130話 ライバル
ホテルに帰ってきた私たちはとりあえずタウの服を買うことにした。
「千尋さん、タウはとても頑張ってましたよね?」
「ああ、偵察やら救助までやってくれた。あいつはまるでピエロだな」
「確かにピエロですね」
私はタウが恥ずかしくならないような服を何着か買い、そしてホテルに帰る道中にとある人が声をかけてきた。
「おい、今日アルターエゴの二人を殺したか?」
その声はなんだか私たちを訝しむような感じだった。
(知らない声だ、一体なんだろう)
千尋さんは振り向いた。
「殺したがどうしたんだ?」
「そうか、なら私たちのために死ね」
千尋さんは私の肩を掴んで横に飛んだ。
「一体なんじゃこいつぅぅ!!!」
私は地面に転がって体勢を立て直した、すると後ろに立っていた奴は斧を持っていた。
「なんで街中で斧を持ってんだ!?」
「フハハハ……やっぱり戦いは最高だなぁ」
すると千尋さんは耳打ちで何かを伝えてきた。
「せっちゃん、隙を見て逃げるぞ」
千尋さんは奴に向かって走り出したが手には鉈が握られてなかった。
「武器無しとは勇気あるなぁ!!!」
奴は斧を構えたが千尋さんは急にUターンを繰り出した。
「逃げるんだよぉお!!!」
「ぬぅぅ!!」
私もダッシュで逃げた、奴は斧が重くて少し動きが遅かった。
「千尋さん!斧を持ってるから奴は動きが遅いようですね」
「ああ、だが気を抜いたらすぐに追いつかれる。だが奴は一体誰なんだ……?」
そしてホテルに戻ると千尋さんはライさんに先ほどあったことを話した。私はタウにシャツを渡していた。
(一体あの斧を持った人は誰だったんだろう)
「ありがとセツナ」
「どういたしまして、それで千尋さんはどう?」
「あの斧の奴は一体誰だったんだろうな」
「さぁ、でもまだ問題は解決していなさそうだね」
そして私たちは次の問題に巻き込まれて行ってしまうのだった。
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