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5話 丸呑みする腕

電車で揺られている中、私と千尋さんは談話していた。

「千尋さんって冷静ですね……どうしてそんなに冷静でいれるんですか?」

「そりゃ一度死んでしまってるから恐怖とかどこかに置いてきちゃったのかもね」

「恐怖をどこかに置いてるかぁ……私も恐怖をどこかに捨てたいなぁ」

その時、電車のアナウンスが鳴り響いた。

{超常現象発生、職員はポジションについてください。なお超常現象対策課2名はすでにポジションについている。暗殺課所属の2名は所定のポジションについてください}

「暗殺課所属ってことはフローズンさんが居る課ですよね?」

「そうだけど……ちょっとだけまずいな」

「どうしました?」

千尋さんは真剣なまなざしでわたしにこう言った。

「暗殺課が仕事に加わるだけで仕事の難易度が跳ね上がるんだよ……嫌なんだよなぁ~」

「どうして難易度が跳ね上がるんですか?」

「暗殺課ってのは暗殺のプロが所属してるんだ、それを前線に出すって事自体異常事態なの。つまり強いバグが居るってことなの」

「なるほど……だけどどこで合流するの?」

「……もうすぐ着く」

すると電車のドアが開き、二人が電車に入ってきた。

「久しぶりだね、新入り」

「おー、フローズンとカサリーネか」

(カサリーネっていう人……どこか強そうだなぁ)

カサリーネさんの服装はとても簡素なものでぴっちりとしたスーツとピストル、そしてナイフが腰に提げてあるだけだった。

「新入り、挨拶はどうした?」

「カサリーネ……新人いびりはやめておきなよ?痛い目に合うかもよ?」

「それはそうだな……それでどこだ?その超常現象発生場所は?」

「今から出動するところだ、しかしさっき出動したばっかりなのに……少しは休ませろよな~」

(確かに少し疲れているけどまだ動ける体力だ。千尋さんって体力無いのかな)

電車が動き出すとフローズンさんたちは駅弁を選び始めた。

「えっと?私は豊後牛博多明太弁当を食べようかな」

「福岡の駅弁だね、あれって本当においしいのよね」

「なら俺は黒毛和牛焼肉弁当を食べるぞ」

「おいしそうだなぁ……」

そして二人は駅弁を食べ終わり、片付けをしている途中で目的地に着いたらしい。

「おっと、片付けがまだなのに」

「千尋と新入りはそこで待っていろ、俺たちが来るまで待機だ」

「分かったけどさ……きちんと容器を洗うのね」

「もちろんだ、ハエが寄るからな」

そして暗殺課の二人の用事が終わり、私たちは目的地に足をつけた。

「……案外近くにヒビがあったり」

「ありえるな……この反応だったらすぐ近くにあるぞ」

私たちは近くにあるヒビを探し、物陰にヒビがあった。

「人気のない場所にヒビが……」

「ここはホームレスが生活していそうな場所だぜ!?」

「カサリーネの言う通りここはドヤ街だけど……やけに人気が少ない」

(もしかして……この中にいるのか?)

千尋さんはヒビを広げ、中に入っていった。

「さてと俺たちも入っていくか」

暗殺課の二人もヒビに入り、私もヒビに入っていった。

(あれ、いつもの色とは違う……白色じゃあないぞ!?)

