10話 アルターエゴの法則性
会社に帰ってきた私たちはおぼつかない足取りで超常現象対策課のオフィスに入っていった。
「……まさかアルターエゴが来てしまうとはね」
私たちは椅子にてゆっくりし始めた時、ライさんがやってきた。
「セツナ、これがアルターエゴに関する資料だ。じっくり読んでみろよ~」
ライさんはわざわざアルターエゴに関する資料を私に超常現象対策課のオフィスに訪れた。
「ありがとうございます~」
私は渡された資料をじっくりと見入った。
アルターエゴに関する資料
アルターエゴは現実世界にて何かしらの外的要因によって人格が電脳世界に飛ばされ、そこでバグを喰らい成長した人格を指す。アルターエゴはバグの力を吸収し、成長するため1対1の構図は避けたい。対処法としては倒すか逃げるかの二択しかない。それ以外の選択肢を取ればすなわち死だ。
「なるほど……バグを食べて成長するのね」
「……バグを食べるか」
千尋さんがそう呟いた。
「せっちゃんってバグを右手で食べるのよね?」
「そうだけど……どうしたの?」
「仲間を信じたくないけど……疑わざるを得ないか」
すると千尋さんは私に向かって歩き出した。
「あなたって一体何者?人間?それともアルターエゴなの?」
「急に何言ってるの千尋さん……?」
周りの空気はとてもピリッとしていた。千尋さんの目は何かを伺うような目だった。
「バグを喰らう点、あなたもアルターエゴも同じなんだよ」
すると鉈を私の首元に近づけた。
「……私はあなたを疑いたくないけど可能性としてはあるんだよ」
「そうだよね……私はバグを喰らって強くなってる、だけど敵意はないと言う事は分かってるはずだよ?」
「……それはそうだね」
千尋さんは鉈を棚にかけ、私に対してこう言った。
「セツナって一体……何者なんだろうね」
「……わからない。だけど私にはセリア・セツナという名前がある。なら私に何があったのか知りたいんだ」
千尋さんは私の探求心を聞いてじっくりと考え始め、数秒が経った。
「そうか、私は協力するけど、敵になったらその時はその時だ」
「分かってるよ」
そう言って私は再びアルターエゴに関する資料を読み続けた。
アルターエゴの目的、および正体は不明。だが共通理念は結果だけを見ると言う事。途中の道や過程を考えずに行動する。
「あれ、これで終わりなの?」
「そうだな……アルターエゴは本当に正体不明なのだろう」
「……アルターエゴか」
その時、台車の音が外から聞こえてきた。
「台車の音だね……」
「そうだな……誰が運んでいるんだ?」
超常現象対策課のドアが開き、そこに立っていたのはライさんだった。
「どう?その資料」
「とても文字数が少ないですけどアルターエゴの情報がきっちりと乗ってました」
「でしょ~?これ私が作ったんだよ」
その言葉に千尋さんが反論した。
「いやそれ私のレポートから抜粋した文章で構成されていますよね?」
「ありゃ、ばれた?」
「でもいいですよ、こんな風に使われるんだったら別に大歓迎です」
「そりゃよかった……これ一週間分の新聞ね」
台車に運ばれてきたのは山積みになった新聞だった。
「おわぁ……新聞だぁ」
「あのライさん……ここは新聞をため込む場所じゃあないですよ?」
「いいじゃんか、新聞好きなのが2人いるから」
そう言ってライさんは台車を思いっきり押した。
「じゃ、後は頼んだ~」
ライさんは台車に乗りこみ、凄いスピードで帰っていった。
「……ライさんって気持ちいい人なんだ」
「まったく、この新聞の束を整理してから持ってきてほしかった」
私はアルターエゴに関する資料を机に置き、新聞を読み始めた。その内容はとても興味深い内容だった。
「なんだこれ~」
内容はオオアリクイに主人を殺された未亡人の話が新聞の1ページを飾っていた。
「オオアリクイ……へぇ、人を襲うのかな?」
「襲わないでしょ」
私は新聞をじっくりと読み漁り、このまま数時間はこのままずっと座った体勢のまま動かない。それだけ集中しているのだ。
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