20話 久しぶりのまとまった休み
カップ麺を食べた後、超常現象対策課のオフィスに入った。
「食べ終わった、満腹だよ~」
どうやらバグやアルターエゴを食べなくても普通の食べ物でも腹が膨れるようだ。ただ大量に食べないといけないようだが……その時千尋さんがこう言いだした。
「戦いの連続で仲間も増えたところだし、親睦という名目でちょっとお出かけしない?」
「お出かけか、確かに仲間増えたからアリだね」
そう、ラムダとジータが仲間に入ったのはいいものの大きな催し事が無かった。
「お出かけ……?」
「じゃ、各々着替えて出発するぞー!」
その号令の後、私たちはお気に入りの服に着替えたがジータの服はここに連れてきた服装だけだった。
「仕方ない、巫女服を着せてあげよう」
千尋さんがタンスから巫女服を出してきた。
「ちょっと待て、その巫女服どこから出してきた?」
「いやぁねぇ……昔の衣装よ衣装」
「昔の衣装かぁ……」
私は千尋さんの昔なんて詮索したくないのでこれ以上の事は追及しなかった。
「もっとましな服装は無いんですかぁ?」
ジータの機嫌がとてもよさそうだが……ラムダが犠牲になったおかげで元気になったのか。
「地味なシャツしかないけど?」
「いいですよぉ?」
こうして私たちは無難な服装に着替え、会社の外に出た。
「とても清々しいな」
「ですねぇ」
「あっ、ジータまた私の袖を掴んでる」
「いいじゃあないですか、もう夫婦ですし」
「ラムダとジータって本当に仲良しなのね」
「ちょっと千尋さんジータをどうにかしてくださいよ」
「ギャグボールと手錠をつけて犬のように連れて回ったら?」
千尋さんはからかいながらこう言った。
「つまり……隷属プレイ!?」
「やらないから!!!」
そんな会話をしていると前から巫女服の人が歩いてきた。
(あの巫女服、千尋さんのタンスの物と一緒だなぁ)
その時、千尋さんは顔を隠していたがその巫女服の人に気が付かれた。
「あら、ごきげんよう~」
「私は……誰でしょうかねぇ……?」
どうやら巫女服の人と千尋さんは知り合いのようだ、だがどうしてそこまで顔を隠したがるのだろうか?
「千尋って本当に変な奴だねぇ~部下を連れてこんなことをするなんて」
「……部下って言わないでくださいよ綾瀬さん」
私はこの会話に割って入った。
「すいませんが……もしかしてお知り合い?」
「そうだけど……それがどうしたの?」
「あっちょっと待ってね~?」
千尋さんは私たちに小声で話し始めた。
「あの人には話しかけたらだめだよ……?」
「どうして?」
「面倒なことになるから、いい?」
「分かったけど私情ってことね」
そういう事で私たちは綾瀬という人と千尋さんの会話を眺めるだけだったがラムダとジータはとてもイチャイチャしそうな雰囲気になっていた。
(いいから……二人共は黙ってて……黙れ!!!)
苦労人になりつつある私は場を抑えることに必死だった。中間管理職ってこんな感じなのかなぁ……考えてくるととても苦労してるんだとしみじみと感じた。
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