54話 エゴ
（一体この刀は何だろ……急に力があふれてきたり体が発光したり……誰か教えてくれよ）
私は軽くなっていく体を試しに跳躍で試してみた。
（体が軽くなってるからジャンプ力があがってる……）
私は刀を真正面に構えた。
「私はお前を殺さないといけないんだ、だから死んでくれ」
私は刀を携えながらユプシロンに近づいた、今のヤツは化け物のような姿になっていて動きはトロいが破壊力が凄まじいことになっていた。
（こりゃ一発でも体に食らったら骨が折れるな……）
私は奴の足に向かって刀を振った、すると切れ味がいいのか刀を振ったことのない私でも簡単にスパンと斬れた。
「ぐおぉぉ」
（いともたやすく斬れた……刀なんて使ったことないのに）
すると上から声が聞こえてきた。
「セツナそこをどけぇえええ!!!」
上から降ってきていたのはレイさんだった。
「よかった！生きてた！」
私はレイさんの着地地点を離れながらそう言い、レイさんは屋上から持ってきた換気扇の一部を思いっきりユプシロンの頭にぶつけた。
「どっこいしょぉぉお!!!」
ゴンという鈍い音が鳴り、ユプシロンが怯んだ。
「セツナ、その刀はいったいなんだ!?」
「知らない、でも急に体が光りだして……それでその光が集まってこの刀になったんだ」
「……そうか、タロット占い知っているか」
「急に何を言い出してるんですか？」
急にレイさんがタロット占いの話題を出してきた。
「前フローズンさんの武装の事について聞いたんだ」
するとレイさんはフローズンさんの武装｛ザ・ワールド｝の事を話しだした。
「あいつの武装が出てきた時、とてつもない力があふれてくるって言っていた。私は今現在所在の分からない武装を調べていたんだがな……私がその刀をタロット占いするとな……11番の正義っていう奴だ」
「……何を言っているんだ？頭イカれたんですか？」
「今は端的に伝えることしかできない、それに奴がもうすぐしたら正気になる。一気にカタをつけるぞ」
「わかりましたレイさん、その事、後で話してくださいね」
「分かった」
そう言って私は奴に向かって突撃していった。
（次に狙うのは腕！）
私は奴が攻撃に使う腕を切り飛ばしていった。
「チェリヤァァアアア!!!」
私は奴の腕を綺麗に斬り飛ばした。そして私はそのまま頭を斬り飛ばそうとした、だが背中に登った時、熱いガスが私を襲った。
「何だこれ!?!?」
その温度は100℃を超えていそうな温度だった。
（火傷か!!!こりゃやべぇな）
皮膚から熱いガスを噴射しているようで背中に登ることは出来なさそうだ。
「一体どうしたらいいんだ？皮膚に近づいたら熱いガスで火傷、斬りつけても体力が減っているのかもわからない！」
「そうだなぁ……冷やせればいいんだがな……」
「どうしてだ!?」
「虫って変温動物だろう？冷やしたら行動が鈍くなるはずだ」
その時、奴とレイさんに向けて何かを吐き出してきた。
「なんじゃこれ!?!?」
私とレイさんはとっさの判断でかわした、ジュワァと何かが溶ける音がするに強酸性の液体なのだろうと予想できた。
「レイさん、こりゃ時間をかければかけるほどまずい展開になりますよ」
「そうだな……」
すると後ろから誰かがやってきた。
「もうすでに来ていたのか……!!」
「安城寺さん!?」
後ろから安城寺さんが走ってきていた。
「その刀、いいじゃん」
安城寺さんの手には体に見合わない大剣が引きずられていた。
「じゃ、こいつを退治したらいいのか！」
「奴の皮膚に近づけば高熱のガス、それか強酸性の液体が来ます」
「分かった！醜い化け物にお似合いのラストにしてやる！」
そう言って安城寺さんが飛ぶ準備をした。
「セツナ、一緒に飛んで同時に攻撃を叩きこむぞ」
「分かった、奴の首を飛ばす！」
そう言って私は安城寺さんと同じタイミングで上空に飛びあがった。レイさんはその様子を見て指鉄砲を構えた。
「攻撃は私の大剣が受け止める！セツナは刀でやってこい!!」
「了解!!!」
私は安城寺さんの背中に隠れ、攻撃をとにかく受けないようにした。
「ってここまで熱が!!」
高熱のガスが私たちを襲うが安城寺さんはお構いなしに大剣で高熱のガスを受けていった。
「今だ!!」
「分かった!!」
私は安城寺さんの大剣を踏み台にして奴の後ろに飛んだ。
「これで終わりだ!ユプシロン!!」
そう言って私は刀で奴の首を刎ね飛ばした。頭はベチャベチャと気味が悪い音を鳴らし地面に落ちた。それと同時に胴体の活動が限界に達したのかどんどんと崩壊していった。
「さすがに……こりゃハードだな」
「セツナ！大丈夫か!?」
レイさんがこっちに駆け寄ってきたのだった。
「大丈夫、少し火傷が酷いけどな」
私の皮膚は少し爛れていたのだった。
「今すぐ病院に行くよ！」
「大丈夫……バグを食べたら治るから」
そう言って私は安城寺さんの元に向かった。
「安城寺さんは大丈夫ですか？」
「ああ、何とか大丈夫だった。それで奴はもう死んだ、私がここに居る理由はもうないな」
そう言って安城寺さんはこの場から去ろうとした。
「……安城寺さん」
私は無意識に安城寺さんを呼んでいた。
「どうした？」
そう安城寺さんが私の方を向かずに行った。
「また会えるかな」
その言葉に安城寺さんは少し考え、結論を出した。
「会えるかもな、だけどその時は敵かもしれないぞ」
そして安城寺さんは人ごみの中に消えていった。
「レイさん、私は電脳世界に行って体を治してきます」
「わかった、無茶はするなよ」
そう言って私は電脳世界に潜りバグを食べて体の火傷を治すことにしたのだった。
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