39話 知らない経験
千尋さんが救急車で運ばれた後、私たちも病院に直行した。
「しかしジータの服、またボロボロだね」
「そうだね~」
ジータは爆発に巻き込まれてしまい、服がボロボロになっていた。
「千尋さんが買ってきてくれたのに……」
「また買ってきてくれるよ、だから今はその服でいいじゃん」
ラムダがそう言った。ラムダこそ服を包帯代わりにして千尋さんの出血を止めたからへそが見えていた。
(みんなボロボロだなぁ……しかし足が痛い……そういえば治療してなかったんだっけ)
私はこっそり足の傷を見ると明らかに紫色になっていた。
「そういえばセツナさんの傷、大丈夫ですか?」
「いや大丈夫じゃあなさそうだね、傷がどんどんひどくなってる」
(透明の棘は抜いてあるが……毒か)
病院に着くと私たちは検査を行った、私の傷も診てもらい、とりあえず松葉杖を貸してもらった。
「二人は大丈夫?」
「私はほぼ無傷だから大丈夫、ジータはもはや最強。だけど千尋さんは……」
千尋さんは爆発で負った爆傷が原因で緊急手術になっていた。
「そうか、千尋さんは私たちのようにバグを食べて回復しないから手術しないといけないんだよなぁ」
その時、私の電話が鳴った。
「……ちょっと外に出てくる」
私は病院の外に出て電話に出た。
「もしもし?」
「もしもし、ライだ」
ライさんが電話を掛けてきたらしい。
「その……千尋は大丈夫なのか?」
「千尋さんは今緊急手術で頑張ってるよ、それで敵が居るのに私たちはボロボロ、どうしたらいいんでしょうか」
「確かジータは超再生、一人で戦えなくはないが心配だ、それでセツナとラムダの二人は戦闘能力はあれど持久力がない、つまり戦っていくにつれて消耗していく、とても難しいな」
もし私たちが撤退すれば北海道の人たちの被害が増える、戦い続けていたら私たちがボロボロになって再起不能になるかもしれないという危険性がある、ライさんはどうしたらいいのかとため息をついた。
「ライさん、どうします?」
「いやぁ……とっても難しい、判断がとても難しいんだ」
(そりゃ難しいよね……社員を大事にしたい気持ちと被害を最小限にしたいという気持ちが交錯してそうだなぁ)
ライさんは難しい決断を下すまで私は黙って電話をつないでいた。
「……よし、今決断した。こんな手は出したくなかったんだがな……そっちに助っ人を出す、恐らく助っ人の名前は聞いていないと思う、草薙レイだ、レイと一緒に同行してくれ」
「分かりました、戦闘継続って事ですね」
「そうだ、よろしく頼む」
そう言ってライさんは電話を切った。
「……そうか、レイさんって誰なんだろ、ライさんの姉妹かなぁ?」
私はレイさんという人は知らず、レガリアを使うのかが分からないままライさんに電話を切られたことに後悔したのだった。
(この事みんなに伝えないとな)
私は駆け足でラムダやジータに伝えに行った。そして私たちは千尋さんの手術が終わるまで手術室の前で待機するのだ。
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