38話 人間爆弾
ラムダの紫色の球が割れ、敵との視界が遮られた時、私たちは一斉に建物の陰に向かって走り出した。
「うおおお!!!」
だが敵はこっちの場所が分かっているかのように私の足に透明の棘を突き刺してきたのだ。
「いってぇ!!!
(どうしてこっちの存在が分かった?正確な位置もそうだし足の場所も……)
ラムダが酸性の霧のスモークを作っていっていったとき、散歩中の犬にも透明の棘が刺さった。
(通行人の犬にも刺さったぞ……?私たちの場所は分かっていない?だとしたらどういう風に探知しているんだ?)
探知しているとすればとても厄介な相手になることは確定しているのだ。
「せっちゃん、あまり息をするんじゃあないぞ」
「どうしてだ?」
「見てれば分かる」
私たちはゆっくりと建物に入っていった、だが透明の棘が飛んでくることは無かった。
(息をしてなければ飛んでこない……?)
「多分奴は肉眼で見ているしCO2でも見ている、息をしたら場所がばれて撃ってくると言う事だ」
「CO2を探知するんですか?」
「そうだね」
するとラムダは透明の球に自身の呼気を入れた。
「ラムダは何をしているんだ?」
「私に策がある、ジータは私の秘策の駒にさせてもらうからね」
「どうして私が駒なの?」
「私の策の大事な一つのピースなんだ」
ラムダには何やら秘策があるらしい。
「ジータにはこの私の呼気入り球を持って奴に突撃、そして私たちが遅れて突撃するって事」
「なかなかな肉弾戦になりそうだね」
「仕方ないんだ、こんな戦略しか思いつかないんだから」
千尋さんは少し悩み、結論を出した。
「よし、ラムダの作戦で行こう」
そしてラムダはジータにラムダの呼気入り球をポケット一杯に詰めてもらい、ジータはナイフを持った。
「もし傷つけるチャンスがあれば切りつけていいですか?」
「いいぞ、だが殺さない程度でな」
ジータが棘が飛んでくる方向に走り出し、私たちはジータが敵が居る場所に着いた時に出ることにした。
「しかしジータが主軸の作戦だな……少し不安だ」
「千尋さんどうしてなの?」
「ジータがやられたらこの作戦が終わる、一人に責任を押し付けたくないんだ。それに奴から私たちを狙ってきた奴の情報を抜き取らないといけないんだ」
「それが重要だよね……」
その時、ジータが笑い声を上げ、こっちまで聞こえてきた。
「まずい、もう接触してたか!!」
私たちは急いでジータの元に走っていった、ジータの目の前にいる奴が私たちを襲ってきたのだと確信した。
「銃をもってやがる!?」
「銃を使って棘を飛ばしていたのか、だからあんな速いスピードで」
千尋さんがすぐにジータの元に着き、奴の持っている銃を蹴り飛ばした。
「これで終わりだ!」
もがく奴は生きたいという生存本能で動いているように見えた。
「一つ聞く、お前のクライアントを言え!」
千尋さんは鉈を奴の首元に構えた。
「クライアント……?言えない……」
「なんだ!?言えないのか!!」
千尋さんは怒気が籠った声で奴を攻めていた。
「早く言え!」
「ユプシロン様……万歳!!」
すると奴は急に爆発し、その爆発にジータと千尋さんが巻き込まれた。
「千尋さん……?ジータ……?」
比較的遠くにいた私とラムダは千尋さんの元に向かった。ジータは多分超再生でケロッと生きているとわかっていたのだ。
「酷い傷だ……」
私の手には奴の肉片と千尋さんの血で濡れていた。
「……起きてくださいよ!!」
「そんなことはいいから早く止血をしろ!」
ラムダが私に強めに言うと自身の服を歯で切り、簡単な包帯を作った。
「もう一回死ぬな!まだ生きれるんだ!」
その時のラムダはなんだか救急隊員のように見えてしまった。
「セツナ!お前は救急を呼べ!早く!」
「……っ」
私は救急を呼び、とにかくこの場から逃げたいという気持ちを押し殺し、とにかく千尋さんを助けることに尽力した。
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