41話 行ったり来たり
「草薙レイさんいた!?」
「いやこっちは禿げたおっさんばかりだ!」
私たちはもう一度空港内を洗いざらい探したが全く草薙レイさんが見当たらなかった。
「一体何をしてるんだよ……ちょっとライさんに電話してみる!」
私は一度ライさんに草薙レイさんの現在地を聞こうとした。
「もしもし?」
「どうした?合流は出来たか?」
「出来てないですよ、なんなら着いたって本当なんですか!?」
「着いたって言ってたが……もう一度聞いてみる」
ライさんは私たちと草薙レイさんが合流したと思っていたらしい。その時草薙レイさんのいる場所は……
「ちょっとレイ!今どこに居るの!?」
「今ですか?うどんを食べてます」
「どこの!?」
「空港の近くですよ」
空港の外のうどん屋に寄っていたようだった。そしてその情報が私たちに流れてきた。
「すまん、レイの野郎は外でうどんを食べていた、迎えに行ってくれないか?」
「分かりました、ですがチョイスがうどんってのは聞けなかったですか?」
「とにかく白い物が好きな奴だからな……とにかく頼んだ」
そう言ってライさんは電話を切った。
「……そりゃ空港にはいないってわけだ」
私たちは空港を出て近くのうどん屋に向かった。
「へいいらっしゃい!」
「ここに草薙レイっていう人いるか!?」
「草薙レイ……ですか、さっきまでここでうどんを食べてましたね」
「一歩遅かったってことか」
私は再びライさんに電話を掛けた。
「あーごめんライさん、うどん屋で草薙レイと合流できなかった」
「あの野郎……ちょっと待ってろ!」
ライさんは少しキレ気味で電話を切った。
「ライさん少しキレていたな」
「そうだね……ジータはどうしたんだ?」
ジータはうどんに釘付けだった。
「ジータ、今は食べてる暇はないんだよ」
「分かってる、けどおいしそうだなぁって」
「明日、明日食べに来ようよ」
「わかった~」
ライさんからの電話を待ったが一向に来る気配はなかった。
「……少し遅いなぁ」
私はライさんに電話を掛けた、するとライさんが焦っていた。
「レイの電話番号にかけても圏外のアナウンスが流れるんだよ」
「何だと?」
「多分機内モードにしてるか電源を切ってるかだ……」
「つまり何かしらのトラブルに巻き込まれていると」
「そう考えられる、それかめんどくさくて切ったか、だがそういう事をする奴じゃあない。ならどうして圏外だ?」
ライさんは本気で悩んでいる様子だった。
「ライさん、大丈夫ですか?」
「あくまで現地にいるセツナたちが最終決定者だ、私は意見を出すことしかできない。最後の結末はセツナたちで決めてくれ」
そう言ってライさんは苦し紛れに言った。
「動くのは私たちですよね、なら私たちは戦闘態勢になります」
「了解、私はいろいろと準備をしないといけないからこれで電話を切る」
こうして私たちは本格的に草薙レイさん探しをし始めることにした。まず賢者は高い所から物事を見る、この事を私なりにかみ砕き、屋上から草薙レイさんを探すことにした。
「しかしライさんもお手上げ状態になる人を助っ人として送り込んできたってことは……」
「私たちと同じ奇人って事ね」
「うどん~」
すると路地裏から何やら人が飛んできた。
「なんだあれ、凄い跳躍する人っているんだな」
「いやあれは跳躍じゃあない、飛んでるんだ!」
(草薙レイさんのレガリアを聴くの忘れてたなぁ……これは失敗だな)
私たちは人が路地から出てきた場所まで行くと戦いが始まっていた。
「人が戦っているぞ!?」
そこは白い服を着たスタイルの良い女の人と男の人が戦っていた。
「夫婦喧嘩には見えないけどな、私たちがツッコんでいいよな!」
私は屋上からレガリアで男と女の間に割って入った。
「ストォップ!!」
私の声に二人は止まった。
「一体何をやってるんだ!?喧嘩はよくない!」
「お前は誰なんだ?こいつの仲間か?」
「まず名前を名乗れ、そこが先だ」
最初に女の人が名前を言った。
「草薙レイです、ライさんから頼まれてきました」
(草薙レイ……この人だったか)
次に男の人が名前を言った。
(草薙レイだ、ライに頼まれた)
「……ほへ?」
予想外の一言で私の脳内CPUがオーバーヒートした。
「なんで私の名前を騙ってんだコノヤロー!!」
「いやなんで俺の名前を騙ってんだ!!」
「へ……へへ?」
ますます場が混沌とし始めた時、ラムダが降りてきた。
「ラムダ参上、それでどんな状況になってるの?」
「あれが草薙レイさんでこっちも草薙レイで……あれぇ?これも草薙レイさんだぁ」
「ラムダだ、セツナさん混乱しちゃってるじゃんか」
ラムダは私の脳天をかち割りそうな勢いで叩いた。
「ありゃりゃ?」
「もう、混乱してましたよ」
(しかしどっちも草薙レイだと判別するワード……白か?)
私は二人にカマをかけることにした。
「二人に質問、白くてちゅるちゅるしてる奴はなんだ!?」
「白くてちゅるちゅる……?」
先に男の人はこう答えた。
「そうめんだろ!」
次に女の人が答えた。
「うどん、さっき食べたもんね」
その答えでもうすでに偽物が割れた。
「よし。ラムダ、やっておしまい」
「了解だよセツナさん」
ラムダは紫色の球を持って男に近づいた。
「偽物はお前だバカヤロー」
その紫色の球を無理やり男の口の中に入れ、ごっくんさせた。
「いぎゃぁぁぁああつぅぅぅぅ!!!」
そして死に際、奴はこういった。
「ユプシロン様……万歳!!」
奴は千尋さんを巻き込んだ自爆攻撃をまたしてもやろうとした。
「まずい!この場から離れるぞ!」
私たちは逃げようとしたが明らかに距離が近すぎた、だがレイさんがその溶けかかっていた奴を観ていた。そして爆音が鳴り響いたが私たちの方向に爆炎が広がることは無かった。
「……あれ、生きてる」
「確かに生きてるね」
爆心地の近くには何やら緑色の物質があった。
「なんだこれ」
レイさんが無言で私たちに近づくとこう自己紹介した。
「こう言っておけばよかったのかな、傭兵課1番隊隊長の草薙レイだ、よろしゅう~」
「よ……よろしく」
その時、レイさんの電話から鬼のように電話が鳴り響いた。
「おっとまずい、ライから電話だ」
その内容はどうして出なかったのだというお叱りだった。
「さっきまで戦闘してたので出れなかったんですよ、ですがうどん店から出たことは反省してますよ」
どこまで行っても自由人だなぁって思っているとレイさんの携帯が私たちの携帯と違った。
(ガラケーを使ってる……20数年前以上の代物なのにつかってるのすごいなぁ)
電話を終えるととりあえず私たちはホテルに向かったのだった。だがまたしても自爆の時に言っていたユプシロンという名、ますます気になってしまった。
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