21話 プッツン
その後、街中を散策しているとゲームセンターが目についた。
「ゲームセンターか……」
千尋さんは何だか懐かしそうな顔をしていた。
(千尋さん、ゲームセンターに思い入れがあるのかな)
「千尋さん、あのゲームセンターの常連ですか?」
「いいや、数回行ったっきり行ってないね」
「そうなんだ……なら行ってみる?」
「ゲームセンター……?」
ラムダとジータはゲームセンターという存在を知らないようだった。
「じゃ、ゲームセンターで遊ぶか」
「おっ、じゃあ行ってみよー!」
私たちはゲームセンターに入っていったが中はとてもレトロなアーケードゲームが置いてあった。
「すごいレトロだ……」
「こういうアーケード台はプレミア価格つくんだけどこのゲームセンターは売らずに置いてくれるあたりいい店長なんだろうなって」
そんな感じでゲームをし始めた。
「なにこれ面白ーい」
「んっ……♡」
ラムダはとてもゲームにはまっているがジータは別の意味でハマっているようだった。
「こらジータ、やめなさいよ」
「あーい」
その時、どこかから悲鳴が聞こえた。
「今行く!」
千尋さんは悲鳴が聞こえた場所から考え、そして最短距離を行った。その時バックヤードから誰かがこっちに来ようとして来ていた。
「何だぁ?またもめ事かぁ?」
ドアが開こうとした時、千尋さんがドアを蹴とばした。
「どっせぇい!!!」
「ぐおぁあ!?!?」
店長はドアごと千尋さんに押しつぶされた。
「ごめんなさいね~」
「ごめん」
「男だけど今は見逃す―」
続々と私たちもバックヤードから最短距離で悲鳴が聞こえてきた場所に向かった。
「このあたりか!」
千尋さんが裏路地にたどり着くと女のとぎれとぎれの声だけが聞こえてきた。
「千尋さん!」
(なんだこれ……暗くて全く見えないな)
裏路地は暗くて何がいるのかとわからなかった。
「……足元に何かがあるぞ」
千尋さんが地面にある何かを持ち上げた。それは……人間の腕だった。
「これって人間の腕か……まじかよ」
その腕を私に渡してきたがどことなくほんのりと温度が感じられ死後数分というところだろうか。
(これって本当に人間の手なのか……?)
その手はまるで模型のような手だったが皮膚の感触、筋肉の柔らかさで人間の腕と直感で察した。
「ちょっと待て……フフッ、やっぱり来るよね街の守り神が」
千尋さんがそう笑いながら言うと上を何かが通った。
「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」
そう言いながら何かが通過していった。
「あれは何です?」
「私の知り合い兼この街の守り神だ。本名は分からないけど通名では切り裂きジャックって呼ばれてるんだ」
切り裂きジャックは光源を設置し、敵の正体を明らかにした。
「うげっ!?」
敵は男で服には血がついていた。
「どりゃぁ!!!」
千尋さんは壁を走り、敵に向けて蹴りを入れた。
「フンッ!!!」
敵は千尋さんの足を両手で止めた。
(ここだとラムダのレガリアは使えない、ならジータに頼むか)
「ジータ、あの男を拘束して」
「わかったよぉ」
ジータはカバンに入れていた麻縄を持ち的に近づいて行った。それに気が付いた千尋さんは下がった。
「ふふふ、あなたは私を傷つけてくれるの?」
「こっちに来るな……!!」
敵はナイフをぶんぶんと振り回していたがジータは怖がる素振を見せずに近づいて行った。
「ふふふ……そんなおもちゃ振りましてもいいの?」
敵のナイフはジータの体に傷をつけていくが即時回復していった。
「なんだよぉぉぉ!!!」
敵は傷がみるみると塞がっていくジータを見て後ずさりをしていったが敵は何かにぶつかった。
「って後ろに切り裂きジャックいたのか」
敵は後ずさりできなくてジータとの距離がとても近くなった。
「うへへ……」
ジータは持っている麻縄を敵の首にかけ、一気に意識を刈り取った。
「ゴベベ……」
「捕まえたよ」
ジータは気絶した敵を引きずりながら私に話しかけてきた。
「……それでこいつどうするの?」
「人を食べてる、挙句の果てに女を凌辱してる。これはめっちゃ許されないよなぁ……?」
千尋さんからとてつもない圧を感じられた。それは切り裂きジャックも一緒のようだった。
「じゃ、綾瀬さんの寺に連れていって」
「えっ、寺!?」
「そうだ、寺だ」
その言葉には少し驚いた。一体千尋さんと綾瀬という人、どういう関係なのだ……?
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