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6.久しぶりの帰宅


 久しぶりに帰宅する。

 貴族じゃないけど、金貨をいただいたし、家に置いておこうと思う。

 ―――経費として少しはもつけど、多すぎるのはねぇ。


 久しぶりにリヒト村に辿り着くと、村は豊作で賑わっていた。……まだ収穫期じゃないわよね?

「ただいま~。何?この騒ぎ?」

「「「「「リリスねーちゃんがおいのりしたせいかっていってた」」」」」

「リリスがお祈りしただろ?土地が肥えてだなぁ。実りが良くなったんだよ。あと、結界みたいになって害獣も入ってこれないようだし。それで、この騒ぎだ。ちなみに村の皆はリリスのおかげとは思ってない。というかなぁ?」

「我が領民、私の陰ながらの努力がわかったかね?―――」

 ああ、あの肥えた領主が私の成果を横取りしてるわけね?わかりやすい構図だわ。うん。あの領主からはゴッソリと取ろう。決めた。絶対横領とかしてる感じがする。

「「「「「リリスねーちゃんのおかげなのに…」」」」」


「うおぉぉー、領主様ぁー」

 叫ぶ?

「領主様、素敵!」

 どこが?まぁ、金はありそうだなぁ。


「領主様?具体的に何をなさったのですか?」

「突然なんだ?小娘。最近村に来たのか?」

「さっき帰ってきたのです。そしたらこの騒ぎでしたので、何があったのか聞いたのですが、直接訊ねてみた次第です」


 私がお祈りしていったから、土地が肥えてるなぁ。

 害獣も村に入れなくなった。村人で病気にかかる人はいなかった(私が留守の間)。


「土地が肥えていることについては?」

「夜中に肥料を土に混ぜ込んだんだよ」

「村全体で有機栽培をしていたのですが……」

「たくさん採れた方がいいだろ?」

「なおかつ質のいいものが良いですね」

「害獣による被害がなかったことについては?」

「夜中に村の周りを巡回していたんだよ!」


 「さすが領主様だ」等との声があがるが、フェンとレスにそのような気配あったか訊ねると、答えは「NO」だった。嘘じゃん。


「えーっと、肥料に巡回する人員。その費用はどこから出ているのですか?」

「そ、それは勿論私のポケットマネーに決まっているだろう?あっ、何をしてるんだ?」

 私は土の味を視た。肥料の味はない。全くの有機栽培向けの味だ。


「ふーん」

 とりあえず、意味深な声を上げておいた。


 あの手の肥えた人って免疫力が弱いんでしょうか?絶対になんか病気になったりするよね。普段の行いが悪いから神の祝福とやらがないんでしょうね。

 案の定、領主は風邪なんだかよくわからない病気で倒れた。

「この村には医師、またはそれに準ずるものはいないのか?」

 チャンス!私が助けてぼったくろう。

 とはいえ、村の人たちに私が聖女ってバレるのもなぁ?あ、最初の王都に連れていかれる段階でバレてる?なら、なんで私じゃなくて領主を讃えてたんだろう?

「はい!私が領主様を治療します!」

 

 性格の悪さも治療できないものか?と祈りながら思った。出来た。いやぁ、神様に愛されてるなぁ。


「今までの罪を償うべく、ここに教会を建てて、私は神父となろう」

 ……似合わない。でも、私財はほぼ売り払い、罪は全て自白(自白したから刑が軽くなった)、教会には孤児院も併設するようで、孤児(この村にいるのかなぁ?)はそこで暮らすことになる。

 私財を売り払ったお金で教会と孤児院を建て、運営をしていくつもりらしい。健全な経営ならば私も手伝おうか?金銭面で。


 あ、売り払ったお金の一部を治療代としていただきました。ハイ。私の方が悪い人のようですね。肥えたオッサンからお金をせびったのですが……。



嘘つき領主から金を搾り取ったつもりだけど、なんかリリスちゃんの方が悪者みたい…になってしまったのは私のせいです。

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― 新着の感想 ―
リリスちゃんは、出先で稼いだお金を貯金する為にリヒト村に一次帰還だね。リリスが居ない間に、村に変化ありか。土地が肥えて豊作に。害獣の被害なし。これは、聖女の結界のお陰だね。聖女と言えば、治癒、結界、鼓…
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