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15話 食事の邪魔

電車で会社に帰社している時、私は駅弁を食べている最中だった。

「そういえばモナカって感じにしたら最中だよね」

「それがどうしたんだ?」

最中(さいちゅう)最中(もなか)の区別難しいね」

そう言った途端、電車が突如揺れた。

「何?地震?」

「いや、スマホの緊急地震速報はなっていない、ならなんだ?」

すると電車の後方で音が鳴った。

「ねぇ、この電車の後ろ部分っていったい何があるの?」

「ただの空間だけど、どうしたの?」

その時、またしても後方から音がした。それは何かが貫通した音だった。

「外観て!」

千尋さんがそう言い、私たちも外を見た。そこに居たのはただの人だった。

「ただの人が屋上に居るだけじゃあないか」

「いや、私は見た。あいつがこの電車から出てくるところを!」

「この電車から出てくる……!?」

(まさかあそこに立っている人は……電車に穴をあけた人なのか!?だけど手には工具が握られていない。だとすると何で穴をぶち開けたんだ?)

すると運転室から知らない人が出てきた。

「なんですか~?今の音は~」

「あっ、車掌さん?多分後方の部分が穴をぶち開けられたらしいんですよ」

「なるほど、近くの駅に停まりますね」

近くの駅で電車が止まり、車掌が電車の後部を確認する間、私たちは後部をぶち抜いた犯人を捜すことにした。

「だけど厚い鉄板を素手でぶち抜くってなると危険な香りがするなぁ」

「たしかに危険かも」

そんな事を言いながらも私は少し怒っていた。駅弁を食べていたのに邪魔をされたからだ。

「私、ちょっと怒ってるからさっさと見つけ出してボコボコにしよう」

「そうか、頑張れよ」

私は必死に奴を探したが全くと言っていいほど見当たらなかった。

「奴はこのあたりに居るはずなんだ……」

すると悲鳴と共にぐしゃりという音がした。

「なんだ今のは!?」

私は音の鳴った場所に向かおうとするが千尋さんは止めた。

「今はすぐに駆け付けるべきじゃあないぞせっちゃん」

「どうして?私は食事の邪魔をされて最悪の気分なんだ」

「考えてみろ、あの声はお前をおびき寄せるための声かもしれない。行くのはリスキーだ」

「へぇ、なら上空から突撃するのは?」

「上空か、いいね。行ってみよう」

私たちは屋上に行き、音の鳴った場所に走っていった。

「ふひひ、新鮮な人間のデータはおいしいなぁ……これで強くなれるなぁ」

その頭上には私たちが居るのを知らず、こんな間抜けなことを言っていた。

「千尋さん、あいつ間抜けなことを言ってますが」

「恐らくあいつはアルターエゴだ、だがどうして現実世界に居るんだ?」

(私みたいに外に出てこれるアルターエゴなのか?そうだとしたら今まであったアルターエゴは全員現実世界に来ているってことか???)

そう考えているとぐちゃぐちゃとアルターエゴが死体を食べ始めた。

(だが奴は言っていた、人間のデータと。アルターエゴはバグを食べるし人間も食べるのか!?)

その時、私の周りに矢が浮き始めた。

「せっちゃん、その能力って何?」

「周りに矢が浮いている……これってまさか」

私は下に居るアルターエゴに矢を放った。だが奴は読み合せたかのように避けた。

(まだだ……まだ何かが起こるはずだ)

すると矢は軌道を変え、アルターエゴの肩と足に矢が刺さった。

「痛ってぇ!!!」

(矢が曲がった……どうしてだ!?そんな能力身に覚えが……ハッ!!)

その時、私の脳内に流れた記憶。それは私がこの前電脳世界でアルターエゴを喰らったときの記憶が。喰らったアルターエゴのレガリアは追尾する矢だった。

(もしかしてデバウアーで食べたアルターエゴのレガリアを使えるのか……?だとしたら更にデバウアーの出来る事が増えてきたぞ)

私は分かっていた。大きなデータを喰らうたびに一時的にだが人間性が消え失せることはデメリットだが。

「千尋さん、奴を矢で追いつめますので最後のとどめ、お願いします」

「分かった、だけどそのレガリア、まさか食べたアルターエゴから奪ったのか?」

「恐らくそうですね、残酷ですね」

「弱肉強食ってわけね」

そう言って千尋さんは屋上から飛び降り、5点着地を決めた。

「さてと、私は奴を追いつめていきますか」

私は矢を適当に放った。するとアルターエゴに向かって飛んでいったがそれすらかわした。

「あぶねぇ!?」

矢は千尋さんの顔の前で上に行き、そしてアルターエゴに刺さった。

「うおっ」

「隙あり!」

その隙を千尋さんの鉈がアルターエゴの体に入り、そのまま両断した。

「千尋さん……リストの力強いなぁ」

アルターエゴとは言えども人間だ。人間の体を両断するなんてリストの力が強いとしか言いようがない。

「千尋さん、終わりましたね」

「そうだな、食べるか?」

「食べたいですけど、前みたいに私を人じゃあないという目で見ませんよね?」

「その事なんだけど……仕方がないものとしてスルーすることにしたんだ」

「ありがと……その言葉があれば心置きなくアルターエゴを食べれる」

私はヒビを発生させた。

「多分だけど私が食べたアルターエゴ、ヒビを発生させるレガリアを持ってたかもしれない」

「そうなの?」

「だって前まで使えなかったのに今は使える。だからね」

そして私はヒビの中に入り、アルターエゴの死体をデバウアーで食べた。満腹感はあったけど快感は前アルターエゴを食べた時より少なかった。もっと暴れてほしかったような……

「戻って来たよ」

私はヒビを通り千尋さんの元に帰った。

「おかえり、人間性はどうだ?大丈夫か?」

「アルターエゴが死んでたからそのおかげで人間性が保たれたかもね」

「二回に分けて食べたのか?」

「そうだね」

そして私と千尋さんは待っていたラムダと合流した。どうして戦いに呼ばなかったというとレガリアを使えばイチコロ、だが被害を考えたら危なすぎると判断したからだ。

「じゃ、電車に戻ろうか」

「うぃ」

私たちは電車に戻り、食べかけの駅弁を食べ始めた。とても美味しい。

最後まで見てくれてありがとうございます。

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