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ビヨンドザアンノーン?  作者: 猫こんた


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76話 バグのバグ

「ねぇせっちゃん、起きて」

「ん……?どうしたんですか千尋さん」

私は千尋さんに叩き起こされ、話を聞いた。

「この近くでヒビが発生したらしくてね、ちょっと見てきてくれないかってライさんから電話で」

「ヒビ……じゃあ行こうか」

私はボヤボヤする目をこすりながらヒビが発生した場所に向かっていった。そしてヒビを見つけると千尋さんはヒビをこじ開け、中に入っていった。

「しかし叩き起こして早々戦いなんて、ブラックだなぁ」

私もヒビに入っていった、そこにはバグがいた、だがいつもののバグではなかった。

(何だろう……バグが何だか交戦的じゃあない、でもこうしてみるとバグもなんだか可愛く見えるなぁ)

私はバグに近づき、たれ耳を上にめくった、そこにはぐるぐるとした目が合った。

(かわいい)

そしてバグの後ろから私たちを唸る声が聞こえてきた。

「この声ってもしかして……ペットロボ!?」

私は刀を出し、ペットロボに斬りかかっていった。

(だけどどうしてペットロボがここに!?)

「せっちゃん、このあたりにいるの、どうやら私たちとそのバグ以外……らしいな」

千尋さんが鉈を握り、あたりを見た。

「ざっとペットロボが100体、だがどうしてここに居るのかが……まさかだがシグマがここにペットロボを集めてるのか?」

「千尋さんどうしますか、さすがにこの多さだと処理は無謀かと」

バグも完全に怯えていた。

(こいつらバグを食べてたのか?だがどうしてペットロボがバグを食べる?いや違うな、シグマの元にバグを運んでいた?どっちにしてもこのバグを奴らに素直に渡したらダメだな)

私はバグを脇に抱えた。

「私はこのバグを連れて逃げるって事が最適解と思いますね」

「ああ、私もそう思ってた。逃げるぞ!」

私は後ろにヒビを作り、私と千尋さん、そしてたれ耳のバグはヒビを通って現実世界に戻ってきた。

「せっちゃん!今すぐヒビを閉じるんだ!」

「分かってる!」

私はヒビを閉じるとたれ耳のバグは私にすり寄ってきた。

「……なんだかこいつ、私に懐いてるような気がするんだけど」

「まぁ……バグは人間の負の感情の集合体って言ってたよね、もしかして愛されなくて出来たバグなのか?」

たれ耳のバグは私に顔を擦りつけているが……全く食べる気にはなれなかった。

「……よし、今日からお前は私のペットだ、いいね」

「くぎゅる!」

「良いのか?他のみんなに食べられるってことは無いのか?」

「話したら食べないでしょ、多分」

「多分って……その時は私が止めるけどさ」

千尋さんは何だかめんどくさそうにしていたが私にとっては可愛がれる存在を手にしたのだった。

「私はライさんに報告するから待ってて」

千尋さんは私から離れ、ライさんに電話をした。

(そういえばこいつって何を食べるんだろう、やっぱり人間の負の感情?それとも犬か猫のペットフード?)

私はこのたれ耳のバグの名前を必死に考えていった。

(ミミ……安直すぎるか、たれ耳……ウサギっぽいなぁ……ウサギのたれ……いや駄目だ、私が考えると食べ物方面に行ってしまうな、それに千尋さんのネームセンスが良いとは分からないし……どうしたものか)

「せっちゃん、一旦公園に行こうか」

「分かったけど……どうしたの?」

「ちょっと確かめたいことがあるんだ」

私と千尋さんは公園に向かった、たれ耳のバグは私がずっと抱えていたがとっても大人しかった。

「着いたっと、じゃそのバグ、一旦走らせてみようか」

「もしかして運動させようとしてるの?」

「そうだね、私たちに対して協力的かどうかを見ようと」

「へぇ、まだ疑心暗鬼なのか」

私はたれ耳のバグに向こうまで走って来てと命令した。

「あのね、向こうまで走って戻ってきて」

私の命令を聞いたたれ耳のバグはステテテテテと走って指定した場所まで走るとこっちに戻ってきた。その時ちらりと見える目はとってもかわいかった。

(めっちゃ可愛い……とってもスリスリしてあげたいなぁ)

私はもうすでにたれ耳のバグに心を撃ち抜かれていたのだった。

「せっちゃん、大丈夫か?鼻血出てるけど」

「大丈夫……うん」

たれ耳のバグが戻ってくると私に向かって何かを要求してきた。

(これって褒められ待ちなのかな……?)

私はたれ耳のバグの頭を撫でた、すると手が伸びてきてもっとなでろと要求してきた。

「あっ……好き」

もう何も考えられなくなっていた。

「せっちゃんと同意見だ」

そして私たちは一旦宿に帰り、みんなにこの事を話した。

「と言う事でせっちゃんのペットになったたれ耳のバグだ、まだ名前募集中だから名付け親になるなら今だぞ~」

千尋さんがそう言っていたがラムダとジータはよだれをたらしていた。

「この子……とっても美味しそう」

「そういえばこの二人、アルターエゴだっけ。食べちゃダメだからね」

「ヴィ」

「それにもうこの子の名前、決めた」

「おっ、なんだ?教えてくれ」

「この子の名前、たれ耳のバグでしょ?レミちゃんはどう?」

「レミ……良いと思う」

「だからよろしく、レミちゃん」

「くっぎゅ!」

こうして私たちにはレミちゃんという可愛らしい生物が仲間入りしたのだった。ただ戦闘には参加させたくないけどね。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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