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ビヨンドザアンノーン?  作者: 猫こんた


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43話 羽の生えた少女

レイさんを風呂に入れた後、そのまま熟睡した。

「レイさんって本当に自由人だなぁ」

私はレイさんが出したカセットコンロを片付けていった。ラムダは何やらノートに何かを書いていた。

「ラムダはいったい何をしてるんだ?」

「今日あったことをノートに書いてるんだ、日記だね」

「ラムダって案外マメなのね、私はめんどくさくて書かないよ」

「でしょうね、こう見えて私はこういうコツコツ積み重ねていく方が性に合ってるんですよ」

そう言ってラムダは今日あったことをノートに書いていて現時点で10行書いているのに目が付いた。

「私もそういうマメな部分を見習わないとね……ジータの居場所知ってる?」

「いや私も知らないけど……どうせ下のコンビニで新聞を漁ってるんでしょ」

「私行ってくる」

私は下の階にあるコンビニに向かった、そしてジータを発見したのだが……

「そういえばジータの服、その一着しかないんだっけ」

自爆攻撃でジータの服がビリビリに破けていて腹やら太ももやらが見えていた。

「なんだか有名人になった気分~」

当然素肌が見えているので一般客の視線はジータに向けられていたのだ。

「……早く部屋に帰ろう」

「わかったー」

私はジータを連れて宿泊部屋に向かったが後ろから追っかけがついてきていたのだった。

(全く、男ってのは欲望に従順だから困るんだよな)

私とジータは早歩きで階段を上っていった。追っかけは先に息をあげ、付いてこれていなさそうだった。

「早く部屋に入るよ~」

私とジータは早く部屋に入り、鍵を閉めた。

「これで追っかけは来なくなるかなぁ」

私は覗き窓から外の様子を見た。そこに映っていたのは一人の少女だった。

「……?」

私は誰だろうと思っていたが急にドアがこっち側にとんがってきた。

(なんだこのパワー!?)

明らかに人が出せるパワーを超過しているのだ。私は一瞬で戦闘態勢に入った。

「誰だか知らないけど敵襲だ、ジータ行けるか?」

「大丈夫だよ~キラーン」

ジータはナイフを持ち、ドア前に陣取った。

(だがあの少女はいったい誰なんだ?それにこの力は一体?)

ジータは歪みでドアが開かなくなる前にドアを開けた。

「先手必勝だ!」

ジータは通路に向けてナイフを振り回しながら突撃していった。

「ヒャッホー!!」

(ジータ……とても楽しそうだなぁ。しかしバーサーカーみたいになっていってるような気が……いや気のせいか)

こんな狭い場所で戦うとなると私のレガリアやラムダのレガリアでは建物を損壊させる、ジータに処理してもらった方がいいのだ。

「逃げの一手!」

少女は私たちが宿泊する部屋に入ってくると窓から飛び降りた。

「って飛び降りたぞ!?」

「待て待てー」

ジータは少女を追って窓から飛び降りようとしたが私が止めた。

「ジータ、あまり周りを観ないようじゃ死んじゃうよ?」

「わぁお、あと少しで地面とディープキスするところだったなぁ~」

私はジータを落ち着かせ、奴が逃げた先を見ていった。

「……暗くて見えないな」

夜目があまり効かず、暗闇しか見えなかった。

「なんだ~?敵襲か~?」

レイさんが目を覚ますと外を見始めた。

「……なるほど、でもあれは射程距離外だなぁ、追っても無駄無駄。それに少女の背中から羽が生えてるし高機動で動かれたら弾を外しちゃう」

「射程距離外?」

「レガリアで空気を固めて銃のように撃ちだすってのがあるけど、射程距離外なんだ」

「そんなレガリア覚えてるんですか……」

「だから傭兵課にいるんだ、私は寝るよ」

そうしてレイさんはベッドに入るとすぐに深い眠りについた。

「……このまま寝てもいいのだろうか」

「ちょっと不安だね、寝てる間に奇襲なんかされたら一巻の終わりだ」

「ならラムダの紫色の球を使ってトラップを作ったら?」

ジータがそう言ったが私は止めた。

「やめといたほうがいいな、施設を破損させる可能性があるからな」

「ならどうする?」

「……静かに寝るしかないな」

「なら今から静かにしよー」

その声の後、私たちはハンドサインでしか会話せず、そのままベッドに横になった。

(しかしさっきの少女はいったい何だったんだ?もしかしてユプシロンの手下か?)

私はさっきの少女はユプシロンの手下だったのか、それとも愉快犯だったのか分からず深い眠りについたのだった。明日の予定はユプシロンの動向を掴むことだが……それはとても難しそうだ。自爆されて終わりだろうな。


最後まで見てくれてありがとうございます。

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