22話 ゆっくり味わえ
私たちは千尋さん先導の元とある寺の前に着いた。
「ただいま戻りました~」
「ただいま……?」
千尋さんがそう言い門をくぐった、すると目の前に居た千尋さんが消えた。
「消えた……!?」
「消えたね、これって一体どうなってるんだろ」
ラムダが興味本位で門の奥に手を伸ばした、するとどんどんとラムダの腕が呑み込まれていった。
「何だこれ~すごく楽しいなぁ~」
「ラムダ……後ろがつっかえてるから早く通ってくれない?」
「おっとごめん、だけどこの技術の内容見て見たいなぁ……」
そういう事もありつつ私たちは寺の内部に入った。
「すっごいなぁ……」
中は季節外れの桜が咲いておりまるで異世界のようだった。
「あら、さっきぶりだね千尋」
「そうだな、だがとてもこの中変わったのね」
千尋さんが話していた人、それは先ほど巫女服を着ていた人、綾瀬という人がいた。
「それでどうしたんだ?アポなしで来るなんて今までなかったでしょ?」
「私の部下が引っ張ってる奴、知ってるか?」
千尋さんは私が引っ張っている敵を指さした。
「いいや、見覚えが無いんだけど、どうした?」
「こいつ、人を喰って挙句の果てに女を凌辱しやがった」
「ほぉ、それでどうするんだ?」
「こいつには地獄は生ぬるいと思ってね、永遠に苦しめられるものあるかい?」
「千尋さん……綾瀬さんと何話してるの?」
私は千尋さんと綾瀬さんのつながりが分からなかった。
「それについて行っておかないとね。私はライさんの会社に入る前、ここに泊めさせてもらったんだ。つまり綾瀬さんとは同じ飯を食べた仲間ってことだ」
「……千尋、ここに来る前にそう伝えとかないといけないと思うけど?」
「ごめんって」
そして綾瀬さんは立入り禁止という張り紙が張ってある部屋を開け、何かを探す物音がしてきた。
「千尋さん、どうして季節外れの桜が?」
「そうだなぁ……結界の影響で咲いてるのかなって」
「結界、まるで魔法ですね」
「実際は霊的なものだけどね。綾瀬さんはああ見えて凄腕の霊媒師なんだ、私でも勝てないほどのね」
「霊媒師なんですね……なら千尋さんは?」
「霊媒師の弟子みたいな感じだったね。今となっては少し懐かしいかもしれないな」
話をしていると綾瀬さんが奥の部屋から出てきた。
「これか?」
千尋さんに渡されたのは木の箱だった。
「中はどうなってるのかなぁ?」
千尋さんが中身を確認した。
「うん、呪力は確かにある、あとは紐ない?それと板」
「あるけど……まさかアレを?」
「そうだ、地獄の裁きよりもむごたらしいものだ」
千尋さんは手馴れた感じで敵を板に縛り付けていた。
「さてと、髪の毛を一本抜いてっと」
千尋さんは敵の髪の毛を一本抜き、それを木箱に入れた。
「さてと、寝起きの痛みでも食らわせるか」
千尋さんは木箱から板を出した。
「まず右足からかな」
千尋さんは板きれで何かを切った、すると敵の右足がスパンと斬れた。
「ウギャァァァ!!!」
「あっ、起きた?」
千尋さんは温度のない声で奴に向かって歩き始めた。
「なんだここは!?って足を戻せ!!!」
「足を戻せ?わかったよ」
千尋さんは再び板きれで何かを切った。するともう片方の足も斬れた。
「いてぇぇ!!!」
「千尋さん……いったこれはなんですか!?」
「これかい?みるか?」
千尋さんは私にどういう仕組みでこうなっているのかと見せてくれた。それは人型のくぼみにスライムが入っているだけの物だった。
「髪の毛をこの中に入れただろう?もうこの模型と奴はすでにリンクされちゃってるんだ、足の部分を斬れば奴の足も斬れる。頭も飛ばせるがそれは気に食わないんだ」
「うげぇ……とても……」
私はとてつもないむごたらしさに言葉を失った。
「仕方ないよ、せっちゃんは人間性を徐々に取り戻していってるから」
すると千尋さんは足のスライムを胴体のスライムにくっつけた。
「くっついた……とてもどろどろとした何かがくっつけた……」
「私はこういう拷問は慣れてるけどせっちゃんたちは慣れていないだろう。後ろを向いててもいいんだ」
「……うん」
すると綾瀬さんが手招きをしていた。
「こっちこっち」
(もしかして……避難をさせたかったのか?)
私たちは靴を脱ぎ、綾瀬さんの誘導の元広い和室に通された。
「どうも、私は綾瀬陽菜だ、あのむごたらしい現場を見せてしまってすまなかったな」
(とてもきれいな女性だ……20代か?)
「いやぁ……あんな事、されたいなぁ」
そうジータが言っていた。性格的に言うのは仕方ないと思うがあんなふうになるのはまっぴらごめんだ。
「ごめんなさい、こいつはそういう性格なので」
「もしかして被虐の人ですかね?あれはやめておいた方がいいですよ。レガリアすら封じ込めてしまうので」
「千尋さんって普通冷静を具現化した人だと思ってましたが、どうしてあんなにブチギレてるんですか?」
「そうだなぁ……性犯罪は許さないってところかな」
「性犯罪……ですか」
(千尋さんは人の死には興味ないけど性犯罪にはとても敏感なのかな)
私はそう思い、納得した。
「お茶ほしい?」
「ほしいです、お願いします」
綾瀬さんはお茶を淹れにキッチンに向かった。
「……畳かぁ」
ラムダがごろんと畳に寝転がった。
「あっラムダ、ここは一応人の家だよ!?」
「そうだったな……」
そしてお茶が出され、私たちは綾瀬さんと談笑しながら千尋さんの裁きが終わるまで暇をつぶしていった。
最後まで見てくれてありがとうございます。
少しでも続きが気になる、それか面白ければブックマーク・評価・いいね・感想とレビューをお願いします!
評価が自分のモチベーションになってハッスルハッスルするのでよろしくお願いします!




