尋さんは私に部屋の鍵を託し、鏡花さんのパシリとして飲み物とスイーツを買いに行った。

「見事なパシリだね……」

「ねーちゃんは私をパシリにしないよね!」

「みんな……部屋に入ろうか」

私たちは部屋に入り、今日の疲れを取るために風呂の準備をしていった。

「ほら、レミちゃんはこっち」

レミちゃんは大人しく私に抱っこされて椅子に立った。

「そういえば何処に行ってたんでござるか?」

「ちょっと言えば複雑なんだけどさ……SNSで私たち賞金首になってるのよね」

「賞金首とな……詳しく聞かせろ」

鏡花さんは何故か刀を研ぎ始めた。

「ちょっと待って!?何か勘違いしてない!?」

「私以外の4人が賞金首だろう?」

「いやあなた含めてだから!?」

「そうなのか?ならいいでござるが」

私は大きな安堵のため息を吐くと鏡花さんに今までの出来事を話していった。

「まずSNSで私と千尋さんが盗撮されててね、付きまといがあったんだ、それでラムダとジータには刺客が来たってね」

「ほぉ、それは私の元に来る可能性が?」

「そうだね、今のところはそこまでしか分からない」

すると千尋さんが息を切らせながら飲み物とスイーツを買ってきた。

「おうおう、早かったじゃあないか」

「これでいいんだよね」

「私は甘党だからな、冷蔵庫に入れておいてくれ」

「千尋さん、SNSの件はどうします?」

「そうだなぁ、今のところは分からないし警戒しておくだけにとどめようか」

「警戒ですね、了解しました」

鏡花さんは引き続き刀を研ぎ、私たち4人と1匹は風呂に向かった。

「SNSは匿名性があるから黒幕の特定は無理だろうな」

「千尋さん、SNSやってるんですか?」

「情報収集でやってるね、だけどその情報が嘘か本当か見極めないといけないからあまり当てにしてないけどね」

「ねーちゃんはやってるの?」

「やってるわけないよ」

風呂でそんな話をしているとレミちゃんが風呂桶で滑り始めた。

「レミちゃん、風呂桶でスケートしたら駄目でしょ」

私はレミちゃんを抱っこして拘束した。

「ぎゃー」

「こーら、暴れちゃだめでしょ」

レミちゃんの体を洗うのに一苦労し、私も体を洗い始めた。

(レミちゃんの知能が一段と上がった気がするなぁ……まさか風呂桶でスケートをするなんて)

体を洗いレミちゃんを脇に抱えながら湯船に浸かった。

「やっぱり一日の終わりの風呂は最高だなぁ~」

するとお腹の虫が鳴り響いた。

「今のお腹の虫、せっちゃんか?」

「そうだけど……最近バグを食べてないからね~」

「そうだな……今日の夜にバグを食べるのか?」

「レミちゃんを置いて行ってくるよ」

「私はそのレミちゃんを抱っこして待機してればいいのか?」

「千尋さん、レミちゃんを頼みますよ」

「きゅーる」

私はレミちゃんを千尋さんに託し、風呂を上がった。

(さてと、裸で電脳世界に乗り込んだらいけないしきちんと服を着ないと)

私は服を着て宿泊部屋の前まで来た。

(ここでいいでしょ)

私はヒビを作り、中に入っていった。

(おっ、雑魚バグがいるなぁ~)

私は片腕のデバウアーを見た。

(ちょっとバグを呼んでみるか)

私はデバウアーで声を発しバグを集めた。

「ぎゃおぉぉぉおお」

するとどんどんとバグが集まってきた。

「さてと、これが私の食事だ。いただきますっと」

そして私はバグをデバウアーで食べ始めていったのだった。久しぶりに感じる満腹感はどんな感じなのか、ワクワクしていた。

(大阪のバグってなんだかたこ焼き味やら郷土料理の味に似てるかも……)

バグの味にもいろいろとあると感じつつ私はたらふく食べていった。そして腹八分まで行った頃、ヒビから千尋さんが顔を出してきた。

「せっちゃん、ここで食べてるのか……」

「なんだか今日は多いんだよね、それに大阪の味がするんだ」

「そうか、満腹になったら帰って来いよ」

そして千尋さんはヒビの前で待機していた。

(もうそろそろで満腹だね、そろそろ現実世界に戻るか)

私はヒビを通って現実世界に戻ってきた。

「ヒビよ、閉じろ」

私はそう言うとヒビがどんどんと閉じていった。

「ふぅ、満腹満腹」

「ごちそうさまは?」

「はい、ごちそうさまでした」

そして私たちは宿泊部屋に入っていった。するとレミちゃんが一人で歩き出し、ベランダの椅子に座った。

(私の特等席が取られたなぁ)

どうやらレミちゃんは外の夜景を見たかっただけだったらしく、じっと夜景を見つめていたのだった。

「さてと、明日からの動きだけど各々場所が分かるようにメッセージアプリで今どこにいるか送信していこうか」

「もしトラブルに巻き込まれたら?」

「メッセージアプリで知らせて。気が付いた人からその人の場所に向かって」

「千尋さん、私千尋さんと行動したいな」

「いいぞせっちゃん、だけど私は動くスピードが遅いからな」

「千尋殿、私は屋上で素振りを」

「鍛錬しすぎると腕が痛くなるよ?」

「ラムダとジータは多分明日ゲームセンターに籠るかもしれないです」

「おっけ、なら明日に備えて各々自由に行動!」

千尋さんの号令で私たちは各々自由行動をし始めたのだった。

(もう夜かぁ……戦って寝ての一日だったなぁ)

私は今日の事を振り返っていた。

(でも今思えばシグマは必要悪として必要だったのかな……?)

私はまだシグマの事を思っていた。あの行動が正しかったのか、それとも間違っていたのか分からなかったのだ。

「まぁいいや」

私は財布を持ってコンビニに向かい、スナック菓子とジュースを買おうとした。

(疲れたし少しの贅沢ぐらいいいよね)

スナック菓子とジュースを買った私はすぐに部屋に戻り買った物をテーブルに広げた。

(やっぱりチートデーが必要だよね。うんそうだねセツナ)

私は何故か自問自答をして自らやった行動を正当化したのだった。

「じゃ、私は寝るよ。おやすみ」

千尋さんがベッドに横になったので私はテレビの音量を下げた。

(やっぱりシグマの事についての報道が大半だなぁ……)

これでSNSの火が強まらないことを祈ることしかできないのが今の現状だ。

(にしてもこのスナック美味しいな)

私はスナック菓子を食べながら自堕落な数時間を過ごし、歯を磨いて寝たのだった。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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