7話 豹変する性格
ライさんがこの部屋を去る時、心臓に悪いことを言い放った。
「そうだ。栗栖セツナの腕の件、暗殺課から聞いているよ。今のところは放置でいいかなって思ってる。制御できていればそれでいいんだ」
そう言ってライさんは超常現象対策課のドアを閉めた。
「……ふぅ~心臓に悪いなぁ」
「まぁね、あの腕は一体どういう物なのかわからない以上どう気をつけないといけないのか分からないものね」
「でもバグを喰らうたびに強くなっていったような気がするんだ。どうしてだろう」
「子供は飯をいっぱい食べて育つって言うけど、せっちゃんの場合はバグをいっぱい食べて育つっていう事だろうな!」
「そうかなぁ……?」
(確かにバグを食べた時少しだけ力が強くなっていった気がする。そこは要実験かな)
私はふと元敵の方に目をやった。彼女もどうやら私と同じように新聞紙を見て情報を蓄えているようだった。
「新聞紙を見てるけど、何かわかった?」
「いいや、何も」
「私もここに来た時その新聞紙を読んでたんだよ」
「なるほど~」
(そう言えばこの子の名前って一体なんだろう?)
私は彼女に名前を聞いた。
「ねぇ、名前はなんて言うの?」
「……呼ばれてた名前はラムダだけど……名前かどうか知らない」
「ラムダね……おっけ。ラムダは何が好きなの?」
「何が好きか、まだ答えれないんだ。どんなものがあるのか、どんなものを体験できるかまだ分からないからね」
そう言えば超常現象対策課の人数が3人に増えたことで少しだけ部屋が狭くなっていた。
「せっちゃん、この部屋狭くない?」
「狭いという前に千尋さんの衣服を片付けてくださいよ」
千尋さんの衣服が部屋の3分の1ぐらいを占めていてとても動きずらかった。
「そりゃごめんなさいね。私は片付けが苦手でね」
(千尋さんって片付けって苦手なんだ……初耳だなぁ)
千尋さんは引き出しに衣服を詰め込み、破裂しそうな勢いで押し込んだ。
「よっと!早く入れ!」
肘内を衣服にかましているが入る気配がなかった。
「千尋さん、クローゼットを買ったらどうです?」
「それだ!ならさっそくライさんに電話でクローゼットを買ってもらえるように交渉しないと!」
千尋さんはクローゼットを買っていいかとライさんに電話を掛けた。恐らくクローゼットの購入代を経費で出させようとするだろうなぁ。
(出動がないととても平和だなぁ~)
私はパソコンを起動すると早速メールを確認し始めた。
(でも出動がないと事務作業があるから大変なんだよなぁ)
私は事務作業をしていった。内容は新しい新聞の配達お願いや備品の補充だ。
「そう言えばせっちゃんって正式な武器ってのはまだ無いよね?」
「そうですね……出来れば作ってもらいたいのですが」
「そうだなぁ……技術課に頼めば大丈夫だとは思うけど……」
「千尋さんの鉈ってどこで手に入れたんですか?」
「この鉈か?私の元相棒が渡してくれたんだ。今もこの町を守ってる守り神って言ったところかな」
「神と話したんですか?」
「話したんだけどさぁ……そいつ、レ〇〇が本当に許せない感情が集まってできた幽霊だ。まぁ今は仲がいいけどな」
「今さらっとぶっ飛んだことを言ってませんでした?」
「そうだぞ」
(千尋さんってレ〇〇って堂々と言うんだ……すごいな)
そんな話をしていると眠気が私を襲ってきた。
(おっと、そろそろ眠りたいな)
「千尋さん、私は寝るので」
「おう、おやすみ~」
私は超常現象対策課に寝泊まりすることにした。理由は家を借りられなかったからだ。銀行口座が無ければ家が買えない。逆に家が無ければ銀行口座を開けないのだ。
(ふかふかのベッドを用意してもらって助かるけど……職場で寝るって本当に社畜っていう感じだなぁ)
私はそんなことを思いつつ、眠りについた。出動のアラームが鳴らないことを願っていた。出動のアラームが鳴れば私は叩き起こされるだろう。
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