82話 無機質な生命
私と鏡花さんが前線で戦うが後ろで千尋さんたちが電話を掛け続けていた。
(今は時間を稼ぐんだ、出来るだけ長く)
私と鏡花さんはペットロボを斬っていったが全く数が減っている気配はなかった。
「鏡花さん、ちょっとこれ多すぎないですか?」
「そうだな、だけど斬り続けていたら必ず数は減る!」
その時屋上からヘリが飛び立った。
(もしかしてあのヘリ……)
飛んでいるヘリから一匹ペットロボが振ってきて私はそいつを斬った。
「もしかしてあのヘリコプターペットロボに!?」
「いいや、そんなことは無いでござるよ、人の足が見えた」
その時ヘリコプターから縄梯子が落ちてきた。
「千尋さん、縄梯子を登ってください」
「分かった、多分だがあの上に奥山はいるはずだ」
そう言って千尋さんは縄梯子で上がっていった。
「私たちも手伝うよ!」
ラムダが紫色の球を投げ、着弾点に酸性の霧を生み出した。
「わたしもー!」
ジータがペットロボの大群に走っていくとナイフをブンブン振り回して装甲が溶けたペットロボをめちゃくちゃにぶっ壊していった。
「さすがに多数だとジータが居れば強いね」
そして周りにいるペットロボが居なくなり、私たちはどうやって中のペットロボを壊すか話し合った。
「中には恐らく数百体のペットロボ、中から行くのはリスクがある。それに物が多すぎると刀での戦闘は難しくなる……」
「それにペットロボを斬っていって分かったことがあるんですよ、これ数百体相手をすると刃こぼれしますよね」
奴らは金属の装甲を見に纏っており、斬れるには斬れるが一歩間違えれば折れてしまいそうだった。
「なら私がいるよね」
ラムダが声をかけてきた。
「ラムダは酸性の霧と傷が塞がる霧しか出せないと思うけど……」
「そうだけど中を突破するには私が必須だと思う」
「ならクリアリングは任せた、ラムダ!」
「ああ、分かった!」
そう言って私たちは建物の中に入っていった。中はなんだか不気味な様子で血で濡れているところもあれば壁に弾痕があり、警官がペットロボに発砲したのだと分かった。
「中は思ったより混乱していないのね」
するとどこかから銃声が鳴った。
(どこかに生存者がいるのか?でも銃声だけでどこかを探すのはとてもじゃないけど難しいぞ)
私たちは一つ一つの通路をクリアリングしていき、ペットロボがいないことを確認して歩いて行った。
「セツナ、どこかにシグマがいるかもしれないでござるよ」
「シグマは恐らく武装をしている、見つけたら私たちに教えて」
(シグマは多分だけどここを襲撃するとき何か武装をしているはず)
部屋のドアを開けるとオフィスやら取調室があった。
「一階は誰もいなかったと、ここからペットロボが待ち伏せしているかもしれない」
その時電話が鳴った。
「みんな、取調室に入ろう、そこで電話を受ける」
私たちは取調室に入り、電話をとった。
「せっちゃん、大丈夫か?」
「警察署の中はとても狭いですよ」
「大丈夫なんだね、奥山は無事だった。そして話を聞いた限りではそこにシグマがいるようだ、奴は……で…」
その時電話が変なノイズを流し、途切れた。
「千尋さん!?大丈夫ですか!?」
その時外から大きい爆発音が聞こえた。
「千尋さん!?」
私たちは外に出ようとした、だが電話から知らない声が聞こえてきた。
「聞こえているだろうか、お前ら」
聞き覚えのない声が聞こえ、私は聞き返した。
「誰だお前は……」
「いやぁ~そんな殺気を出した声、なんで私に出しちゃうのかな」
(それよりも千尋さんの安否を確認するべきだろう……)
私は取調室を出ようとした、だがドアが開かなかった。
「ドアが開かない!?」
「セツナ、それは真か?」
鏡花さんがドアを引いたが全くびくともしなかった。互いの息を吸う音が聞こえる中、私たちは冷静に電話の主と会話をしていった。
「今お前らを監視しているんだ、それでヘリの爆発……分かるか?」
「いいや、全然分からないな」
「まぁいい、刀でも斬れないほど分厚いドアだ。間違っても斬るんじゃあないぞ」
すると電話越しで奴はこう言ってきた。
「お前らはもう捕まえられたんだ、出ることはできない」
「出ることはできないのね、それであなたの名前は一体……もしかしてシグマじゃあないの?」
シグマの名前を言うと電話越しでわかるほどの舌打ちが聞こえてきた。
「そうだ、シグマだ。電話をジャックしてるんだ。精々そこで楽しく」
するとラムダがこう言った。
「ちなみにだけど、このドア……鉄でできてるんだよね」
「あ?そうだが?」
「なら私のレガリアで溶かせる!」
するとラムダは紫の球と白の球を取り出した。
「恐らくこの配分だろうな」
ラムダは球をドアの近くに向かって投げた。
「もしかしてそれで死ぬんだな?」
「私のレガリアは酸性の霧を出す事、だが最近傷を治すこともできる……それ以外に出来ることが増えたんだよ!」
すると周りが霧で見えなくなり、体が焼けるような痛みが走る……と思った。
(あれ……酸性の霧が効かない)
「配分を増やしたり減らしたり出来るんだよ!」
そう言ってラムダは厚いドアを蹴りでぶっ飛ばした。
「ほら、今すぐシグマの元に向かうよ!」
「ラムダ、助かったよ」
そう言って私は電話を切ってシグマの元に向かっていった。
(きっと千尋さんは大丈夫だ……きっと……)
千尋さんが無事を祈りつつ私たちは階段を駆け上がっていき、シグマが居そうな部屋を探していったのだった。
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