75話 遺してくれた情報
火が収まり、宿泊部屋に戻っていいとなった時、私は目にしてしまったものがあった。それは……
「うそだろ……?」
それは明らかに炭化して誰だが分からないような遺体、だが私には分かった。爆心地の部屋、ペットロボ製作者の遺体と。
「せっちゃん、どうした……そういう」
千尋さんは何となくわかってくれて私を支えてくれた。
「みんなは部屋に戻って、これは鍵、私はちょっと用事がある」
「だめ、私はせっちゃんについて行く」
「……そうか、ならラムダ、よろしく頼む」
私はラムダに宿泊部屋の鍵を渡し、私と千尋さんは12階の8号室に向かった。
「ちょっと待ってください、ここは関係者以外立ち入り禁止です」
「超常現象対策課だが、ここに入らさせてくれないか」
「……どうぞ」
警備員は気に食わないという顔で私たちを通してくれて爆心地である1203号室に着いた。
「これは……酷すぎるな」
爆心地となった部屋はとっても黒くくすんでいてテーブルにはパソコンがポツンと置かれていた。
「……あの人はもういないのか」
「もしかしてあの遺体って……ペットロボの製作者?」
「そうだ、ここで詳しく調べてもらっていたが……ペットロボが爆発したのか」
私はいろいろな場所を見て回った、窓も見た、すると窓には何かの痕跡があった。
「千尋さん、鉄が何だか変形してるんですけど」
「確かに変形しているな……何か強い力で掴んだような感じだね」
(強く掴む……か、だがこれでは証拠が不十分だな)
床を見て見るとパソコンのそばに人が倒れていたような跡があった。
「これは……」
「恐らくペットロボ製作者の遺体があった場所、血がこびりついているな……至近距離で爆発を受けたのだろう」
あたりには血が飛び散っているがすべて焼けてこびりついていた。
「ちょっとこの中身を見るのもアリか」
千尋さんはパソコンに手を合わせ、そして開けた。キーボードには血が付いており必死に何かを伝えたかったのが分かった。
「……メモがタスクバーにあるな」
千尋さんは慣れない手つきでメモを開いた、そこに書かれていた文章、それは誰が書いたとかは分からずとも意味は分かった。
「爆発 シグマ USB 盗み」
それはダイイングメッセージだと私と千尋さんは感じた。
「これってダイイングメッセージだよね」
「そうだが……ここまで犯人が割れるとなると……もう時間の問題だね」
すると千尋さんはこの部屋で起きたことをもう一度整理しだした。
「まずあの窓から侵入、そして製作者を瀕死に追いつめた後にUSBを盗み、ペットロボを爆発させ、そしてこの文字を書いたのだろうな」
「ちょっと待って、血の跡、見て」
私は千尋さんが言った仮説を覆しそうな事を指摘した。
「血の跡、引きずった後がないんだ」
「確かにな……もし彼の死因が焼死だとするとさっき言った仮説は違う事が立証されるな……」
私は再び注意深く部屋を見て言った、すると千尋さんがメモを取り始めた。
「今出てる情報を紙に書いてるけど……こんな感じ?」
「まぁあってるけど……とても絵心ないね」
「絵心なくてすいませんぬぇ~」
すると机の端に血が付いているのに気が付いた。
「これって血だよね」
「そうだな……もしかして爆発に巻き込まれた時、机に手を引っかけて何かをしようと?」
そうなってくると話は違ってきた。
「千尋さん、私の仮説なんですけど爆発で製作者は飛ばされそうになったけど机がいい感じに引っかかって、それでぶっ飛ばなかったって事じゃあないですか?」
「そうかもな……それでこのパソコンを操作して情報を……」
千尋さんはまだ何か情報が残ってないかと調べていった、するとペットロボの設計図が出てきた。
「これって……」
「設計図だね、念のため写真に撮っておこう」
千尋さんは設計図を写真で撮った。
「これで分かることは全部っぽいし、一旦部屋に帰ろうか」
私と千尋さんは宿泊部屋に帰り、情報をまとめていった。
「しかし火事……とっても怖かったか?」
私はジータにそう言った。
「いや私一度火に巻かれてるし大丈夫だよ」
「そういや体をガソリンで濡らしてたよね……納得」
そして千尋さんは忙しく情報をまとめ、私は疲れたので昼寝の続きをすることにしたのだった。
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