85話 同情しがたい結果
風呂にて私は千尋さんに体中を洗われまくっていた。
「ほらほら、首やら足まですべて洗っちゃうよ」
「千尋さん、どうして自分で洗わせてくれないんですか?」
「いいじゃんか、こんな日があってもさ」
千尋さんは私の体を洗うことを気分と言っているが……
(気分が良くても洗ってほしくはないんだよなぁ、他の人に体を触られたくないってのがある)
私は慎重にレミちゃんの体を洗っていった。
「そういえば他のみんなはどうしてるんですか?」
「各々観光地に散らばっているね、鏡花は屋上で素振りをしててラムダとジータは少し遠くの場所で魚でも釣ってるんじゃあないのかな。私はこの近所を歩き回ってたんだ」
「鏡花さんは相変わらずですね」
この前も鏡花さんは屋上で刀の鍛錬をしていた事を思い出し、鏡花さんは刀がすこぶる好きなんだなとしみじみ感じた。
(鏡花さんからはなんだか師の匂いがするけどなんだか抜け目があるんだよなぁ~)
そして体中の泡が流れ落ち、私と千尋さんは湯船に浸かった。
「どうだ?体の疲れは」
「どんどん取れてるような気がしますね」
「そうだろう、オフの日に温泉巡りに連れて行こうかなぁ~?」
「温泉……もしかして火山の近く!?」
「いやそんな危険な場所に言ったら死んじゃうでしょ。硫化水素とかで」
「行くとしたらどこですか?」
「うーん、有名な場所だと有馬とかかなぁ?それと草津もいいね」
「オフの日に行きましょうか?」
「ああ、いつの日か行こうか」
そして私と千尋さんは風呂場で裸の約束をしたのだった。
「もう少ししたらのぼせそうだし上がるぞ」
「そうですね、上がりましょうか」
私と千尋さんは風呂を上がり、着替えを始めた。
「牛乳が無いのが残念だね」
「牛乳ならコンビニに売ってますけど?」
「ビン牛乳が無いのが残念なのよ、パック牛乳じゃなんだか足りないんだよね」
「千尋さんの思う完璧な温泉って一体なんだろう……」
私は千尋さんとの交友を深め、深いところまで知っていったのだった。その時ふとテレビに視線を向けるとニュース速報が流れていた。
「死刑にはならなかったんだ」
「誰の事だ?」
「ほら、シグマの事だよ。良かったなぁ~」
「AI相手にハッキングをしたと思うけど……だとしたら無罪にするよな……?」
千尋さんはどうしてシグマが死刑にはならずに無期懲役になったのか分からなかった。
「まぁ、そんな過ぎた話はどうでもいいんだ。牛乳を一気飲みしようぜ」
そう言って私たちは牛乳を買い、コンビニの前で一気飲みをしたのだった。
「ふぅ、とりあえずだけど大阪観光、楽しめそうか?」
「変な人に絡まれなければ、楽しめそうだね」
「変な人ね……例えばナンパとか?」
「ナンパには注意しないとね、私たちか弱い少女だからね?」
千尋さんの顔が少し疑いの顔になった。
「どこがか弱いの?」
「……てへぺろ」
「かわい子ぶっても駄目だからね!なら私が大阪の街中を連れまわすのだ、通称市中引き回しだ」
そう言うと千尋さんは私の手首を掴み、外に出ていこうとした。
「ちょっと待って、私ちょっと必要なものを持ってくるから」
私はカバンにレミちゃんを詰め、千尋さんと共に大阪の街中に繰り出していったのだった。だがもう時刻は18時、変な人が出てくる時間帯なのだった。
「変な人とか出てこないよね?」
「変な人が出てきてこその大阪じゃあないの?」
(なんだか千尋さん大阪に来てから平和ボケしちゃってるのかなぁ?)
千尋さんが若干頼りないがいざとなれば私が引っ張ってあげようと思い、街中を歩き始めたのだった。
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