55話 孤高の剣士
電脳世界に入った私だったがやけに周りが静かだった。
(周りが異様に静かすぎる、バグの声も聞こえないし一体なんだ?)
周りを散策していくとバグの無残に斬られ、その場に放置されている死骸があった。
(綺麗に斬られている……相当な剣士が居たもんだ)
私は周りを観てデバウアーで地面に落ちているバグの死骸を食べていった。
(体の火傷はまぁまぁ治ったが……まだまだ足りないか)
その時後ろから声をかけてくる人がいた。
「おやおや、客人かい?」
後ろからの殺気に私は刀を抜いた。
「ほぉ」
私は後ろから来る奴の袈裟斬りを刀で受け止めた。
「おぬしも剣士か……」
「あいにくな、それであんたはいったい誰なんだ?」
私は奴の刀を弾き飛ばして後ろに吹っ飛んだ。
「巷ではアルターエゴというようだが、私たちはピルグリムって言うんだおぬし!」
奴は地面が割れるかと錯覚するかのように私に突撃してきた。
(急に戦闘してきたが……もしかして私の事を敵だと思っているのか!?)
私は奴の一撃を刀で受け止めた。だがその斬撃は二連三連と繋がっていった。
「ほれほれ、受け流さんと死ぞ?」
(たしかにこの人の刀捌きは達人級だ、だけど人を見る目がまだわかっていない……)
その時、奴の刀が私の刀を弾き飛ばした。
「もらったぁ!!!」
そして胴体がら空きになった私の体に横なぎの一文字が走った。
「ぐおああ!!」
(さすがにこの一撃は深い……せっかく治した体なのにすぐボロボロになったのか)
私は追いつめられたかのように演じることにした。
「やめろ……助けてくれ……」
「ふん、おぬしは骨があると思ったが、ただの腑抜けだったか」
奴は私の心臓めがけて刀を突き刺そうとしてきた。
「何でも話す、安城寺さんの事もアルターエゴの事も!!」
その時、奴の刀が止まった。
「……今なんて言った」
「安城寺さんの事も……」
「どうして嬢ちゃんの事を知っている、もしかして知り合いか」
「知ってるよ、何なら一緒に戦ったさ」
すると奴は刀を納め、正座をした。
「なんとこの無礼……どう詫びようか」
すると奴は短刀を出すと自身の腹を斬ろうとした。
「この無礼は……腹を斬っても償われるだろうか」
「ちょっと待ってよ!?私はアルターエゴだよ!?バグさえ食べれば体の傷なんかくっつくのに」
流石に腹を斬るのは予想外で私は本気で焦った。
「ならバグを連れてくることで償われることでござるか?」
「いや……さすがにこの出血だと間にあうかどうかわからないな」
奴は苦虫をかみつぶしたかのような顔をすると腰に提げてある注射器を私の腕に刺してきた。
「痛っ、これは?」
「バグの成分を抽出した薬だ、これで治るといいのだが」
すると薬の効能だろうか、私の傷がどんどんと塞がっていった。
「ありがと……でもさすがに血液までは無理らしい……病院に連れていってくれ、そこで治療をしてもらう」
「わかったでござる、なら出発するでござるよ」
私は奴におんぶすると奴はヒビを作って現実世界に戻った。
「あそこでござるな!」
奴は私をおんぶしたまま走った。
(すごい……私を背負ってるのに凄いスピードだ……)
そして奴は病院のドアのガラスを突き破ると受付に最低限の書類を出した。その時横を見るとレイさんやラムダ、ジータがいた。
(どうしてラムダたちがいるんだよ……それにこういう時に限って私が傷病人だし!!!)
私は何をしたらいいのか分からず親指を立てた。その時のラムダの顔はとても驚いていた。
「いくでござるよ!」
奴はエレベーターがすぐに来ないことにしびれを切らし、階段を上っていった。
「うげぇぇぇえ!!!」
そして外科に私を届けた奴はとても息切れをしていた。
「大丈夫……?」
「ああ、それよりたくさん血を入れて来いよ」
そして私は何も言われずに腕を縛られ、注射をさせられた。
「うぎゃぁぁあああああ!!!!」
そして私はこの病院で火傷の治療と輸血を行ったのだった……あとは会社に帰るだけなのにこんなことに巻き込まれるなんて思わなかった。
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