32話 古来からの教え
私はジータ、今現在火だるまになっている最中だ。
「ねぇラムダ、あいつに抱き着けば燃えるよね」
「多分燃えるな」
ラムダに気を配りつつ私は奴に走っていった。
(火を自由自在に扱える気分だ……とっても気分がいい)
私のレガリアである超再生と被虐体質、とっても組み合わせが良くて恐れずに前に出れるんだよね。
「つかまえたぁ」
私は急いで逃げる準備をしていた奴の加太を掴んだ。
「離して!!!」
私は火がボゥボゥと燃えている手を奴の顔に押し付けた。
「熱い!!」
「何が熱い?ここで働いていた人たちをゾンビみたいにしてたのも、お前だ。だから罪は償ってもらう」
私の腰に提げてある瓶を体に振りかけ、火の勢いを強めた。
「いやぁぁ!!!」
すると奴のスカートから水が私に噴射され、火の勢いが弱まり、奴が離れた。
「熱い……馬鹿じゃないの!?あなたが燃え死ぬじゃあないか!?」
「燃え死ぬ?ノンノン!」
私はとても痛みで気分が高まっていた。
「痛みは人間としての当然の感覚だ、だが私はアルターエゴ、痛みや苦しみに屈服しないのだよぉぉ!!!」
私は奴に一気に近づき、蹴り上げた。
「がはっ」
「邪魔だ!」
私はラムダから受け取っていたオレンジの球を破裂させ、ガソリンの霧を生み出した。
「やめろぉぉぉ!!!」
私を中心に爆炎が出てくると奴は窓ガラスの外に吹っ飛んでいった。
「うごあぁぁぁ」
奴が下に落ちていく声がどんどんと小さくなっていった。そしてドサッという音がかすかに聞こえた時、私は膝から崩れ落ちた
「ハァ……ハァ……」
「ジータ、大丈夫か?」
(とっても死ぬかと思った、体が木っ端みじんになると再生するかどうかわからなかったが……一瞬で体の組織がくっついた……)
「大丈夫、と信じたいね」
「だが奴はこの高層階から落ちたんだ、当然死んでいるだろう」
「そうと信じたいね……」
私の服が燃え尽き、私の服が無くなってしまった。
「ジータ……さすがにあの服耐火性能なかったね」
「でもとても燃えてて気持ちよかった……体感してみる!?」
「いいや、遠慮しておくよ」
そう言って私とラムダはセツナさんの元に向かった。だがここで過ちだったのは奴の死にざまを見ていなかったことだった……
「セツナさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃあないよ!!!なまら怖かったよ!!!……それはそうとして千尋さんが目を覚まさないけどこれって大丈夫なのかな」
「虫が苦手すぎて気絶しちゃってるんでしょ」
「……ジータ、服はどうした?」
「燃え尽きちゃった」
「自ら燃やしてたものね……このまま外を出歩けば露出魔として刑務所行きだよ?」
「……どうしよう」
今更私がしでかしたことの代償が大きすぎたのだった。
「ちょっと待っててね」
セツナさんがさっきまで戦っていた場所に入っていくとカーテンの布を持ってきた。
「これで一応隠せるでしょ?」
「そうですけど……とても涼しい」
「後は千尋さんだけだね……それとこの布を取りに行く過程で奴の死体を見に行ったけど、本当に始末したんでしょうね?」
その言葉に私とラムダの間に緊張が走った。
「まさか……」
部屋の奥から誰かが叫んでいた。
「逃げるってことはあなたたちを愛してるからだぞー!!」
部屋の奥の窓に浮いていたのはさっき戦っていて始末したはずの奴だった。
「テメェ!!!」
ラムダは紫色の球を奴に投げつけようとしたがもうすでに奴は大きな虫に乗って遠くに行っていた。
「……万が一外してしまったら被害が物凄くなるな」
ラムダは紫色の球をしまい、千尋さんが起きるまでその場で待ったのだった。
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