13話 分かりきっていなかった言葉
久しぶりに超常現象対策課に帰ってきた私は新聞を読み漁っていた。
「まったく、せっちゃんは新聞が好きなのね」
「うん、だって古臭くて好きだもん。それに人間の弱さってどのぐらいなのかなって」
「あのねぇ……人間は知識を使えば強いんだよ?」
その時、ライさんが入ってきた。
「……戻ってきたのね」
するとライさんは私にむかって突進してきた。
「やっと戻ってきてくれたぁぁぁ!!!」
「なんだよもう……」
ライさんは私をぎゅっと抱きしめた。
「ずっといなくなったらどうしようかと考えてたんだよぉぉ……戻ってきてくれてありがとう」
「……この私でもいいの?」
「いいさ、人を喰ってもセツナはセツナだよ」
そしてライさんがこう言った。
「なら帰還祝いで焼き肉でも行くか!」
「おっ!まさかライさんのおごりで!?」
千尋さんがそう言うとライさんはうなずいた。
「いやっほぉい!!!」
「食べ放題ですよね?」
「そうだ、たくさん食え!」
そうライさんは豪快に笑い、その場にあった複雑な感情をぶっ飛ばした。
「じゃ今から行くか!」
ライさんは私たちを連れ、焼き肉屋に連れていった。
「しかしセツナの悩み事、私も干渉すべきだったな」
「いやいいんです、これは私の問題なので」
「問題かぁ……あまり抱え込むなよ?」
そして焼き肉屋に着き、さっそく席に座った。
「じゃ、食べて食べて食べまくるぞ!!!」
「おー!」
千尋さんとラムダはとてもテンションが上がっていた、私は腹が満腹でも空腹でもない微妙な境目だった。
「せっちゃん、あなたが電脳世界に居る時にアルターエゴと遭遇した?」
「いや、遭遇してないね」
「もしアルターエゴが居たのなら、教えてほしかったけど仕方ないか」
「でもバグを食べている時、とても力が蓄えられてるって感じたんですよ」
「力かぁ……バグを食べたら力を得るってことか」
「そうですね、だけどまだ足りない。まだまだ食べないと強くなれないと思ってるんです」
「せっちゃん、大丈夫。最強を追い求めるあまり誰もいなくなるってことになると駄目だから」
「わかってますよ……」
焼き肉を食べているとライさんが酔っぱらってきていた。
「ふぃ~」
「ライさんは空気で酔うんだね」
「テキーラほしいなぁ」
「だめです、まだ18ですよね?」
「えっ、ライさん18歳なの?」
「18だね、若いよね~」
ライさんの年齢は20歳ぐらいと思ってたけど18歳だとは思わなかった。
「じゃ、どんどんと肉を焼いてくよー!」
私たちはどんどんと肉を食べ、英気を養いつつ話をして親睦を深めていった。そして3人が満腹になり、会計をした。
「あなたたちはもう帰っててもいいよ」
「ゴチになります!」
「いいのよ、それだけ働いて返してもらえればいいのよ」
そして私と千尋さん、ラムダは帰り道でこんなことを話し始めた。
「人間ってとても良かったな」
「そうだな、人間はこうやって縁を築いていくんだ」
「縁かぁ……」
私の心で本当の縁を考え始め、千尋さんの事かなと思い始めた。そして会社に帰った後、私はいつものように新聞を見ていた。
「何か面白い記事があったのか?」
「人間が書いた文章を見ると賢くなったような感じがするね」
さすがに新聞には食欲がわかない。そして私の机には箱が置かれていた。
「これは……なんだろ」
私は箱を開けた、そこに入っていたのは土鍋とガスコンロだった。
「……これで鍋をしろと?」
誰が置いたのかわからないけどこれはどこかに置いておこう……
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