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ビヨンドザアンノーン?  作者: 猫こんた


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69話 不思議と感じる思い

病院に着いた私たちは待合室にいた。

「ねぇセツナ、ねーちゃんは大丈夫?」

「ねーちゃん……ラムダの事か」

「うん、ねーちゃんとても苦しそうだった」

ラムダが苦しむ様子はジータも見ていて私たちの中で一番心配しているのがジータだと私は思っている。

(確かにジータはとてもラムダに懐いていた、ショックを受けるのも仕方ない。だがジータが地元を思い出した時、全く苦しくならなかった。思い出す負荷が大きすぎたのか?)

私は深く考え込んでいると看護師が私たちを呼んでいた。

「すいませんが涼宮さんのお連れさん?」

「そうですが……」

「ご案内します」

そう看護師に言われるがままとある病室に連れていかれた。

「ここです」

私はドアを開けるとベットに横たわるラムダと千尋さんがいた。

「千尋さん……」

「せっちゃんやっと来たんだ」

ジータが私を押しのけラムダに飛びついた。

「ねーちゃん、大丈夫?」

ジータはラムダと目を合わせて大丈夫?と言った。

「うん……大丈夫だよジータ」

ラムダはジータの頭を撫で、にっこりと笑った。

「せっちゃん、ラムダなんだけど……記憶はある程度取り戻した。だがどうして記憶を失ったか、そこは私の持論になるがアルターエゴになる過程で記憶が失われると私は考えている」

(確かに私も最初は全て記憶を失っていた、名前も生まれも親も。だけどこのペンダントがあったから思い出せたんだ)

私は胸元にある十字架のペンダントを服の上から触った。

「うん、十分に思い出せた。それで重傷人はどう?」

「ラムダは一旦安静だ、他の人の事より自分の身を大事にするんだ」

「いや、私がアルターエゴになる前、自身の体よりも患者を大事にしてたから……」

千尋さんがラムダを全身全霊で抑えているが全くと言っていいほど千尋さんの力が無かった。だがとある人の言葉がきっかけでラムダは諦めるようになった。

「もうやめてねーちゃん!体を壊さないで!」

「……ジータ」

「私の大事なねーちゃんだから……ね?」

そうジータが涙するとラムダは大人しくベッドに戻った。

「私が思い出したこと、それはアルターエゴになる前の記憶だ、楽しい事も悔しい事も、そして人が目の前で死んでいくのも」

そう口に出していくラムダの目の前にはとても形容しがたいほどの涙があった。

「ラムダ……その事聞かせてくれるだろうか」

「いいですよ千尋さん……ですけど吐いたらごめんなさい」

そしてラムダは自身に何が起きたのかを話し始めた。



私は勤務年数7年ぐらいだったがベテランと腕を並べるほどの手際の良さだったらしい、だけどとある大災害で私は精神をすり減らしていったんだ、それは人類には手が負えない機械の襲来だった。

「クソッ、トリアージをつけないといけないのか!?」

トリアージ、それは傷病の緊急度、重症度で治療の優先順位をつけるという代物、つまり助ける命と助けない命を私たちが決めないといけないのだ。

「私たちは救急隊員だ!トリアージをつけない!!」

「バカか涼宮!!そんなことをしてたら助けられる命が助けれなくなるぞ!!」

「くっ……」

その時私はそんなことをするのなら私は自由に治療する人を決めるとのどまで出かかっていたがぐっと飲みこみ、トリアージを付けた。その結果、死者1385人、軽傷者と重傷者合わせて1万13人が救えた。だが私は死者の数を見て落胆をしていたのだった。

「……死者の中には助けれる命あったはずなんだ……クソッ!」

私は一人で待機室のロッカーを殴り、街中に出ていった。その時には機械の襲来は終わっていて街には人が溢れていたのだった。



「というのが私が思い出した直前の事だ」

「機械の襲来……今思い出せばかなりクソだわ」

千尋さんがそう言うと鏡花さんは首を縦に振った。だがその機械の襲来について私は知らないのだ。

「その機械の襲来って?」

私はラムダに機械の襲来の事について聞いた。

「私は救急隊員だ、そのことを聞くのは前線に出て戦っていた人に聞くべきだろう」

「そうですよね……」

その時、病室のドアが開き、あの救急隊員が入ってきた。

「失礼します……」

静かにラムダの横に座り、静かに声をかけた。

「涼宮さん……今はラムダさんですよね」

「……ああ、何も分からないままですまなかった」

そうラムダが詫びると布団をラムダの涙で濡らした。

「本当にごめん……」

「そんな謝ることは無いんだよ涼宮さん」

救急隊員がラムダの背中をさすり、ラムダを落ち着かせようとしていた。

「……比嘉だけど覚えてる?」

「さっき思い出した記憶の中に……居た」

「ふふっ、覚えていてくれてありがとう」

そう言って比嘉さんはラムダに抱き着いた。

「……そんなこといたずらをしてくると……私まで涙もろくなりますよ……涼宮さん」

「別にいたずらしてないけど……何かいたずらの一つや二つ、やった方がよかった?」

そうラムダは明るく返した。

「いいや、まずはこうして再会できたことに……ありがとうと伝えたいな。ありがとう」

私たちは病室を離れようとした。

(私たちが居たらだめな空間だ、あの場には涼宮と比嘉さんだけが居ていいんだ)

そして私たちは病院を出て、何も話すことは無く宿に帰っていったのだった。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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