100話 ビリビリの休暇届
私たちはその後大阪を楽しみ、面白い事もあれば怖がった事もあった。千尋さんはお化け屋敷でかなりビビり散らかしていた。いやあなた一度死んでるからそう言う類大丈夫でしょと言いたくなった。大阪であったことを思い返していると飛行機に乗る時間になった。
「しかし鏡花さん今回も刀は貨物室行きかぁ」
「仕方ないでござる、これが運命でござるからな……うん」
鏡花さんは毎度の如く愛用の刀が貨物室行きで涙をしていた。
「千尋殿はその鉈は大丈夫でござるね」
「ああ、これは霊が見えない人には見えてないようにすることが出来るんだよ」
「ずるいでござる」
「でも見えてるってことは……霊が見えるって事だよね」
「あっ」
すると千尋さんは鉈を手にすると後ろに向かって鉈を切り上げた。
「まぁ霊が見えてると面倒な事が起こるから見えてない方がいいんだよね」
千尋さんの後ろを見ると両断されている可哀そうな幽霊が揺れていた。
(これが幽霊なんだ……かなり可愛らしく見えるな)
ちなみにだがレミちゃんは貨物室行きだった、地元の空港に着いた時にレミちゃんはどんな顔で流れてくるか楽しみだ。
「さてと、搭乗するぞー」
千尋さんの声に私たちは歩いて行き、飛行機の座席に乗り込んだ。
(さてと、地元に帰るかぁ)
私は深く座席に座り込んだ。
「せっちゃん、相当疲れているみたいだけどどうしたの?」
「観光で疲れたんだよね、千尋さんは逆に浮かれすぎだと思いますけど」
千尋さんは両手いっぱいにお土産を持っていた。
「結果保安検査場でわたしにお土産の袋一つ持たせたくせに」
保安検査場の検査で手荷物は1個だけと決まっている、つまり私たちを利用してお土産をたくさん持ち帰る魂胆だったのだ。
「いやはや、一時期はどうなることと思ったけどね……」
「まったく、こういう事で部下を使わないでくださいよ」
「はいはい、分かってるよ」
そして飛行機が飛び立ち、私たちは大阪の地を後にした。
(飛行機が墜ちませんように……)
私は飛行機の中でこう祈っていた。行きの時に飛行機が墜落しかけ、私が間一髪空港に着陸したことを未だに引きずっていた。
「まぁ、行きの事もかんがえりゃそんなネガティブになるもんね……」
「ええ、今はただ千尋さんも一緒に飛行機が墜ちない事を祈りましょ」
数時間空の旅を楽しみ、地元の空港が近くになり着陸態勢になった。
「フゥ……」
「お疲れせっちゃん、祈りは通じたようだね」
「ああ、よかったよ」
そして飛行機が着陸し、私たちは飛行機から降りていった。
「さてと、荷物を取りに行くぞ」
私たちはキャリーケースを取りに行った、そしてみんなの荷物がベルトコンベアに流され、私の荷物も流れてきた。
「あっ、レミちゃん……」
レミちゃんは私のカバンを持ってキャリーケースの上でちょこんと座っていた。
「ごめんね~暗かったでしょ?」
「みゅーも」
私はレミちゃんをカバンに詰め、荷物を受け取った。
「さてと、会社に戻るかぁ~」
私たちはゆっくりと会社に戻っていった、その道のりはなんだか遠かった。
(何だろう、疲れているのかな私)
「せっちゃんどうした?疲れた?」
「多分疲れちゃったのかも、すいませんがこのキャリーケースを持ってくれませんか?」
「いいぞ、どうせもう満身創痍だからな」
千尋さんは私のキャリーケースを持ち、コロコロと転がしていった。
「しかしみんなの後ろ姿を見るとなんだか負のオーラを感じるんだけど」
「そう?」
「仕事が始まるという負のオーラね」
そして会社に着き、超常現象対策課のオフィスに入るとごちゃっとしている内装が変わっていて少しだけ清潔感があるオフィスに変わっていた。
「あれ、前はこんな感じだっけ?」
「いや、違うな。この張り紙はなんだろ?」
千尋さんは壁に張ってあった張り紙を読んでいった。
「つまりライさんが私たちの活躍を見て部屋を改装してくれたってことね、だからライさん寝不足だったのかな」
千尋さんは外に出た。
「ちょっとだけライさんを労わってくる。みんなは荷解きをやっていって」
そして千尋さんはライさんを労わりに出ていった。
「じゃ、私たちは荷解きをしようか」
私たちは荷解きをやっていった、そして気が付いたことがある。私専用のロッカーが改装されていることに。
「すごいなぁ」
そして私は荷物をロッカーに詰めていき、最終的にレミちゃんを開放した。
「もきょあー?」
レミちゃんはここは?という顔でわたしを見ていた。
「ここが私たちが住んでいる場所だ」
「もきゅ」
するとレミちゃんはソファーの角に埋まろうとしていた。
「まったく、レミちゃんはおっちょこちょいだなぁ」
私はレミちゃんを引っこ抜き、抱きかかえた。
(ここから私たちはどうなっていくんだろう、それにまだ敵のアルターエゴの内情が分からない今、私たちはどんなことをやるのかなぁ)
私は将来の不安に若干不安になったのだった。するとラムダが救急隊時代の制服やヘルメットをロッカーに収納している時、紙きれを発見した。
「これは……出しそびれていた休暇届か」
「ラムダって休み欲しかったの?」
「そうかもしれない、でも今となってはもう要らないよね」
そう言ってラムダは休暇届をビリビリに破き、外に飛ばした。
「これで良し」
休暇届は風に乗って行き、海の方向に向かって飛んでいったのだった。
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