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ビヨンドザアンノーン?  作者: 猫こんた


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68話 雨のち笑み

宿に戻ってきた私たちだったがラムダが来ていないことに私は気が付いた。

「あれ、ラムダは何処に!?」

千尋さんも周りを観てラムダがいないことに気が付いた。

「確かにラムダがいない、はぐれたか?」

千尋さんがそう心配すると鏡花さんがこういった。

「彼女はお人好しの性格をしている、まさかな」

そう言って鏡花さんは刀を背負い、部屋を出ていった。

「鏡花さん……」

私も鏡花さんに走ってついて行き、外に出ていくと雨が降り始めるところだった。

「雨が降り始めてる。セツナ、早くラムダを見つけるぞ」

「鏡花さん、もしかしてですけど、ラムダの事気にしてるんですか?」

「まぁな、彼女はとてもお人好しという性格は見抜いている、助けるべき人間が目の前に居たら助ける、それが彼女だ」

さっきまでいた場所にたどり着くとそこに居たのは雨で服や髪の毛が濡れたラムダだった。

「ラムダ!」

ラムダは私たちに気が付き、安堵の表情と共に救護のプロの顔をして私たちに指示を飛ばした。

「セツナさんはこの人たちの止血を、鏡花さんは布なら何でもいいので何か持ってきてください!あとAEDもお願いします!」

「分かった、キャリーケースから持ってくる」

鏡花さんは宿に戻り、私はラムダが布を持ってこっちを見てきた。

「どうして戻ってきたんですか」

「ラムダが心配だからだ、だって上司が部下を放置して大変な目に合わせてるのって、ろくでもないじゃあないか」

そう言って私は布を受け取り傷病人の傷に布を当てた。

「出来るだけ圧迫して止血してください、救急には連絡済みです!」

「了解!」

こうして私とラムダは雨の中救急が来るまで懸命の処置をしていった、そして鏡花さんがありったけの布を持ってきてくれた。

「これだけしかなかった」

その量どこに使うんだと言いたくなるような量を鏡花さんは大阪に持ってきていたのだった。

「逆にありすぎるけど助かった!布が無くなってきていて困っていたんだ!」

そう言うとラムダは布を破き、包帯を作り止血をしていった。その時ジータも駆け付けてきた。

「ジータ……早く傷病人の処置を!」

「わかったよねーちゃん!」

その後を千尋さんが追ってきていた。

「……千尋さん、どうして来たんですか」

「来たら悪かったのか?」

「遅いですよ、バカヤロー」

ラムダはそう言って布を千尋さんに投げた。

「……ラムダって元々は」

「話はいいから早く止血を!!」

千尋さんは何かを言いたそうにしていたがぐっとこらえ、傷病人の止血をしていき、数分後に救急が到着した。

「傷病人は28人、軽傷およそ21人で重傷7人」

「分かりました、まず優先的に重傷者を」

救急が重傷人を急いで車に詰め込み、病院に向かっていった。その時知らない声が聞こえた。

「あれ……涼宮さん!?」

救急隊員の一人がラムダに声をかけてきたのだった。

「涼宮?誰だそれ」

ラムダは軽くあしらったが救急隊員の一人がラムダの顔をじっくりと見て涙か雨か分からないほどにぐしゃぐしゃになっていた。

「やっぱり……涼宮さんじゃないですか……この……馬鹿ッ」

「……すまない、私はあなたの事を覚えてないんだ。本当にすまない」

だが救急隊員がラムダの事をずっと言っていた。

「やっぱり口調や声、そして厳しさに隠れてるやさしさ……やっぱり涼宮さんですよね」

「だから私はラムダだ!!!あっち行って!」

流石に可哀そうだと思った私が事情を言おうとした、だがそこに千尋さんが来た。

「あなたはラムダ……いや涼宮の関係者かい?」

「そうです……この人です」

救急隊員がスマホを見せてきて私は横目で見た、するとそこに映っていたのはニッコリ笑顔のラムダだった。だが髪色が白ではなく茶色だった。そしてどんどんとラムダの姿勢が前のめりになっていった。

「……これって……ラムダがアルターエゴになる前の姿……?」

その時、ラムダの手が震え出し、頭を抑え、苦しみ始めた。

「大丈夫ですか!?」

「ラムダ、大丈夫か!?」

「一旦救急車だ!」

そしてラムダは苦しみながら救急車に運ばれていった。付き添いで千尋さんが乗り、私たちは現場を任された。

(あとは軽傷の人を病院に搬送したら終わりかな)

服がびしょ濡れでとても着替えたいが目の前に傷ついた人間がいる今、そんなことを考えてる暇は無いのだ。

「後は救急隊が処置をしますのであなたたちは病院に」

「分かりました……ありがとうございます」

私たちは救急車に乗せられ、病院に向かったのだった。だがラムダの正体は一体何なのか、今まで掴めなかったのに急に進展したのがとても驚きだった。

(もしかして……あの救急隊員、ラムダの同僚か後輩だったのか?だとしたら声をかけて話さないとな)

救急車に乗っている間、私はそんな考えを頭の中で回していたのだった。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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