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ビヨンドザアンノーン?  作者: 猫こんた


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58話 流派

舞を終えた鏡花さんは私の事を呼んでいた。

「セツナは確か刀を持っていたな、取りに行ってもいいぞ」

「それって……戦えって事?」

「違うでござるよ、とりあえず刀を取りに行ってまいれ」

私は何処からか刀を出した。

「……どこから出したでござるか!?」

鏡花さんは私の刀をどこから出したのか興味津々だった。

「私にもわからないんだけど念じれば出てくるんだ」

「そうか。なら話は早い、今から私の流派をセツナに叩き込む」

「流派……?」

私は頭を傾げていた。

「流派というのは私が生み出した技だ、大まかに4つに分かれているが今からその4つをセツナに覚えてもらう」

そう言って鏡花さんは刀を真正面に構えた。

「一つ一つの流派はつながるようになっているんでござる」

すると先ほどの舞をもう一度見せてくれた。

「先の舞、見事だっただろう?」

「見とれてしまうほどに見入ってましたね……」

「そうだろう、あれが流派を一つにまとめたものだ。名前は春夏秋冬、とても憶えやすいんでござる」

(春夏秋冬……季節の名前か)

すると鏡花さんの周りに桜の花びらが漂い始めた。

「これが春、振りは大きく、威力は無い」

とっても見とれるような動きで私の動きが止まっていた。

「そしてこれが夏、振りは大きく、なおかつ威力が春夏秋冬の中で最大だ、そして秋、振りは小さく威力は夏よりかはない」

そして鏡花さんの周りを漂う物が桜の花びらから葉、紅葉になり雪の結晶になった。

「そしてこれが冬、振りは小さく、威力はないがみねうちで重宝する技だ」

「そうなんですね……とっても美しい」

鏡花さんの着ている着物と相まって美しさがとても言葉に表せないほどによかった。

「そうでござるか、やってみよ」

私は見よう見まねでさっきの舞を試しに舞ってみた。

(体がとても軽いから舞いやすい……)

鏡花さんは私の舞を見て頷き、そしてこう言ってきた。

「セツナには刀の素質があるのだな、それでこそ教えたくなるのぉ。だがその舞、戦いの時にいつでも出せないといけないぞ」

「それは分かってます、だけど体力を物凄く使いますね」

「普通は数十時間舞っていられるように体力をつけないといけないのだ、だがセツナにはまだその体力は無いだろう。それに電脳世界の時の腕、どうやら妖が憑りついてるようにバグを食べるのだろう?」

すると鏡花さんは私の耳元でこう囁いた。

「それにセツナの所属してる団体に興味を持った、入会させてもらってもいいのか?」

「……それは千尋さんに聞いてみないと分からないけどさ」

「冗談でござるよ、まぁ……気になっているのは事実じゃが」

私は鏡花さんの目を見ると本当のことを言っているのだなと感じた。

「それにセツナは春夏秋冬の大体の舞は舞えている、後は実戦を積み重ねて鍛錬をすることが大事でござるよ」

「と言う事は……」

「もう何も言うまい」

そう言って鏡花さんは永遠に咲く桜を見に戻った。

「……ありがとう」

そう言って私は寺を後にし、会社に戻っていったのだ。

「セリア・セツナ、ただいま戻りました~」

私は超常現象対策課のオフィスに入るといつも通りの光景が広がっていた。

「おっ、せっちゃんお疲れ~」

千尋さんが机にもたれかかりながらそう言った。

「……千尋さん、ちょっと相談があるんですけど、良いですか?」

「なんだ?金を貸してくれっていう願い以外は何でも聴くぞ」

私は千尋さんにさっき会ったことと鏡花さんがこの会社が気になっていることを伝えた。

「へぇ、入ってくれた方がいいと思うけど、ライさんがいいよって言うかどうか……だよな」

「なら直談判はどうです?」

「……せっちゃんが来てくれるのなら」

「なら行きましょ、今すぐ」

「今すぐ?私疲れてるんだけど」

「ほら、冷蔵庫に入ってるエナジードリンクを飲んでいきましょ」

私はキンキンに冷えたエナジードリンクを千尋さんに渡した。

「ありがたくいただくけど……」

千尋さんはエナジードリンクを飲んだ。

「くぅぅぅぅ!!!キンキンに冷えてやがる!!!!」

千尋さんはそう言って勢いよく立ち上がった。

「よし行こう、直談判だ!」

「一緒に行きますよ~」

私は千尋さんの同伴の元ライさんに鏡花さんをこの会社に入れていいかと聞くことにしたのだった。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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