123話 曇りのち弾丸
ホテルに帰ってきた私たちは部屋でゆっくりしていった。
「せっちゃん、半グレ組織一つ潰してきたの?」
「潰してきたよ、歯ごたえ無かったけどね」
「まったく、私以外は成長するけどさ、肝心の私は全く成長しない。どうしてだろうな」
千尋さんはどうして弱いのかと笑いながら言っていた。
(確かに千尋さんは前線に出ると弱い、だけど鉈の能力と地の能力を掛け合わせたら強そうなんだよな)
外を見ると雲がかかっていて暗くなりそうだった。
「そろそろ電気をつけるよ」
私は部屋の電気をつけた、すると窓ガラスが急に割れて雨が部屋の中に入ってきた。
「うわっ!?」
ガラスの破片が部屋の中に飛んでくると私は細かいガラスの破片に皮膚を傷つけられた。
「痛っ……」
「みんな何かに隠れろ!」
千尋さんがそう言うと雨がどんどんと部屋の中に入ってきていた。そして雨は壁を傷つけていっていた。
(なんだこの雨!?普通だと無いぞこんなの!?)
私はふと手を出した、すると私の手が凹んだ。
「うっ!?!?」
(なんだこの雨!?手が凹んだぞ!?)
「せっちゃん!この雨は質量が凄い!だから雨に打たれたら体がボコボコになるぞ!」
「分かりました!ですがこれどうします!?」
「とにかく収まるまで待つ!」
防御する手が遮蔽に隠れるだけだった、だがジータは別の意味で気持ちよくなっていた。
「あ~気持ちいい~」
「あっジータ!早く遮蔽に隠れろ!」
(多分ジータは雨に打たれてるんだろうな、それで痛みで気持ちよくなってるのか……仕方ないな)
雨が2分降り続けている中、千尋さんが遮蔽に隠れながら私の近くに這いずってきた。
「大丈夫か!?」
「手に穴が開いている、雨に打たれた」
「分かった、ラムダ!回復の霧を部屋中にばら撒いてくれ!」
ラムダは白い球を投げ、そして部屋中に回復の霧が漂い始めた。
「ありがと、おかげで穴が再生してきてる」
雨はまだまだ降ってくる中、千尋さんは遮蔽を動かしながらみんなを私のいる部屋に避難してきた。
「とりあえずは一安心かな」
「千尋さん、これって敵の襲撃ですよね?」
「そうだな、いったいこれをどうやって切り抜けたら……」
私たちはどうにかしてこの状況を切り抜けようか考えていた、だが考えても考えても自然様には勝てないという結論にたどり着くだけだった。
「うん、これ自然様には勝てないわこりゃ」
「千尋さんの言う通りですね、うん」
その次の工程はどうやって部屋を出て廊下に出るかだ。
「ジータに任せたら?」
「私の出番ですかぁ?」
ジータの周りが何だか湿気が凄かった。
「そうだね、行ってこい!」
千尋さんはジータにドアを開けてこいと命じ、ジータはドアを開けに避難場所を離れたのだった。そしてドアが開く音がすると千尋さんは遮蔽を動かしてみんなを外に出していったのだった。
「さて、この惨状にした野郎を見つけ出してぶっ潰さないとね」
「そうだな、全員質量を持った雨を降らせる奴を拘束するんだ!」
こうして私たちはこのホテルの中にいる敵を探すことにしたのだった。
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