77話 じっとりと見る
私はラムダに話しかけた。
「ねぇラムダ、ちょっと服屋に行かない?」
「どうして?」
「ずっとレミちゃんを抱えてると両手塞がるでしょ?どこかに収納しておかないといざという時に戦えないじゃん」
「まぁそうだね」
「それにレミちゃんに戦闘させたくないから保護する目的のためでもあるね」
「セツナさんって案外優しい面あるのね」
「えっ?」
そして私とラムダは宿の近くにある服屋に向かった。そこにはレミちゃんも連れていく事にした。
「それでどんな服装にしたいんだ?」
「フードがあるデザインにしたいね、出来ればフードはレミちゃんが余裕で入るようなサイズだね」
「そんなサイズのパーカーあるのかな」
私とラムダは服を探していって気に入りそうな服はレミちゃんをフードの部分に入れて入るかどうか試した。
(うーん、入らないかぁ……)
サッカーボールのサイズのレミちゃんが入るようなフードは無かった。
「もしかしてだけどカバンにレミちゃんを入れるってことは」
「ならペットショップじゃあないの?」
「……そうかもね」
私とラムダはペットショップに入り、レミちゃんが入りそうなカバンを選んでいった。
「これって余裕で入りそうじゃあないの?」
「入りそうだね、後はレミちゃんが気に入るかどうか」
私はカバンにレミちゃんを入れた、だがレミちゃんはカバンの中の居心地が悪いのか外に出ようとしていた。
「おっと、動いたら落ちちゃうよ」
「気に入ってない様子だけど……もしかしてこれは?」
ラムダが持ってきたカバン、それは全面が透明の生地で簡単には破けなさそうな素材でできたカバンだった。
「くきゅ!」
レミちゃんが手を伸ばしてそのかばんに一人で入っていった。
「どうやらこれが気に入ったようだね」
私はレミちゃんが気に入ったカバンを持って会計をし、その中にレミちゃんを入れてチャックを閉めた。
「くきゅきゅ~」
「とってもご機嫌そうな声を出してるけど……という過去のカバン横から手が出るようになってるんだ」
レミちゃんが横の穴から手を出し入れしていた。
(この手を掴んだらどうなるんだろうか……)
私はレミちゃんの手を掴むとすぐに手が引っ込んだ。
「とってもかわいい」
そして私たちは宿に戻っていったのだった。そしてその後やることがない私たち、一体どうしようかと千尋さんに聞いた。
「千尋さん、敵の出没情報ないですよね」
「そうだな、全くないな」
千尋さんは敵の表れ無さに何か妙な緊張感を出していた。
「そんな緊張しなくてもいいと思いますよ」
「そうか?なんだか敵が居なさすぎるんだよな、ペットロボもそうだがシグマの刺客とか来ないものだろうか」
「千尋さんって案外戦闘狂なんですね」
「戦闘狂って……まぁそうかもな。仕方ないか少し散策してくる」
「私もついてきていい?」
「良いが……ただの散歩だぞ?」
「いいんです~」
そして私と千尋さんは少しだけ散歩をすることにしたのだった。
それと同時刻、電脳世界にてとあることが行われていた。
「さてと、あのおっさんが持っていたUSBで野良のペットロボをかき集めた、犬や猫に鳥、とってもいいじゃあないか」
そこにいたのはシグマだった。
(これで私の思い描いたシナリオは最終局面、絶対あいつらに先を越されてたまるか)
その時、タウが現れた。
「……へぇ、とっても数を集めたんだ」
「なんだよ下っ端」
「下っ端って、私はただ単にこの光景を見たかっただけだ、しかし善意がこんな欲望のために使われるとは、あの男は思っていなかっただろうなぁ」
タウはシグマを挑発するように言った。
「欲望のために?私はただペットロボが人間を服従させる目的のために動いているんだよ」
「そのために未成年に手を出す、私からしたら無意味な殺しだと思うな」
その時タウの頬に傷がついた。
「……へぇ」
タウは頬の傷で出た血を舐めた
「仲間だから傷をつけるだけにしてあげる、これ以上私の理想郷の邪魔になるんだったら仲間でも殺す」
「おー怖い怖い、ユプシロンもそうだったけどお前の体、一体どうなってるんだか」
「これか?とっても痛いけど力が手に入るんだ」
シグマから生えてきていたもの、それはとっても醜く、そして力の強さを表していた。
「レガリアの具現化、エゴかな」
シグマの両腕は万力の力で粉砕できるようなハサミ、前身はとても硬い装甲で身を包み、とてつもない五感が発達していた。
「これで奴らを殺せるはずだ」
タウは去り際、シグマに忠告をした。
「忠告しておく、私はもうあなたの味方でも、敵でもない」
そしてタウはカードになって消えていった。
「ふん、元からあいつのことは味方だとは思ってない」
シグマは最後の決戦のために準備を整えていったのだった。野良ペットロボを集め、一斉攻撃をするために……
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