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ビヨンドザアンノーン?  作者: 猫こんた


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28話 冷たさ

路地に留まっていると雨が降り始めた。

「千尋さん、雨が降ってきましたよ?」

「そうだな……一旦雨宿りできる場所を探すぞ」

「わかった、今行くよ千尋さん」

ジータがやけに大人しくなっていた、思い出に浸っていたのだろう。

「ジータの地元がここってわかっただけで大収穫だけど仕事があるのね……」

「そうだ、バグが発生している場所はここの近くだから間違ってその建物に入らないようにな」

私たちは人気のなさそうなビルの入り口にたどり着き、雨宿りをした。

「千尋さん、この雨止みそうにないですね」

「そうだな、天気予報だと3時間以上降るらしいし、どうする?」

「どうするって言われてもこの雨じゃあ何もやる気が無くなりますよ」

雨はとても強く降っていて屋根の外に出たら一瞬で全身が濡れそうだった。

「……何か音がするんだけど」

背後からカチカチという音が聞こえてきていた。

「ジータ、何かいたずらしてない?」

「してないね、ラムダもしてないから……」

私と千尋さんはその違和感に気が付き、同時に後ろを向いた。するとそこに居たのは大きな虫だった。その時私たちの間ではとても静かな時間が流れた。

「……わぁお」

「フギャァァァァ!!!」

千尋さんはとても驚き、私の陰に隠れた。

「ななななななによあれ!?」

「……もしかして千尋さん、虫が苦手なんですか?」

「当然よ!!!あんなエイリアンみたいな体はとても生理的に無理なんだよぉ!!!」

「でもバグにあんな姿のヤツいなかったですよね」

バグは基本的にボウリングの大きさと同じぐらいのサイズだがこんな大きなのは初めてだ。

「……でもガラスの扉があるからこっちに来れないらしいですね」

「そうだけどその扉……開けるんじゃあないぞ!?」

千尋さんはそうおびえながら言った。

「千尋さんがとても噛ませ犬のように見えてきたんだけど……」

「そだね~」

横でラムダやジータがこう言っていた。

「いやあなたたちもあんなグロテスクなエイリアン平気なの!?」

「明らかに異変だなぁって傍観してましたね」

「ならあいつを始末してよ!!!」

「いや待て、ラムダの酸性の霧はアルミのドア枠を溶かすのでは!?」

「そうだね、だから私は攻撃できない。となるとどうする?」

ラムダは私たちに問いを投げかけてきた。

「今のせっちゃんのストックしてあるレガリアはなんだ!?」

「今ストックしてあるレガリアですか?確か矢を出して追尾させるレガリアとビー玉から軽トラを出すレガリア、分からないレガリアが1個あるんですよ」

「打開できるレガリアがない以上、どうにもならないな……」

私は千尋さんにこういった。

「何言ってるんですか?この状況を対処できる方法あるじゃあないですか。ドアを開けて虫を駆除していったらいいんですよ」

それはドアを開放して虫を駆除していく事だった。

「……冗談じゃあないよね!?!?」

「いいや、冗談だとしても言わないですよ」

すると千尋さんはごね始めた。

「いやねぇ、恨みあるのなら聞くよ?ね?」

「ザ・オープナー!」

私は無理やりドアを少しだけ開け、虫がドアを無理やり開けようとしていた。

「ウギャァァァ!!!!」

千尋さんはあまりにも虫が嫌いすぎるのかその場に気絶した。

「あれ?動かなくなったよ?」

ジータが千尋さんを指でツンツンしていると虫が完全に戸を開けた。

「キッショ!!」

私はビー玉から軽トラを出し、虫に向かって投げた。

(これで潰す!!)

ここは現実世界だからデバウアーは使えない、レガリアだけで戦うしかないのだ。

「ギュロロロロロ」

軽トラは虫を軽々と潰し、汚い体液をあたりにまき散らした。そして虫の体内からバグが這い出てきたので私はそれを踏みつぶした。

「バグが虫に寄生してたのか、つまり人間にも寄生できるってことか……?」

(だがバグは電脳世界にだけ現れるものだと思ったが……一体このビルでは何が起きているのだ……?にしてもこの虫は食べたくないなぁ……とてもゲロマズな味がしそう)

私の考えていることが本当だとしたら本当にまずいことになる前にバグを駆除していかないといけないようだった。

「ジータ、急いで千尋さんを起こして」

「分かったーおきろー」

ジータは千尋さんの体を激しく揺らし、気分が悪くなるまで振った。

「うっ……ぷ」

「千尋さん、完結に話すと虫にバグが寄生してました」

「奴ら……生き物に寄生するのか……?」

「寄生するらしいです、現に虫を潰した時にバグが出てきたので」

「虫に寄生するバグか……バグは虫、フフッ、いいね」

千尋さんは持ってきていた鉈を手に持った。

「ならこの近所に結界を張っておかないとな」

千尋さんは杭をカバンから取り出し、地面に突き刺した。

「さてと、呪文はこんな感じに言うんだっけ」

千尋さんは杭に片足を乗せ、呪文を唱え始めた。

「黒より出でで闇より暗く、その罪を禊たまえ」

その呪文を言い終えた後、あたりがどんどんと薄暗くなっていき雨が止み始めた。

「この結界はいかなる生物や物体が通り抜けできないんだ、だからバグがここから出ることはできないようになった。ちなみにこれは綾瀬さんに教えてもらったんだ。あの人は一応巫女だからね、そんな事簡単にやってのけるから尊敬できるよ。それじゃ、行こうか」

千尋さんは虫が居なくなった途端、なぜか気分が乗っているように見えた。

(千尋さん、とっても虫が苦手なんだろうなぁ……)

私たちは建物の中に入っていくと人が頭から血を流して倒れていた。

「……ゾンビみたいに私たちを襲ってこないよね?」

私はゆっくりと頭から血を流している人に近づいて行った。そして私たちはこのビルの中で熾烈な戦闘を繰り広げるのだ。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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