67話 巨大娘
ラーメンを食べ終えた私たちは宿に帰ってきていた。
「ラーメン美味しかったね」
「そうだな、豚骨と程よい魚介類のダシ、とても美味しゅうございました。
「確かにおいしかった、食べ物の力はすごい」
ラーメンの話で盛り上がってた私たち、その時千尋さんとジータが帰ってきた。
「帰って来たぞー」
「おかえりー」
「ただま!」
千尋さんが荷物を地面に置くと次の行動について話し始めた。
「どうする?次に打つ手は」
「やっぱりパトロールじゃあないの?シグマの正体がいまいちわからない今、体で動かないと情報をとれないと思うけど」
「セツナの意見に賛成だ」
そう鏡花さんが言っているが……刀をぽんぽんしていた。
「それでラムダとジータは次にどういう行動をする?」
「私は……ん?」
ラムダは外を見ているときに何かに気が付いた。
「ここって10階だよね?」
「そうだが……?」
「ならどうして人が大きくなってるの?」
「人は大きくなったり小さくなったりしないよ」
千尋さんが外を見ると目を大きくしてびっくり仰天していた。
「なんじゃこいつ!?!?」
私も外を見た、そこに居たのはおよそ5階の高さまで人間が大きくなっていて誰かを探している光景だった。
「いつの間に巨人が……!?」
「ちょっとこれって超常現象だよね、私たちが行かないといけないのかな」
「巨大娘か、斬り心地がよさそうだな」
そう鏡花さんが言うと立ち上がった。
「ちょっとまって、鏡花さんが行くなら私も行く」
私もとりあえず巨大の人を止めるために鏡花さんについていく事にした。
「それなら私も行く、ラムダとジータは?」
「もちろん行くに決まってる!」
「ふぃ」
ジータはいつの間に着替えており地雷系の服になっていた。
「……じゃ行くぞ」
私たちは地上に出てくると巨大の奴に声をあげた。
「ちょっとあんた!どうして巨大になってるんだ!?」
すると奴は私たちを見つけると指をさし、私たちを掴もうとしてきた。
「ってこれって掴もうとしてるよね!?」
「そうだな、逃げるぞ!」
私たちは一旦逃げることにしたがどうしてこの巨大な奴は私たちを狙うのか分からなかった。
(どうして私たちを狙う?シグマが雇った殺し屋?いやそんなことを考えるよりも今は逃げることに集中しないとな)
すると私の体がでかい手に囚われた。
「なんだこれぇ!?!?」
どんどんと地上から離れていき、巨大な奴の顔の前でまじまじと見られた。
(ああ、虫ってこんな視点なんだな)
すると急に私の事を奴は舐め始めた。ざらざらとしてる舌の感触が私の全身を襲った。
「うえっ、気持ち悪い……」
(これって唾液……!?とても臭い)
ネバッとした唾液が私に付着して身動きがあまりとりづらくなった今、奴は私の事を食べようとした、だが手の力が緩くなった。
「セツナ!今のうちに逃げろ!」
「ありがと鏡花さん!」
鏡花さんが一瞬のうちに巨大娘に乗りかかっていて手首の腱を刀で切っていた。
「痛いぃィぃ!!!」
大声で奴が叫び、至近距離にいた私は鼓膜が破裂した感覚がありキーンと耳が痛くなった。
(耳がキィーンとする……これ鼓膜破れたのか)
すると巨大の奴や服がどんどんと小さくなっていった。
(鏡花さんが何か言っているけど……ごめん、全然聞こえないや)
聴力がだんだんと戻っていくと鏡花さんはこんなことを言っていた。
「奴がどんどん縮んでいくぞ……」
鏡花さんは私を抱え、ビルに飛び移った。
「セツナは無事だ!それでラムダとジータはどうだ!?」
「大丈夫、踏まれなかったよ」
そして最終的に普通の人の大きさになった奴は私たちが包囲した。
「おまえ……どうして私を舐めた!?」
「……ペットロボを粗末にしてるから食べようとしただけ」
ペットロボという単語を聞いた私たち、千尋さんが質問をした。
「もしかしてシグマという奴と会ったのか?」
「……そう、志熊さんと会った、そしてあなたたちがペットロボを殺してるって」
「あのね、私たちはシグマと敵対をしてるの、彼女はもうすでに12人殺している大量殺人気なんだ」
千尋さんが周りを観ると倒壊した建物に折れた電柱、ぐちゃぐちゃになったインフラを見た。
「警察が集まってきてる、罪を償ってこい」
「……志熊さんについて知ってること、教えてください。このまま警察のところに行くなんてできないですよ。ペットロボが好きな志熊さんのことを」
「わかった、彼女はアルターエゴ、そしてペットロボを使って人を喰い殺している」
「そうですか、もういいです」
そう言って彼女は警察の元に行き、逮捕されていった。
「見逃してもよかったのか?」
「ああ、彼女は16歳17歳、いってても18歳だろう。恐らく好きを悪用された悲しき被害者だ」
「……そうか、全くおぬしは甘いなぁ」
そう鏡花さんが言った。
「鏡花、何言ってるの?」
「未成年でも人間は人間、愚かよの」
そう言って鏡花さんは宿に帰っていった。
「なんだあいつ、気が合いそうじゃあないな」
そんな空気の中、私たちは宿に帰っていったのだった。千尋さんと鏡花さんの仲が悪くなっているような……気がしてならないのだ。だがラムダだけがその場に残った。
「……助けなきゃ」
そう言ってラムダは倒壊した建物に向かって歩き出したのだった。
「誰かいますか!?」
そう言ってラムダは瓦礫を己の非力な手で退けていくと体ががれきに埋もれた子供を発見した。
「大丈夫、もうお姉ちゃんが来たからね」
そう言ってラムダは少量の酸性の霧で建物の基礎を溶かし、子供を救助し、それに続いて子供の親も救助した。
「……千尋さんたちは気が付いてなかったのかな」
ラムダは千尋さんに対して少しだけ不信感があるが守らないといけないという使命感があったのだった。
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