ヒビの中は白色ではなく紫色だった。

「目に悪いなぁ……目が破裂してしまいそうだ」

「確かに目に悪い、早く仕事を済ませようか」

私たちは要救助者を探したが全く見当たらなかった。

「おかしい、どこかにいるはずなんだが……」

「フローズンの見当違いじゃあないのか?」

「なんだと~?」

暗殺課の二人はやけに仲が悪そうに見えてきていた。

「おっと、バグがこっちにやってきているな……だが待てよ……人型もいないか?」

私たちはバグの大群の方向に目をやると明らかに人がいた。

「確かに人がいるけど……あれって仲間なの?」

「対話してみないとわからないな」

私たちは戦闘態勢に入った。フローズンさんと千尋さんは走ってバグをとにかく殺して殺しまくる役割、私とカサリーネさんは後方からバグの残党を掃討していく役割だ。

「カサリーネさん、後方って何かつまらないですよね」

「まぁな、だが俺の武装を見ろ」

カサリーネさんの武装を見ると周りに赤い物体がふわふわと浮かんでいた。

「なんですかこれ……?」

「話は戦いの後、簡潔に話すと俺の特殊武装だ」

「何かかっこいいですね」

「そうだろうもっと言え!がっはっはははぁ!!!」

カサリーネさんの武装がレーザービームを放ち、着弾点に小さな爆発を起こしていた。

「ちょっと!?爆発の威力強すぎない!?」

「うるせぇなぁ!このうすのろが!」

ある程度バグを掃討した後、とうとう人型の何かと接触できる距離にまで近づいた。

「やっとだぞ……お前はいったいなんだ?」

「……ふん」

すると私たちに向けて大きな球を投げてきた。

(これに当たると本当にヤバイって本能だけで思えるが思考でもやばいって思えるぞ!?)

避ける時間はあまりない、だがその時私の右腕が黒くなり、どんどん大きくなっていった。

「せっちゃんそれはどうした!?」

「分からない……」

その腕の形状は何かを飲み込もうとする大きな口のようだった。

「やってみるしかないか!」

私は大きな球を食らおうとし、着弾のエネルギーを最小限にしようとした。

「食らいつくせ!デバウアー!!!」

その腕は人型の敵から放たれた球を丸呑みした。すると私の腹は少しだけ膨れた。

(なんだこの満腹とはいかない感じ……だけどお腹はだいぶいっぱいになったかも)

「ねぇ、この球、美味しかったんだけど」

「はぁ!?」

千尋さんは意味が分からないという声を出していた。

「馬鹿な……」

「私の腕があの球を丸呑みしちゃったんだけど」

「……まさかすべてを食べつくすんじゃあないよね?」

「すべてを食べつくすかぁ……いいね」

腕の形状は程よいサイズになり、私は腕の口を開けた。

「ほら、来なよ。ご自慢の高エネルギーの球を」

人型の敵はどうやら怖気ついたようだった。

「……なら周りにいるバグを食べるか」

私はバグに向かって走り出し、右腕の口がどんどんとバグを食べていった。

(どんどんお腹が膨れていく……これが満腹感なのか?)

今まで満腹感に満たされていなかった私、どんどんと満腹になっていくにつれて気分がハイになっていった。

「やっぱりこうじゃあないとなぁ!!!」

満腹になると私はとても力が強くなっているように感じた。

「さてと、残党はあなたと数体のバグだけ……どうする?降参するなら降参でいいよ」

後ろで見ていた千尋さんやフローズンさんはもはや手出しができないほどに私は強気だった。

「ひっ……化け物」

「化け物でもいいさ、だって私は記憶もない少女だから」

私は人型の敵を喰らおうとした。だが私にも人間の心がある。私が取った行動はみねうちだった。

「……何見てんだ、逃げるんだったら逃げろ」

その声にバグは一目散に逃げていった。

「せっちゃん、その腕は一体何なの?」

「分からない、だけど私、満腹になっちゃった」

「そうか……よかったなぁ」

その時、フローズンさんとカサリーネさんは私に銃を向けていた。

「どうしてせっちゃんに銃を向けているの?」

「バグを喰らうと言う事、それは私たちでも想定できないイレギュラー。つまり処分対象だ」

「暗殺課って本当に規則に厳しいのね」

「……いいから退いて」

「どうしてだ?」

「いいから退きなさい!」

すると千尋さんからとてつもない覇気が私とフローズンさん、そしてカサリーネさんを襲った。

「銃を降ろしなさい。」

「うお……」

暗殺課の二人は静かに銃を降ろした。

「人は居ないよね、さっさとこのヒビを塞ごう」

「分かった……」

私たちはバグの敵を抱えてヒビの外に出た。すると右腕の口が消えた。

「消えた……」

「もしかしてだが、その腕は電脳世界でしか展開できないのか?」

「そうかな……?」

ヒビを塞いだ後、私たちは会社に帰ったが電車の中はとてつもなくギスギスとした空気が漂っていた。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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