26話 北の国にレッツゴー
会社に帰ってきた私たちは何もやることが無くてソファーにふて寝していた。
「千尋さぁん、とっても暇なんだけど~」
「一応給料をもらってるんだよね……?」
「そうだけどぉ?」
「……なら私が作成した資料を見るか?」
千尋さんは私に資料を渡してきた。
「これってヒビとかの?」
「そうだね、他の部署に回す用の資料だね」
私は資料をじっくりと見ていった。
(ヒビは人為的に作成できる超常現象……アルターエゴとは電脳世界に入った時にデータ化された人間の総称……なるほど)
ヒビやアルターエゴの事が事細かく書かれていて私はその資料を読み漁っていった。
(千尋さんの主観が少し入ってるけど読みやすい文章だなぁ)
そこには私についての事は書かれておらず少しだけ安心した。
「ちょっと電話だ、私行ってくる」
千尋さんがオフィスの外に出ると何やら話し声が聞こえてきた。
(……聞き耳するか)
私はドア越しに千尋さんが何を話しているのかこっそりと聞き始めた。
「それで飛行機の便のチケットはもう取ってあるんですか?」
(飛行機?)
「あっ、ありがとうございます……では今すぐ北海道ですね」
千尋さんは電話を切り、オフィスに入ってきた。
「あれ、聞いてたの?」
「聞き耳してたんだ」
「……なら話は早いね。今すぐ北海道に行って来いってね。どうやらバグが現実世界にまで出てきてるらしいんだ」
「バグって現実世界に来るんですね」
「一応4人分のチケットは取ってあるんだけど……行く?」
「行きたいね、ジータとラムダはどう?」
二人共は北海道に行きたいという無言の圧でこちらを見ていた。
「二人共も行きたいのね……よし、今すぐ着替えをキャリーケースに詰めていくぞ!!」
私たちはキャリーケースに服を詰め、そして急いで空港に向かった。
「しかし北海道かぁ」
「一応滞在日時は決められてないから観光しながらバグを退治していってもいいかも」
「観光ついでに仕事ってのもアリなのね」
「雪まつりー」
「うーん、今の時期雪は降ってないかもね」
「そんなー」
そして私たちは空港に着き、そして保安検査場を通過した後、案内があるまで待った。
「空港初めてだなぁ」
「せっちゃん、ぶっちゃけ言うと私も初めて。どんな感じなのかわからないんだ」
「多分ラムダとジータも飛行機初めてだと思うし……お手柔らかにしてくれると嬉しいな」
そして飛行機の案内をされた私たちはぞろぞろと飛行機に乗り込んだ。
(しかし大きな音だなぁ……)
飛行機のエンジンの音だろうか、とても大きな音が鳴り響いていた。
「って中綺麗だなぁ」
飛行機の仲はとても狭苦しいが綺麗な空間が広がっていた。
(大声で話したらダメだな……)
私たちは席に着き、出発まで待った。
「……千尋さん」
「どうした?」
「とってもワクワクしてるんですけど……」
「それ私も同じことを思ってるんだ」
数十分後、飛行機のドアが閉められ、ようやく出発するらしい。
「やっとだぁ」
人の多さはそれほどに、そしてGがかかり始めた。
(うおっ……とても加速力が凄い)
ドンという衝撃の後、外を見るとどんどんと加速していっていた。
(すごい速くなってる!!!すごい!!)
そしてぐんぐんと空へと飛びあがり、高度がどんどんと上昇していった。
「せっちゃん、私とても怖くなってきた」
「千尋さん……私も同じです」
そして安定してきた時、シートベルトのランプが消灯した。
「ふぅ、これで楽になったなぁ」
そして私たちは飛行機で北海道に向かい、バグ退治の仕事に向かったのだ。
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