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ビヨンドザアンノーン?  作者: 猫こんた


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70話 精神のカタチ

宿に帰る途中、私は口を開いた。

「まさかラムダがアルターエゴになる前の人格の同僚がこの大阪で働いてたのは衝撃だった」

「そうだね~でもねーちゃん、とっても嬉しそうだったよ?」

「過去を思い出したからだと思うでござるよ」

雨の中傘を差さずに宿に帰っていっている私たちだったが急に私の指が急に吹っ飛んだ。

「……え?」

指の断面からピューッと血液が出てくる中、後ろを振り向いた。そこには猫型のペットロボがいた。

(猫のペットロボ!?音がしなかった……上から降って来たのか!?)

雨が激しく降っていて音がかき消されていて敵の接近に気が付かなかった。

「千尋さん、どうしますか?」

「もちろん私は応戦する、たまたま鉈を持ってきてるからね」

千尋さんは鉈を腰から提げてあるカバンから取り出し、猫のペットロボに鉈を向けた。

「しかしこいつはとても身軽そうだな、気を付けるぞ」

猫のペットロボは爪をこっちに見せてきていた。

(私の指はあの爪に斬り落とされたのか……切れ味鋭そうだな)

私は刀を出して鏡花さんも刀を抜き、そしてジータはナイフを出した。

「油断したら死ぬと思え」

「千尋さんってそんなキャラだっけ?」

千尋さんが猫のペットロボに向かって走り出し、首を斬りかかったが奴はぐにゃんと体を歪ませて交わした。

「……へぇ、なかなか柔軟凄いのね」

すると私に猫のペットロボが飛び乗り、顔面を爪で引っかかれた。

「うげぇぇ!?!?」

とっても血が出るし焼けたような痛みが襲ってきた。

(なんだこの焼けるような痛み……酸か?)

あまりにも痛くて周りをじたばたと転げまわった。

「セツナ大丈夫か!?」

鏡花さんが私の体を抑えてくれたが全くと言っていいほど痛みが増していった。それに雨が傷口にしみる。

「大丈夫じゃあないよ……でも気を気合で飛ばさない……!」

すると猫のペットロボは私に狙いを定め、爪を立てて私の首を狙ってきた。

「首を狙わせるか!」

鏡花さんは奴の爪を弾いたが鏡花さんの足に傷がついた。

「むぅ……すばしっこいな!」

鏡花さんが奴を蹴り飛ばそうとしたが素早い身のこなしでかわした。

「おい千尋、これは一旦退いた方がいい」

「奴は必ず追いついてくる、だからここで奴を討ちとる!」

鏡花さんは撤退した方がいいと千尋さんに提案した、だが千尋さんはやる気満々だったのだ。

「どこかに隙はあるはずなんだ、猫の特性を思い出すんだ」

その時、私の目の前に何かが落ちてくるのが見え、それは霧を生み出した。

「うわっ!?」

周りは急に白色で覆われ、吸えばなんだか気分が良くなるような感じがした。

(あれっ……顔の傷がどんどんと治っていってる)

霧を吸えば吸うほど顔の傷がどんどんと治っていった。それはまるでバグを食べた時と同じように。

「まさか……!」

私は上を振り向いた、そこに居たのは救急隊員のジャケットを着たラムダだった。

「みんな!お待たせ!」

「ラムダ……お前病院に居たんじゃあないのか!?」

「いいや、それほど怪我してないんだ、それに病室にタウが飛び込んできて私をここに連れてきてくれたんだ」

「そうか……それでこれは?」

「私のレガリア、なんだか変化しちゃってね、酸性の霧と回復する霧の二つを普段使いできるようになった」

「そうか……サンキュー!」

指が見る見るうちに再生するとラムダは紫色の球と白色の球を両手いっぱいに持っていた。

「これから始まるのは種もしかけもございませーん」

ラムダは両手に持っている紫色と白色の球を地面にぶちまけた。

「これって私たちも溶ける!?」

だが酸で溶けるよりも先に回復する方が先の事が判明した。

「これが記憶を取り戻した力だ!」

猫のペットロボがどんどんと溶けていく中、千尋さんがすぐさま奴の首を斬り落とした。

「ありがと、ラムダ」

「どういたしまして、千尋さん」

私はラムダにどうして救急隊員のジャケットを着ているのかと聞こうとした、だがその領域に踏み込んではいけないと思い、言わなかった。

「さてと、雨と血でビショビショだから宿に戻ろ、ここから数時間雨が強まるらしいからね」

「これ以上雨が降るの?とっても嫌なんだけど」

「あと入院費、経費で落ちるのよね?」

「落ちるね、多分」

そんな無駄口を叩きながら私たちは宿に帰っていった。ラムダが戻ってきてくれてよかった……本当によかった。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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