47話 人海戦術
協力組織の豪邸に戻り、私たちはとりあえず体を休め始めた。
(とっても疲れた……だけど安城寺さんはユプシロンを追ってるのか……)
「ねぇセツナさん、安城寺の事考えていたの?」
「ああ、なんだか気になるんだ」
安城寺さんは過去の何かに縛られているように見えてしまった。それは巷で言うサバイバーズ・ギルトみたいなものだった。
「……もう一度会えたらどんな感じの雰囲気になるんだろう」
そんな事を言っている間に時間は過ぎていった。
「さぁ」
その時私の頭の中に電流が走った。
(そうだ、ユプシロンを追って行けばいつか会うのか)
「ユプシロンを追おう、そしたら安城寺さんに会うかもしれないね」
「急に言うね」
「だとしたら私たちは動かないとね!!!」
私は立ち上がり、さっそく物事に取り掛かった。
(最初に話をするのは……この豪邸のあの組長だ)
私は組長に話をした。
「どうしたんだ?」
「あのですね……協力してくれないですか?ユプシロンっていう人を探したいんです」
「そのユプシロンはいったい誰だ?」
「アルターエゴ、それも多分だけどあなたたちで言うところのシマ荒らしっていう奴です」
「……そうか、一応調べてみるが結果は期待するな」
私は組長にユプシロンを探してほしいと話した、そして次にやったこと、それは街を自らの足で歩き異変が起きないか見ていった。
(一体ユプシロン様万歳と言って自爆している奴の存在が未だ分かっていない、どこで仲間にしているのか分からない今出歩くのは愚策だと言える。だが愚策を試してみるのもありなのかもしれないな)
路地を歩いて行くと何やら不吉な予感がビンビンしていた。
(なんだろう……この感じはいったいなんだ?)
すると私の体が宙に舞った。
「おぉ?何だこれ?」
糸が私の体に巻きついているような気がしたのだ。
(これって蜘蛛の糸なのか?だとしても頑丈すぎる)
「あれぇ?まさか大物が吊り上がったなぁ」
声が聞こえる方向に目をやると見覚えのある誰かが居た。それは左腕には火傷の痕が痛々しく刻まれていた。
「んーと、誰だっけ?記憶にないんだ」
「お前の仲間につけられたやけどだ……今にでも殺したい」
すると私を縛っている糸が一段と締め付けが強くなった。
「おっと、私に恨んでるのか仲間に恨んでるのかわからないんだけどエプシロン」
「ユプシロンだ、二度と名前を間違えるんじゃあない」
すると私の耳に何かが入ってこようとしていた。
「これを見たかったんだろ?これは寄生するバグだ、私の木偶になってくれよ」
私は大声でこう言った。
「ちょっと待ってくれ!遺言を書きたいんだ」
「遺言か、自我が無くなるわけでもないのに」
すると私の体が地面に叩きつけられた。
「ほぉら、やっぱり来たんだから」
私はゆっくりと立ち上がり、寄生型バグを踏みつぶした。
「待っていたんだよあんたを!!!」
「待っていたって、大げさだな」
私の後ろにいる人、それは安城寺だった。
「お前がここに居るのは分かっていた、だが罠の場所は分からなかったが……この間抜けが引っかかってくれたから助かった」
「私の事間抜けって言わないでくれ」
「はいはい、ここからお仕置きタイームだ、ユプシロン」
私と安城寺が歩き始めるとユプシロンがバックステップを踏んだ。
(安城寺が来るのは分かっていた、だけどあのカマキリ男とあの幼女の姿が分かっていない。何か変だ)
すると安城寺が私の上に剣をかざした。
「よっと」
何かを弾いた音がするとカマキリ男と幼女が一緒に降りてきた。
「こいつらは私の傀儡だ、もう感情を奪ってるんだ。さぁ踊れ踊れ!!」
カマキリ男が私たちに襲ってくるが安城寺の剣捌きですべての攻撃を弾いていた。その間にユプシロンがもう逃げていた。
「だがセツナ、また出会うとはな、それに同じ日に」
「運命的な出会いだな、恋人か?」
「恋人にしては会わなさすぎだ」
そんな冗談をかわしながらカマキリ男の後ろにいる幼女が気になった。
(あの幼女のレガリアはいったいなんだ?)
そう、幼女のレガリアが不明なのだ。そのことは安城寺さんも同じだった。
「セツナ、一気にカタをつけろ」
「分かった、こいつらを電脳世界に叩き落とす」
私は地面に大きいヒビを作り、この場にいる4人を電脳世界に叩き落としたのだった。
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