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3話 電脳世界の中

数十分が経ち、私は駅弁3つを食べてなおまだお腹が空いていた。

「ねぇ、駅弁って経費で落ちるの?」

「経費で落ちるけど……そこまで食うとはな、相当お腹が減ってたんだな」

「だってこの駅弁たこ焼きだよ?12個も24個も食べれるよ?」

「凄いな……私は12個でギブなのに……とんでもない大食らいだな。おっと、あと少しで目的地に着くようだな」

千尋さんは電車から降りる準備をすると、私もつられて降りる準備をしていった。

「速いですね……」

「速いだろう、空いている線路を突っ走ってるから速いんだけど何より1両だけだからスピードを出せるんだよ」

「そうなんですね……」

私は緊張のあまり、体がガッチガチだった。それを千尋さんは見抜いているようだった。

「そんなに緊張しなくてもいいのよ。多分この仕事はそんなハードな仕事じゃあないから」

「そうなんですか?」

「ハードな仕事だったら私ワンオペになって最終的にこの仕事辞めちゃってるよ」

電車は目的地に着き、私たちは目的の場所に向けて歩き出した。

「確かこのあたりで超常現象が起こったって指令が出ているな」

「なんだかのどかな街ですね~」

「ここか……」

千尋さんは目の前にある白いヒビを見つけ、私にそのヒビを見せてくれた。

「このヒビって一体なんですか?」

「これは電脳世界の入り口だ、ヒビの出来る仕組みは世界のひずみが限界に達した時に現れる現象。一説によると人のトラウマの具現化っていうのがあるけど真偽は分からないんだ」

「このヒビを修復したら仕事終わりですかね?」

「いや、中にいる敵を倒してからだ。一度修復しても数分経たないうちに敵がヒビの痕に入り込もうとして再発するってことがあるから面倒なんだよ」

千尋さんは持ってきていた鉈をヒビに振りかぶった。するとヒビは広がっていき、中の様子がくっきりと見えた。ヒビの中からはとても冷たく、無機質な風が私たちを引き込むかのように襲っていた。

「ほら、中に入るよ」

「分かりました!」

私はヒビをくぐり、電脳世界に降りたった。そこはまるで私が記憶を失った場所に似ているような気がした。

「知っているような場所だ……」

「あなたをサルベージした場所に似てるでしょ?電脳世界はほとんどがこういう構成なのよ。とても代わり映えのしない、まるで決まったことしかやらないロボットのように」

「……地面ってこれ豆腐なのかな?」

私は地面を食べようとしたが硬かった。

「硬いぃ~」

「も~何やってるのよ~っておっと、敵が来たようだよ。戦闘準備!」

(戦闘準備……!?もしかして敵がいるのか!?)

奥から白色の何かが来た。それはまるでこの世の間違いを鍋で煮込み、それを布で絞って出来た搾りカスような雰囲気を醸し出していた。

「とても美味しそ……いや強そうだね。っていうかあの敵って一体何者なの?」

「あれはね、電脳世界のバグと言ったところかな。簡潔に言えば人間の負の感情の具現化だね。バグはバグを作るからめんどくさいんだよね。それにバグはここに紛れ込んだ人を殺して成り代わろうとしてるから超常現象対策課がバグを殺さないといけないんだ」

すると千尋さんは前に出るとこう言った。

「武装展開、モードH」

その言葉を皮切りに、千尋さんの姿形が変わった。

「いい?能ある鷹は爪を隠すということわざの通り、私は弱そうな見た目だけど本当はこんな姿なんだ」

その姿はまるでとても美しく、可憐だが棘のありそうな姿だった。だが私の腹はとてもピンチになっていた。

(うっ……胃がすこぶる痛い……緊張か食べ過ぎかどっちだ……?)

「この姿になると白髪になっちゃうんだよね……どうしてかしら」

「白髪……私と一緒ですね」

「そうだね、じゃ……突撃!」

千尋さんは鉈を持って敵に突撃していった。

「走るスピードすごく速いなぁ……って見とれてたら駄目だよね」

私はアサルトライフルに弾を込め、敵に向かって撃ち始めた。

(おっとっと、反動が凄いあるけどあいつらには効いていそうだ)

「せっちゃん、油断はするなよ。雑魚ほど群れる習性があるんだ。つまりまだまだいるという事だ」

「まだまだいるんですか?」

「ああ、奥を見て見ろ。第二陣、第三陣と奴らが続いているのが見えるだろう。あいつらを倒してからあのヒビを塞ぐ」

「分かった!」

私はアサルトライフルを構え、遠くの敵を照準に捉え、トリガーを引いた。

「おっ、大当たり~」

「……あと忘れてたことがある、この近くに人は居なかったか?」

「居なかったはずだけど……どうした?」

「偶に人が入り込んでしまうってことがあるんだよ。その時はサルベージをしないといけない」

「私のようにサルベージをしないといけないんですね」

「そうだ、だけどいないならいないで越したことは無いな」

そして第二陣が私たちの射程距離に入ったと同時、物陰をよく見ると人が倒れていた。

「千尋さん!真正面に人が!」

「マジかよ人が紛れ込んでいたのかよ!?」

千尋さんは急いで救出しに行ったが見つけるのが遅く、目の前の人から血しぶきが舞っていた。

「あっ……」

その血しぶきはトマトをつぶしたかのように血が飛び散っていて、真っ白の床が血の紅に染まった。

「……テメェ!!!」

千尋さんは持っている鉈を強く握りしめ、とてつもない憤怒の空気を纏わせていた。

「お前らは地獄行き決定だよなぁ!!!」

千尋さんは敵をバッサバサと切り刻み、第三陣で来た敵の元に走っていった。

(千尋さん……まるでバーサーカーのように暴れてる!)

私の手が届かないところで千尋さんは敵の殺戮を行っており、着いた時にはもう生きている敵はいなかった。

「さてと、増援は来なさそうだし、このヒビを埋めていくか」

(千尋さんのテンションが戻ってる……でもさっきの憤怒の雰囲気は一体何だったんだ?)

私と千尋さんはヒビの外に出て現実世界に戻ると特殊なパテで日々を埋めていった。

「これで大丈夫かな」

「仕事はこれで終わりですか?」

「そうだね、どう?超常現象対策課ってのは」

「とても楽そうな仕事だと思ってましたけど、こんなことをしないといけないんですね」

「私も最初楽だと思った。仕事が無ければ暇で仕事があればしんどいっていう……実質万事屋だね」

「なるほど……しかしお腹すいたな」

「なら近くに食べ放題の店があるから寄るか?もちろん私のおごりだ」

「おごりですか!?」

「そうだ、いっぱい食べて一杯育つんだ!」

「横に育ったらだめですけどね」

「ははは……そうだな」

こうして私と千尋さんは近くの焼き肉店に足を運び、晩御飯を食べ始めた。だけど食べ放題かぁ……夢あるなぁ。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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