99話 深い溝
宿に戻ってきた私と千尋さんはたまたま同じタイミングで帰ってきていたラムダとジータにあった。
「あっ、千尋さんとセツナさんだ~」
ジータが人懐っこく私たちに向かって走ってきた。
「一体どうしたんだよ」
「こらジータ、千尋さんとセツナさんを困らせないの」
「ちょっとラムダ、少し話があるんだけどいい?」
「人に聞かれるならいいですけど」
「あのね、イオタ警察に突き出してきた」
千尋さんはラムダに急な報告をした。
「……えっ、それって本当なんですか?」
「ああ、奴は児童ポルノも撮影、視聴していてね、盗撮とのダブルコンボで確定豚箱行きだよ」
「お手柄ですね、それで後の日程ってどうなるんですか?」
「事態の収束を祈りつつ観光だね、ネットに書き込まれた事は簡単には消えない、だから私たちは永遠に人から後ろ指を指される可能性があるんだ」
「あんな大事になったら仕方ないですよね」
「まっ、楽しく生きてる人間にそんなことをする外道はいないだろうよ」
そして千尋さんは部屋に向かった。その時ボソッと一人事を呟いてた。
「生きてるって、私は一度死んでるんだけどな」
(千尋さん一度死んだことに誇りを持ってる……どうして誇りを持つんだろう?)
私たちは部屋に戻ると千尋さんは財布を持っていた。
「さて、どうして私はここで財布を持って立ってるでしょう?」
「もしかしてお小遣い?」
ジータは千尋さんの財布を取ろうとしていた。
「いやあなたたち給料振り込まれてるから、何なら私からぶんどろうとしないで?」
「はぁい」
「でも千尋さんは何で堂々と財布を?」
「この地に敵はいなくなった、やることと言ったらなんだ?」
「もしかして酒盛り?」
「私たち未成年だよ?一部を除いて」
すると後ろで黙って刀を手入れしていた鏡花さんが口を開いた。
「酒なら歓迎だぞ、酒は避けれん……なんつって」
その言葉で辺りが少し寒くなった。
「今から紙コップとジュース、あとお菓子を買いに行くぞ!」
「もしかして祝勝会!?」
「そうだ、北海道はさすがにあの豪邸でやったらげんこつを喰らうからな、ここでは盛大にやるぞ!」
「私は千尋さんに賛成、セツナさんとジータはどうする?」
「私は賛成かな、ジータは……身振り手振りを見れば賛成って事ね、鏡花さんは?」
「そうだな、これも楽しまねばならないか」
そう言うと鏡花さんは刀を鞘にしまった。
「ならジュースと菓子を用意するでござるか」
「なら決まりだね、みんなでジュースやらお菓子を買いに行くぞ!」
そして私たちはコンビニではなく近くのショッピングモールに買い出しに行った。
「しかしあの逃げ足の速いイオタを捕まえるとは」
「不意打ちとはいえあの場で逃げられたらさすがに捕まえれなかったけど私たちが壁になったからね」
「壁……か」
鏡花さんは私と千尋さんを見た。
「鏡花さん、どうして私と千尋さんの胸を?」
「あっ、そういう事ね」
千尋さんは何となく察したが私は全く分からなかった。
「じゃ、好きなお菓子とジュースを買うぞ!鏡花さんは酒禁止ね~」
「どうしてでござるか?」
「180円で済むジュースよりどうして500円ぐらいする酒を買うの?」
「酒があってこその剣士、わかるでござるか?」
「いやわからん」
千尋さんは鏡花さんの酒を買っていいかというおねだりをズバッと切り、ジュースとお菓子を買っていった。
「じゃ、各自荷物を持っていって」
私たちは荷物を持って宿の部屋に持ち帰っていった。
「さてと、準備するからみんなは風呂の準備をしてくれ、祝勝会は風呂を上がってからね」
「汚れた体で打ち上げをしたらダメだから?」
「そうだね」
私たちは千尋さんの指示で風呂の準備をしていった。その間に千尋さんはジュースを冷蔵庫に入れていった。
「じゃ、風呂にでも入って体を洗ってから祝勝会をやるぞ」
千尋さんはとてもテンションが上がっていて何をしでかすか分からない状況だった。
「千尋さん、なんだかテンションが高くない?」
「だって敵を全滅させたときってなんだかテンション高くならない?」
「気分は上がるかもしれないけどね……」
そして私たちは風呂に入り、体を洗った。
「そう言えば千尋さん、もしかして私たちに話してない能力、あるのでは?」
「私にはレガリアと鉈の能力しかないのにどうしたの?」
「いや、千尋さんってなんだかんだで敵を騙しますよね、もしかして私たちにも騙して隠している情報あるんですよね?」
「そんな言いがかりやめてよね、まぁこんなことを言ってもせっちゃんは信じなさそうだけど」
「そうですね、ですが今言っていることに嘘は無いんですよね」
「そうだ、私の魂を賭けてもな」
そして私たちは風呂を上がり、その熱気のまま祝勝会を行った。
「じゃ、皆の健闘を称え、乾杯!」
「乾杯!」
千尋さんの号令で私たちは乾杯した。
「じゃ、みんなお菓子を食べてジュースを飲んではしゃぎまくるぞ!」
「うおおお!!!」
私たちの士気が一気に上がり、気分は最高潮に達していた。
「おねーちゃんすき~」
「ジータどうしたんだ急に!?」
「こういう場では静かにできないのか?」
鏡花さんがそう言っているが服装が何だかはだけていた。
「鏡花さんブーメラン刺さってないですか?」
「そうでござるか?」
「その服装、なんだか色気を出す女性っていう感じが!!」
「あら、これはこれは」
その場の空気を鎮めようと私は奔走し、何とか場の気分が落ち着いた。
「じゃ、続きを静かにしようか」
私たちはテレビをつけ、テレビ番組を見ながら楽しんでいったのだった。
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